真の主役はコイツらだ!

エルフの集落を救って一週間ほど経ったある日。


「シオン様の緑聖魔術って何なんでしょうか?」


スピカが疑問に思った事を話した。


「魔法の得意なエルフでも聞いたことのな魔術ですよ?」


シオンが問い掛けに答えた。


「さぁ?なんか頭に声が聞こえたと思ったら使えたわ」

「声ですか?」


シオンはう~んと腕を組み頭を捻った。


「小さい子供の頃の話しだし、よく覚えてないのよね~魔法が使えるようになる時は、そんな感じなのかなって思ってたから」


へぇ~とスピカは関心してから修道院を出た。


「さてと!周辺の地域はある程度、探索したわね!」


あれから修道院の周辺に危険がないのか探索した。スピカを連れて崖の浜辺に連れて行ったときは、幻想的な風景にスピカは感動して涙を流したのにはびっくりした。


修道院の西側は【エルフ・エリア】と名付け、エルフの集落のもっと先には凶悪な魔物の棲みかとして滅多に行かないエリアだそうだ。そうすると、その逆の東側には何があるのかと言うと、森を抜けると広大な山脈が目の前に立ち塞がった。

木は余り生えておらず、茶色い岩肌が剥き出しである。


「深い木々で見えなかったけど、ここには何も無さそうね?」

「そうですね。こんな険しい岩山なんて登れませんしね~」


ピッコーン!


その時、シオンの頭に閃きが走った。


「ちょっと登ってみようか!」


えっ!!!?


「ちょっとシオン様!今、登れないって言ったばかりでしょう!?」

「大丈夫!【運んで】貰うから!」

「ふぇっ?」


シオンは魔力を溜めて唱えた!


「緑聖魔術!出て来て!ウッドゴーレムちゃーーーーん!!!」


シオンが叫ぶと、みんな大好き!みんなのウッドゴーレムちゃんが2体現れた。


う~ん、どんどん召喚の仕方が雑になってくるなぁ~?もしかしてこの小説の真の主役はコイツらかも知れない。


召喚されたウッドゴーレムの背中には人を担げる様に木の蔦で籠のようになっていた。憎い演出だぜ!


「さぁ!行くよー!」

「えっ!?ちょっ!まっ─!?」


あっという間にウッドゴーレムの背中に乗せられ、あわあわしている間にウッドゴーレム達は崖のような岩山を登っていく。落ちないように手を掛けた所に気の根を張りながら、しっかりと険しい山を登っていった。


「あわわわわっ!恐いです~」

「大丈夫!大丈夫!何とかなるさ!ケセラセラよ!」

「何処の言葉ですか~!!!!」


スピカの悲鳴がこだました。


しばらく登って行くと、崖のような急斜面が平らになった。


「ふぅ、ちょうどここが山の中腹なのかしら?」


ウッドゴーレムから降りて振り返ると、その絶景に言葉を失った。深い森だと思っていた場所も、遠くには切れていて海も水平線が見えた。

あら?森の入口に建物が建ってる?来るときは馬車で窓が小さかったから見えなかったのかしら?櫓のような物と住居が見えるような………?

(意外に近くに人がいたのかも?)


「…………すごい!」


恐がっていたスピカもその絶景に言葉を失っていた。


「私達が住んでいた場所ってこんなにも小さい地域だったんですね………」

「そうね。たまには外の世界へ旅立っても良いかもね」


ここで休憩時間にして、持ってきたサンドイッチで昼食を取った。


「さてと!見たところ鳥すらここには来ないようね?もう少し登ってみましょうか!」

「えーーー!まだ登るんですか!?」


シオンはスピカに向かっていった。


「スピカちゃん、どうして登るかって?それはそこに山があるからだよ!」


キリッとしたキメ顔でスピカに言った。


「イヤイヤイヤ!?なに上手いこと言ったつもりですか!全然よく無いですからね!」


スピカのツッコミも虚しく、ウッドゴーレムに乗せられ、更なる山頂へと登っていく。


更に登って行くと、シオンの表情が変わった。


「…………ちょっとヤバいかも……ね?」

「な、何がですか?」


シオンはスピカに小声で話すように指示を出して話した。


「このプレッシャーを感じないの?」

「ええ………と、さっきから感じています。この高い場所だからと思っていたのですが………」


シオンは首を振った。


「違うわね。標高の感覚じゃないわ。これは…………多分……」


シオンが言う前に雄叫びが聞こえた!


グオォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!


思わず耳を塞いだ。


「何これ!何これ!!!!!!!!」

「ワクワク!ワクワク!これはRPGの定番の龍でもいるのかしら♪」


スピカと反対の表情でシオンは嬉しそうだった!


「何を口でワクワクって言っているんですか!!!強力な魔物がいるのですよ!?」


半泣きでスピカが怒鳴った。


「ちょっと聞いてみるかしら?サモン!守護精霊スフィア!」


シオンが召喚すると修道院でお留守番をしていたスフィアが光の輪から現れた。


「あら?ここはどこですか~?」


呑気な守護精霊にシオンは尋ねた。


「東側にある山脈を登ったのよ。見て!凄い絶景でしょう!?」

「おおっ!凄い景色ですね!」


スフィアも目の前の絶景に夢中だった。


「スフィアはこの山脈に何があるか知ってる?」

「いいえ?流石にこの絶壁を登るバカな人は数百年現れませんでしたから」


ほほう?私がバカとは………帰ったらお仕置きだべ~?


グオォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!


また魔物の雄叫びが聞こえた。


私は全ての謎を解き明かすまでは諦めないわよ!


(お前は何を成そうとしているのやら)

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