まずは修道院を直して掃除しましょう!

院長さんを埋葬した後は、暗くなったので適当な部屋で寝る事にした。持ってきた干し肉をかじって早々に眠った。

疲れていたのか不思議とぐっすりと眠れた。私は意外と図太いのかも知れない。


ぐぅぐぅ………

『………え……る?』

ぐぅぐぅ


次の朝になりました。


「う~ん!よく寝た~」


私はクローゼットにあった修道服を拝借して、格好【だけ】は修道女になった。


「でも不思議よね?部屋の中にある物は不思議と傷みが少ないわ?」


中央の聖堂は屋根が落ち、雨風に晒されて一部が腐っていたり酷い有り様だが、各部屋の扉は特に傷んでなく、部屋の中も埃以外は特に綺麗だった。


「ちょっと動くのに邪魔だからスリットを入れますか!」


基本的に修道服は丈が長く少し動き難い。私も淑女の訓練をしていたが、今は平民のようなものだしいっか!チャイナ服のように動き易くしてから行動を開始した。


「まずは屋根よね………」


二階に上がり、各部屋を見た段階で屋根裏部屋を見つけた。そこから屋根に上がったのだ。


「ふふふ………【緑の癒し手】の力を久々に存分に使えそうね♪」


私は目を瞑り全身に魔力を漲らせた!


緑聖魔術りょくせいまじゅつ!【復元】!!!』


両手を前に手を出して呪文を唱えると、みるみる内に崩れた木造部分が脱皮をするかの如く、成長して元の姿に戻っていく。わずか数分で屋根の『修理』が完了した。


「ふぅ~久々だけど大丈夫みたいね♪どんどん行ってみよう!」


屋根から降りると、2階部分から腐っている所などに緑聖魔術を掛けていく。そして1階部分の長椅子も復元して、元の形に戻っていった。


しかし、問題もあった。


それは埃や崩れた木材、木屑などはどうにもならない。でも─


「ふぅ、緑聖魔術!『ウッドゴーレム』!!!」


人の大きさぐらいの木のゴーレムを2体作り出してゴミを外へ出していく。ありがとうー!可愛いウッドゴーレムちゃん達!


「あらかたのゴミが無くなったわね。後は、生活魔法『クリーン』!」


クリーンは身の回りの汚れを分解して綺麗にする魔法だ。それを修道院の窓や扉を開けて建物全体に掛けたのだ。カビなどは分解されて綺麗に、埃などは風で外に。


あっという間に、修道院は元の建物の姿に戻ってしまった。どうみても新築同然となった修道院!


「いやー!良い仕事したわ!Before、Afterを見せて上げたいわ♪」


魔力を使って少し疲れたけれど私は自分の仕事に満足していた。


「それにしても魔法って便利よね♪読者の期待を裏切ってあっという間に掃除するなんて、シナリオブレイカーを頑張っていた甲斐があったわ!」


※いいえ誰も期待していません!


シオンは綺麗になった女神像の前に立ち、水を汲んできた桶に雑巾を浸けて拭き出した。


「綺麗になったけど、水で磨かないと艶が出ないしね。全部魔法だと有り難みが無いし!」


女神像を手で綺麗にしてからようやく全ての掃除が終わった。


ぐぅぅぅ~


お腹が空きました。


「取り敢えず魚かな?」


裏庭の小川から魚を捕ろう!うん、そうしよう!!!


魚は簡単に取れました。小さな小川に木の柵を作り、魚を挟むようにもう1つの木の柵を縮めていくだけです。これぞサバイバル術、超簡単、魚を捕まえる方法である!


魔法で火を起こしてお昼ご飯は少し大きめの魚を2匹食べました。ゲップ………

(あら?私としたことがはしたないですわ。オホホホッ)


さてと、厨房で使えそうな物を確認しますか。

生活に1番必要な所で厨房の棚をガサゴソと何かないか探して廻った。


「おっ!ビンの中に塩があったわ♪しかも、赤みががっていて粗目状………岩塩だわ!?」


人には塩分が必要だ。昔は塩の取れない地域では獣の血を飲んで補給したそうだけど、衛生上は御免被りたい。


「近くで岩塩が採れるのね。生活基盤が整ったら調べてみましょう」


修道女の方々が採取していたのなら、そう遠くない場所にあるはずね!


幾つかの干し肉や乾燥野菜、塩漬けの野菜があったけど流石に食べる気が起きず捨てる事にした。そして塩と同様にとんでもない物を見つけた!


そう、砂糖である!


「えっ?何でこんな高級品がここにあるの?」


現代の真っ白な砂糖と違い、茶色い色が着いて黒ずんでいるが紛れもなく砂糖であった。


「まさか、テンサイのような砂糖の原料植物が生えているのかしら?」


私はテンションが高まっていくのを感じた。

包丁も錆びていたが、砥石があったので水で流しながら研ぐと十分に使える状態になった。


取り敢えず小麦は何袋かはあったが、他にめぼしい食料は無く、台所での探索を終えて次は家庭菜園の場所へ向かった。


「う~ん…………一応野菜がなっている?」


雑草ぼうぼうの家庭菜園にはキュウリや茄子、大根などなど収穫出来そうな物が沢山なっていた。


よし!次は家庭菜園を復活させるぞ!

えいえいおー!!!


みんな頑張るからね!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る