第37話 個人面談 メスピーナ&パイローラ編

「帰れ変態! 貴様と交わす言葉など無い!」


 わざわいを呼ぶ女メスピーナの部屋に入って2秒で拒絶された。

 昨夜にこの女斥候スカウトが崇拝するエマと深い仲になった俺を恨んでいるのだ。

 愛する二人が結ばれたのに祝福できないとはケツの穴の小さい奴め。

 近い内に俺が広げてやらねばなるまいその穴を。ムフ


「もとより俺は話し合いに来たんじゃない」


「む、では何をしに来たのだ?」

 よし、喰い付いたな。

 あとは一気に釣り上げるだけだ。


「エマ同盟を結びに来た」


「エマ同盟・・・だと・・・?」

「そうだ、エマを慕う者たちによるエマを幸せにするための同盟だ」

「詳しく聞かせてもらおうか」

 フィーーッシュ!

 あっさり釣れたな。この女やっぱりチョロいぜ。


 重厚な木製テーブルを挟み竹と藤を編んだような椅子に俺たちは座った。

 俺の隣にはローラが座っている。俺が頼んでこの場に同席してもらった。

 対面にいるピーナは今日も戦闘服を着て常時臨戦態勢の心構えだ。

 まるで競泳水着のそれは際どいハイレグになっていて普通にエロい。

 俺はピーナの股間から強引に視線を引き剥がした。

 まず先に話をつけないとな。お楽しみはそのあとだ。

 

「分かっていると思うが俺はエマと結婚する」


「くっ・・・」

 薄幸の女は眉を吊り上げ唇を噛みながら赤い瞳で睨んできた。

 だが、罵倒はして来ない。

 エマが俺との結婚を望み、とても幸せそうなのを見ているからだ。

「祝福してくれとは言わん。エマのために受け入れてくれ」

「分かっている」

「エマが俺と結婚すると起こる迫害については知っているか?」

「ああ、聖職者の児童性的虐待が社会問題になっているからな」

「そういうことだ。俺はその解決策を見つけてきた」

「どうするのだ?」


「エマだけでなくパーティーメンバー全員と結婚する」


「・・・うむ、悪くない」

「話が早くて助かる。では俺との結婚を了承したということでいいか?」

「いいだろう。だが他のメンバーは承諾したのか?」

「ヴィンヴィンとレイラちゃん、そしてティアにも既に話はつけた」

「本当か?あのヴィーが貴様と結婚することを承知したというのか?」

「本当だ。メンバー全員と結婚するハーレム婚も認めてくれている」

「・・・貴様、只者ではないな。一体どんな奇跡を使った?」

「愛の奇跡と言いたいところだが、今日は腹を割って同盟を結びにきたので正直に言おう。お互いの利害が一致した。それだけだ。奇跡でも何でもない」

「フン、まあそんなところだろうな」


「これも正直に話しておくが、ハーレム婚計画には一つ致命的欠陥がある」

「何だ?」

「俺は母国では貴族だが、この国とは国交がないため重婚ができない」

「それは知らなかった。だがもちろんその対応策も考えているのだろ?」

 そうじゃないと痛い目に遭ってもらうという殺気がピーナから漏れていた。

「当然だ。そうでなくてはここに来たりしない」

「で、どうするのだ?」


「俺がこの国の貴族になる!」


「その広げた大風呂敷、畳む当てはあるんだろうなぁ?」

「既にティアと交渉成立済みだ」

「ティアと?」

「俺が三か月以内にティアを妊娠させれば爵位を買ってくれる」

「信用できるのか?」

「分からん。だがティアがそんな嘘を吐く理由も分からん。どう思う?」

「仮に嘘ならパーティーを崩壊させかねない事態になるな」

「ティアはそれを望まないはずだ。だから俺は信用することにした」

「フン、あの不道徳女頼みとは気に入らんが、他に手はないしな」

「そういうことだ。エマのために不満とリスクは飲み込んでくれ」

「それは良いが、貴様は大丈夫なんだろうな?」

「種付けのことなら心配いらん。今月中に孕ませるつもりだ」

「その自信は何処から来る?」

「根拠はある。だが実践はこれからだ。協力してくれる気はあるか?」

 

「そ、それは私を試しに孕ませるという意味か?」


「そうだ。ピーナは子供が欲しくないのか?」

「だ、誰が貴様の子など!それにエマ様に子宝を授けるのが先だろう!」

「もちろんエマは可及的速やかに孕ませる」

「フン、まずはそれを完遂しろ。私とのことはその後だ」

「分かった。子作りはあとにするが、挑戦は直ぐに受けてもらうぞ」


「私の不幸へ挑戦すると言っていたな・・・いいだろう」

 やっぱり乗ってきた。これで挑戦の名のもとにエロいことやり放題だぜ!

