害虫退治をしよう!

その場ですぐに対策会議が開かれた。


「ここではいつワームが襲ってくるかわかりません。1度集落へ戻りませんか?」


心配そうに話すイルミナさんにシオンは大丈夫と言って話した。


「多分、すぐに解決出来ると思います。こちらには守護精霊(笑)のスフィアがいますから」


「シオン、いつも私を呼ぶ時に副音声が聞こえるのは気のせいでしょうか?」


「気のせい♪気のせいよ♪」


シオンは地面の下を探る為に魔法を使った。


「緑聖魔術『サーチ』!!!」


植物の【根】を地面に巡らして地中を探索する。目を閉じて意識を集中している。


しばらくして─


「見つけた!」


一同がシオンを見つめた。


「魔物の位置が分かったのですか!?」


「ええ、ワームは卵を産む女王がいるの。その女王を倒さないとイタチごっこなのよ。それに女王は地中深くにいるからなかなか手が出し難いのよね」

「シオン、それならどうやって退治するのですか?」


スフィアの問い掛けにシオンはあっさりと言った。


「私の緑聖魔術なら簡単に倒せるのよ。ってか、もう女王をほとんど倒したようなものよ?」


「「「どうやって!!!」」」


みんなの声がハモるが気にせず続けた。


「女王の巣に植物の根を網目状態に張り巡らせたわ。これで逃げられない。後は・・・」


シオンは指をパチンッと鳴らした。


するとー


ドッーーーーーーン!!!!!!


「何事!?」


「心配しないで、張り巡らせた根は【油の樹脂】を出す植物の根を成長させたので、それを燃やしただけよ♪」


エルフ一同は唖然としていた。


「高温と酸欠で殆ど死ぬでしょうね!これで完了よ。あっ、汚染された田畑をどうにかしないと!」


シオンはまた緑聖魔術を使った。


「毒素を分解、中和して田畑に栄養のある土を………緑聖魔術『パーライト』!」


エルフ達は目を丸くして大きく口を開けて唖然とした。目の前には、紫色の毒の沼地がどんどん消えていき、地面の土は栄養分を含んだ黒っぽい土に変化していった。


「ふぅ~、取り敢えず地中が空洞化していたから、きちんと埋めておいたわ。サービスよ!」


放っておくと大雨の時に地盤沈下を起こすからね!


「な、なんと言って良いのか………ありがとうございます!」

「いいからいいから♪それよりスフィア、わかっているでしょう?」


突然呼ばれてスフィアは、はいっ!と返事をした。


「何ですかね?」


まったくわかっていなかった。


「このヘッポコ守護精霊が!私の魔力供給で力が増したでしょう!エルフの集落周辺まで力が届くはずよ!」

「ああっ!そういう事でしたか!了解であります!」


ビシッと敬礼をして、スフィアも魔力を漲らせ、この場で解放した。


「良い仕事しましたよ~私の神核は修道院にあるので修道院からこの付近まで【神聖結界】を広げました!弱い魔物は寄ってこないと思います!」


「「「おおっ!!!」」」


エルフ達から歓声が上がった。私の時より声が大きいぞ!ちくしょうめい!?


スフィアがこっちをみて、ドヤ~とした顔をしていた。


イラッ!!!


アイツはムカつかせる天才かよ!?


「本当にありがとうございます!まさか、即座に解決してくれるとはっ!?」


エルフ達は歓迎会を開くといって集落へと戻った。念のため見張りを数日置いてからまた農作業をするとの事だった。



日が暮れて…………


「さぁ!この度、守護精霊様とその契約者様が訪ねて来られた!そして、我々が手を焼いていた魔物をあっという間に退治して、田畑まで浄化してくれました!この恩に報いるために最大限のおもてなしを!」


「「「守護精霊スフィア様とその契約者シオン様に乾杯ーーーー!!!!!」」」


ワイノ!!!ワイノ!!!

ザワザワ!!!ガヤガヤッ!!!


「えっーーーー!!!?それじゃシオン様は冤罪で追放されたのですか!!!?」

「ウィック………そう~なのよ~~~もう嫌になっちゃうわ~」


すでに出来上がっているシオンに、修道院の事を聞いていたエルフが驚きの声を上げた。


「シオン様は公爵家の御令嬢だったのですね………敬語しないと不敬罪になっちゃうかな?」

「うぃ~今の私は平民よ!構わないわ♪」

「それにしても修道院の方々には悪い事をしたの………もう少し交流を持つべきじゃった。すまぬ」


年配のエルフは黙祷を捧げた。


「仕方がないわ。エルフの感覚と人間の感覚は違うから………それに院長さんもエルフに付いては全然書いていなかったから………自分達の問題に巻き込まないようにしていたのね」


長老のイルミナさんがシオンに提案した。


「シオン【様】、聞けばすでに修道院は無いも同然の状態。もし宜しければエルフの集落で暮らしませんか?」


魅力的な提案にシオンは首を振った。


「それも悪く無いけれど……前の院長さんが死ぬまで大切にした修道院をまた廃墟にしたくないの。だから修道院で活動するわ!」

イルミナも答えが分かっていたように頷いた。


「では、ここにいるスピカをお連れ下さい。守護精霊様がいるといっても1人では色々と御不便でしょう?」


シオンはスピカを見て良いの?と尋ねた。


「はいっ!シオン様の魔法に感動しました!是非ともお連れ下さい!」


こうしてまた1人、修道院の入居者が増えるのであった。




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