zero twilight/異世界からの究極超常的抗核神ノ殉教者

ur.

序——死神の流儀、そして意義

仄暗い森の中、月の光も届かぬ地にて、複数の影が存在していた。


群れる影、鎧の擦れる殺意の人型。そしてその影の中心にて佇む、大鎌を持った赤い瞳を持つ影。

あまりに大きく、反り返った刃からはボタボタと新しい血が滴っていた。


悲鳴が聞こえる。未だに生きるその命が叫んでいる。友の死に哀しむ者。訪れるであろう死に恐怖する者。そして死にゆく者。



そして押し黙る者。感情がうるさく無言に叫ぶ。



複数の影は冷酷無情に破壊され、草葉の中に倒れていく。首もなく、嘆く貌もなく。

辺りに木霊する魂の叫び声と、求む絶叫の旋律は、聞くものが聴けば愉悦を感じるのであろう。


赤い瞳は笑う事も、興奮することもない。その行為に英雄を求めない。勲章も、名誉もなく、語るも亡き。


闇の中には恐怖が生ける者を蹂躙し、万死が共鳴する。死を刻む指が刃を振るって殺す。闇の中誰も知らぬ何処かに連れて行く。


闇色の刃が刻むは終末の絶叫と赤銀の痛み、歪の恐怖と零度の絶望。

魂喰らいの大刃は時を刻むようクロックワークスに命を刈り取る。


今、黒い影の周りは朱色の痛みで満たされた。群れる影の永眠を以て。



「愚かな命よ……どうか安らかに眠れ……」



長柄についた反り返る刃を振るい、闇の中次の狩場に消えた。

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