「待たせたなローラ」

「こんな面白いイベントを見物できるのならちょっとぐらい待つのデス」

「ローラ、お前は何をしに来たのだ?」

「私は不幸 VS 変態の見届け人デス」

「ローラには俺の挑戦を公平にジャッジしてもらう。ではベッドに行こうか」

「何のつもりだ?」ギラリ

「不幸が襲って来るまで濃厚接触する。安心しろ、種付けはしない」

「当たり前だ!」

「俺の挑戦から逃げない受けて立つと言ったよな?」

「くっ・・・」

 ピーナはまた唇を噛み殺気を込めた視線で俺を睨んでから、無言で椅子から立ち上がりベッドに向かうと、真っ白なシーツの上に腰かけた。

 俺もウキウキワクワクしながら後に続き陰のある美女の隣に座った。

 ピーナは夕焼けを想わせる赤い目を細めて俺を吟味するように観察し、一度はぁ~と深いため息をついてから、意を決して宣戦布告してきた。


「何処からでもかかってこい!」

 

 おおぅ、きつめの顔付きの美人が凄むと迫力あるなぁ。

 良い意味でゾクッとして溜まらんわ。股間に響くわ。

 よーし、じゃあお言葉に甘えて何処から責めちゃおっかなっと。

 まぁでも最初だからな。お約束の基本から攻略していこう。

 俺はまずピーナの生意気な口を塞いで舌を絡ませ唾液を吸い取っていった。



「この程度でノックアウトとは闘い甲斐の無い女だ」

「な、何おう・・・私はまだ、闘える・・・」ハァハァ

 本来は体力満点の女斥候スカウトは、腰かけていたベッドに上体を倒して肩で息をしている。その体たらくで強がられてもなぁ。


「10分のベロチューだけでダウンしたくせに」

「くっ・・・」


 しかも何回か昇天してたよね。

 前から思ってたんだが、この異世界の女は舌が性感帯なのかもしれん。

 エマもヴィンヴィンもレイラちゃんもディープキスに弱かったよな。

 そしてその誰よりも目の前のピーナはベロチュー最弱だった。

 夕日のように赤く切ない瞳が没して白目をむき果てる有様だ。チョロ過ぎる。

 この異世界の男の方もそうなのかは分からん。知りたくなくもないが。

 とにかく、地球人より長めの舌が弱点のようだ。今後に活かそう。


 ちなみに、ピーナの唾液には魔力が含まれてなかった。

 大量に吸い上げて飲み込んだのに俺の身体に変化は現れなかったからな。

 ピーナに近づいた男たちが不幸になった原因はこれじゃないようだ。


「ローラ、俺の周囲に何か異変はあるか?」


「私は何も感じませんケド、部下からも何の報告もないのデス」

 ふーむ、キス程度では不幸など起きないのかな。

 もっと踏み込んで調査する必要があるよこれは。

 という訳で、俺の挑戦を次の段階へと進めよう。ムフ


「休憩は終わりだ。そのエロい服を脱いでもらおうか」


「・・・」

 意外と話の早いティアは文句を飲み込み競泳水着のような戦闘服を脱ぎ捨てた。

 左手で股間を隠し、右手で胸を抱えるように隠している。

 この異世界ではオッパイはただの贅肉扱いなのになぜ隠すんだろうな。

 まぁ贅肉だけに見られたくないという心理かもしれん。

 とにかく、その両手が邪魔なことに変わりはない。


「往生際が悪いぞ」


 舌だけでなく侮辱にも敏感な女密偵スカウトはカッと顔を赤くする。

 そして両手をベッドの上に投げ出し両目を閉じて顔をそむけた。


 うおおおおおおおおおおおおおお!!!


