第791話暑い日
先日2回目のバイトに行ってきて、一息つこうと思ったが現在は8月後半。
「・・・暑いな」
起きてみると本当に暑い。
最後の抵抗とでも言わんばかりに、温度が急激に跳ね上がっていることをこの身で感じることができる。
・・・勘弁してほしい。
俺は部屋から出てリビングに向か・・・ん?
「暑・・・」
「暑いですね〜」
リビングの方から声が聞こえてくる。
「そーくん以外の悶えてる声なんて聞いても楽しくないんだけど、ていうか暑いんだから半径50メートル以内に近寄らないでくれる?」
「こっちのセリフ・・・あぁ、早くそーちゃん起きないかなぁ」
「先輩たち暑いならエアコンつけてくださいよ〜」
「ダメに決まってるでしょ?せっかくこんなに暑いのにそーくんをたらし込めるのに使えないじゃん」
・・・ん?
俺を・・・たらし込める?
「そうですけど〜、もう十分先輩たちも私も汗いっぱいで服も透けてますよ〜」
「何ここに残ろうとしてるの?そーくんが来たら私以外全員どっかに行かせるに決まってるでしょ?」
「そっちこそ決まってるじゃん、こんな機会に虫とそーちゃんを2人になんてさせるわけないでしょ」
「あぁ、もういいです〜、私が先輩起こしてきますよ〜」
あゆは暑さからか本当に疲れていそうだ。
・・・って、今俺のことを起こしにくるって言ったか?
まず───────
「せんぱ〜い!早く起きてくださ・・・うわっ!?先輩!?」
ドアを開けた先にすぐに俺が居たから驚いたのか、あゆが退けぞった。
・・・こんなに驚くあゆを見れる機会はなかなかないため、俺は少し新鮮に思う。
「ただでさえ暑いのに驚かせるなんて・・・先輩のくせに生意気ですよぉ?あっ、それとも、もしかして覗いてたんですかぁ?」
「そんなわけないだろ!着替え中でもないのに覗いて俺に何のメリットがあるんだ!」
盗み聞きしていたことは認めるが覗いてなんかいない。
・・・というかあの女子だけの空気の中でどんな心臓を持っていれば飛び出せるんだ。
「え、着替え中だったら覗くってことですかぁ?先輩のえっち〜❤︎」
「このっ・・・」
俺はあゆに言い返そうと思ったが、今日は暑いためそんな気力はない。
俺は大人しくリビングに出て初音たちと軽く朝の挨拶をすることにした。
「おはよう、初音」
「あっ!おはよ〜、そーくん、暑いね〜」
初音の声のトーンが明らかにさっきまでと違っている。
さっきはドア越しだったからだろうか?
「そーちゃんおはよ〜、今日暑いね〜、私ちょっと脱いじゃおっかな」
「ぬ、脱いじゃおっかなって・・・!?」
結愛は今半袖シャツしか着ていない・・・というかよく見たら若干服が透けていて中の下着が薄らとだが見えてしまっている。
「ちょっ・・・」
俺はそれに気づくと、咄嗟に目を逸らした。
「そーちゃん可愛い〜!見てくれていいんだよ!」
「私のそーくんに何してくれてるの?私以外の女の体なんてそーくんには毒でしかないからさっさとどっか行って欲しいんだけど」
「はぁ?虫の貧相な体なんて見せられたってそーちゃんが可哀想なだけだよ」
「胸が肉付いて脂肪だらけになることが豪華って言うんだったら喜んで貧相なままでいいよ」
「体重平均より下だし!ちゃんと管理してるから〜」
「それはどっかの誰かさんが体重計乗る時だけ体重計が壊れてるだけじゃない?胸が重すぎて」
「その胸も込みで平均以下って言ってるんだけど?」
この2人、仲が悪いように見えて案外仲が良いんじゃないかと思えるほど逆の意味で噛み合ってるような気がしないでもないな・・・
・・・それにしても、服が透けてると言うことを意識してみると、結愛だけじゃなく初音もあゆも服が透けていることに気づいてしまった。
・・・なんだこの空間は。
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