 す、凄い、分かってたが抜群のスタイルだ。ボンキュッボンだ・・・ゴクリ

 午前中に見たレイラちゃんの肉体に匹敵する見事が肢体がそこにあった。

 巨娘は小麦色でピチピチだが、ピーナは雪女のように白くしっとりしてる。

 もう辛抱溜まらん。

 俺ははやる心を抑えながら濃厚接触を始めた。



「この程度で失神とは不甲斐ない。勝負にすらならんぞ」

「ぐぬぬぅ」

 俺に頬を叩かれ意識を取り戻したピーナは屈辱に身を振るわせていた。

「小一時間、スキンシップされただけで気絶とは恥を知ったらどうだ」

 食堂で罵倒された時の仕返しをここぞとばかりにしておいた。

「あんな事をするのは貴様ぐらいだ!」ハァハァ

 何を言ってるんだ。男なら誰だってするだろ。

 ていうか、お前が付き合ってきた男たちは何をしてたんだ。


「恋人がいたはずだよな?」

「許嫁がいた・・・」ハァハァ

 なるほど。この感じやすさは許嫁に開発されたものだったか。

 だがその婚約者はあまり前戯に時間をかけなかったようだな。

 まったく我慢の足りない男だ。

 さて、それよりも禍を呼ぶ女の件だが、俺の身体に変化は何も起きてないぞ。

 ピーナはラブジュースにも魔力がほとんど含まれてなかった。

 さちだけでなく魔力も薄い女だったか。

 

「ローラ、俺の周囲に何か異変はあるか?」


 スースースー プクーーー


 鼻風船!

 寝てたんかーい。

 俺が突っ込もうとしたら、風船がパンと弾けて闇エルフは目を覚ました。

 

「・・・肉が見当たりませんケド、まさかピーナの不幸が発動したデスか!?」

 肉など初めから無いわ。

 見届け人のお前が寝ぼけてどうする。

 それに万が一の時の護衛でもあるんだぞ。

 逆ギレしたピーナが襲い掛かってきてたら俺死んでたぞ。ホント頼むわ。


「肉は関係ない。それより何か異変は起きてないか?」


「無いですネ、強いて言うならお婿様の肉棒に異変が起きてるのデス」

 これは自然現象だから!

 本当は俺だって今直ぐ封印を解き放って大暴れさせてやりたいんだよ。

 でもまだ早い。もう少しだけ我慢だ。

 ピーナが本当に災厄の女だったら俺にどんな不幸が訪れるか分からん。

 もっと幸薄さちうすい美女の正体を探らないと。


「ピーナ、許嫁にどんな不幸が起こったんだ? 詳しく話してくれ」


「私は戦闘民族の村の出だ」

 まぁそんな感じだな。

「族長の娘だった私は十五の時に親が決めた許嫁が出来た」

 15歳か、この異世界では14から18が結婚適齢期だから普通だな。

「ところが許嫁になった途端、その男は病の床についてしまった」

 ほぅ、病魔か。

 ピーナに憑りついてる悪霊が相手を呪ったとかいう話かもな。


「親はその男を諦め別の男を私の許嫁にした」

 そして、その男も病に倒れたわけだ。

「ところが許嫁になった途端、その男は山で足を滑らせ大怪我をした」

 んんん?

 今度は病気じゃなくて、ドジって怪我しただけか。

 これって不幸を呼ぶとかじゃなくて、ただの偶然じゃないの?


「親はそんな軟弱な男はいらんと切り捨て別の男を私の許嫁にした」

 それからどした?

「ところが許嫁になった途端、その男は村から消えていなくなった」

 あっ、もしかしてこれ、そういうことなんじゃないか・・・


「この神隠しが決定的だった」

 いやそれ神隠しじゃないから!


「私はわざわいを呼ぶ女として村中から忌避されるようなった」

 噂で村八分にされちゃったかぁ。


「族長の立場まで危うくなると恐れた私は村を出た」

 まぁそうするしかないよな。


「それ以来、男とは無縁だ。不幸のオーラのせいか近寄っても来ない」

 俺はそうじゃないと思うなあ。

 しかし、ちょっとこれは確認が必要だ。


「ピーナは少し休んでいてくれ。ローラ、ちょっと付き合え」

 俺は闇エルフを廊下へ連れ出し少し離れた場所まで誘導した。

 ローラの表情を見ると、どうやら俺たちの意見は一致してるようだ。


「これって単に許嫁に逃げられただけだよな?」


「そうでしょうネ。自称不幸の女には現実が見えてないのデス」

「だがどうしてだ? やはり、胸と尻の贅肉が原因か?」

「それだけじゃないとエマさんは言ってましたケド」

「他に何がダメなんだ?」

「赤い目は人間たちにとって不吉なんだそうデス」

「そうなのか。俺はピーナの夕焼けのような目が好きだけどなぁ」


「それに顔の黒子ほくろも縁起が悪いと言ってましたネ」

「黒子ねぇ。俺にはむしろあれはチャームポイントなのに」

「口の下の黒子はヨダレを示し食い意地の張った証拠だそうデス」

「馬鹿な! それならお前の口の下は黒子だらけのはずじゃないか!」

「酷いことを言うのデス。私は妖精ですよ。食い意地などありまセン」

 息を吸うように肉をむさぼっておいてどの口が言うのか。

 ま、今はそれどころじゃない。

 勘違いしてるピーナをどうするかだ。


「なぜピーナは自分が男から敬遠されてると気付かなかったんだ?」


「族長の娘ですからネ。誰も本当のことを言わないし言えなかったでショ」

 そうかぁ。狭い村の中ではそうなっても仕方なかったろう。

 思えばピーナは確かに不幸の女だったのかもしれないな。

 ちょっと可哀想になってきた。

 できれば、何も知らないまま俺の嫁として幸せを体験させてやりたい。

 ローラにその旨を伝えて俺たちはピーナの部屋に戻った。



「許嫁というのがキーワードだ」

 俺はまたベッドに腰かけてピーナに考えを述べた。

「当然だな。三人とも私の許嫁になった途端、不幸に見舞われたのだから」

 裸身に薄い掛け布団を巻いて隣に座っている薄幸の美女は同意した。


「そこでだ。俺が四人目の許嫁になる!」

「・・・どうなっても知らんぞ」

「エマのためだ。それにお前のためにも俺は許嫁になる」

「フン、何を企んでいる?」

「何も。それに先程、結婚を承諾した時点で俺は許嫁になったようなものだろ」

「確かにな」

「よし、じゃあこれで晴れて俺たちは許嫁同士だ」

「降りかかるわざわいでエマ様に迷惑をかけるなよ」

 ホントこの女斥候スカウトはエマが大好きだよなぁ。

 いろいろ落ち着いたらその辺の話も聞かせてもらうか。


「では許嫁としてお前の身体にマーキングさせてもらうぞ」

 俺は服を全て脱いでずっと辛抱していた息子を解き放ちピーナの前に立った。

 不吉と言われる赤い瞳の女は息を飲んでガン見している。

「もしかして見るのも初めてなのか?」

「当たり前だ!」

 どうやらこれまでの許嫁たちは本当に名ばかりだったようだ。

「男女の作法を知らないのなら仕方ない。俺が教えてやろう」

 幸せにすると決めたので今度は責めるのではなく可愛がってあげた。



「さすが戦闘民族の族長筋だな。覚えも上達も早い」

 ベッドから応接セットに戻り一息いれた俺は許嫁を称賛した。

「フン、よくも汚らしい液をあれ程ぶっ放してくれたな」

 洋風のチャイナドレスを着たピーナの言葉はそっけない。

 だけど、顔は赤くなっていてまんざらでもない表情をしてますぜ。


「お前がそんなに魅力的なのが悪いんだ」

 ドレスの腰まで入ったスリットから覗く生足をを凝視しながら褒めた。

「あれだけ私にマーキングしておいてまだ欲情できるのか?」

「そんな綺麗な肌を見せられたら仕方ないだろ。お前の過去の許嫁たちは勿体ないことをしたな。きっとベッドの中で無念を噛みしめていたことだろう」

「も、もう過ぎたことだ」

「そうだな。今は俺の許嫁なのだから浮気はダメだぞ」

「当たり前だ!」

 ふーん、そっかー。見た目通り一途な所があるんだなぁ。

 じゃあ余り待たせたら悪いから速攻でエマを孕ませてピーナも抱いてやらんと。

 それまでも、ちゃんとマーキングしに来てやるからな。安心してくれ。

 

「ローラ、許嫁宣言して濃厚接触したが何か異変はあるか?」

 ま、不幸を呼ぶ女はただの勘違いだと分かってるが、演技は続けんとな。


「ありました」

 あったんかーい!

 ど、どういうこと?

 マジでピーナが災厄を呼んじまったのか・・・ゴクリ


「何だ?一体何が起こった?」

 

「お腹が空きました。こんな時間に腹の虫が鳴るなんて本当に恐ろしいのデス」

 そういうの要らんねん!

 こいつホント燃費悪いな。だがまだ話の続きがある。宥めておかないと。

「悪いが、お菓子でも出してやってくれないか?」

「まったく、そんな締まりの無い身体をしているから腹が空くのだ」

 ピーナは悪態をつきながらもローラにスコーンとワインを出してやった。ジャムとクリームまで添えてある。辛党に見えて実は甘いもの好きかもなこの薄幸の美女は。


「じゃあそろそろ本題を詰めさせてもらおうか」

「本題とは何だ?」

 おいおい、忘れてしまったのかよ。

 まぁ初めて男と肌を合わせて気絶するほどの経験をしたのだから仕方ないか。


「エマ同盟だ」

 

「あっ・・・」

 崇拝するエマのための提案を失念していたことに愕然としたようだ。

 許嫁の女密偵スカウトはまた唇を噛み、今度は己を戒めている。

 ふふふ、そういう義理堅いところも俺は嫌いじゃないぞ。


「エマは聖職者だ。綺麗な体でいてもらわないといけない」


「さんざんけがした貴様がそれを言うのか!」

「そういう意味じゃない。落ち着け」

「では何が言いたいのだ?」

「エマのために汚れ仕事を俺たちでやろうという話だ」

「最初からそう言え」

「俺はエマをその実力に見合った地位に押し上げる」

「司教にしようというのか?」

「ひとまずはな。だがそうしようとすれば、様々な苦労が伴うだろうし、多方面から横槍が入るだろう。それを俺たちが引き受ける。ここまではいいか?」

「うむ、異論は無い。だが具体的に何をやるつもりだ?」


「差し当たっては、このパーティーが移籍したウェラウニのギルドだ」

「ギルドをどうする?」

「今の弱小から強豪ギルドへ改革する」

「エマ様が移籍したギルドがいつ迄も弱小では評判に傷がつくか」

「そういうことだ。現時点でそのための策が二つある」

「聞かせてもらおう」

 俺は成功報酬を支払わない極悪人を懲らしめる計画と銀行プレオープン日を盛り上げる作戦をピーナとローラの前で語り始めた。




「ローラはダークエルフだから、やっぱり結婚できないのか?」

 今、俺たちはセクスエルム・シスターズの家の裏庭から続く森の中に居る。

「たぶんできマス」

 下半身デブの闇エルフは呼び寄せた魔獣たちを数えながら答えた。

 アレレ、できるんだ。何か話が違う気がするがまあいいか。


「じゃあ結婚しとく?」

「何だかとってつけたみたいで気に入らないのデス」

「俺からエマに頼んで毎日好きなだけ肉解禁でどうだ?」

「そこまで懇願されては仕方ありませんネ」ジュルル

「契約成立だな」

 よし、これでハーレム婚計画の素地はできた!


 あとはギャルビッチをASAPで孕ませればいい。

 そうすればギャル子が俺に爵位を買ってくれる。

 この国の貴族になれば正式にパーティーメンバー6人全員を嫁にできる。

 ふふふ、迷いが晴れて道筋が見えたら俄然ファイトが湧いてきたぞ。


「気持ち悪いですネ。落ちてる肉でも食べましタカ?」

 不気味な顔でニヤニヤしていたらローラに突っ込まれてしまった。

「落ちてる肉を食うという発想ができるとは驚きだよ」

「他人の肉壺に舌を入れて舐め回す方が驚きなのデス」

 俺のいた世界では普通だったんだよ!

 この異世界では男娼しかやらない邪道らしいけどな。


「そんなことより特訓を始めマス」

 おっと、そうだった。

 俺はローラが捕まえてきた魔獣を操る練習をしないと。決行日は近い。

 森の中にソプラノリコーダーが奏でるエーデルワイスが響き渡った。

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