第747話初音とあゆの真意語り
「本当にこのままそーくんと離れて、そーくんが兄妹だからって言うのを理由に霧響ちゃんと恋人にならないとするなら、あの胸にだけ栄養が偏った女とそーくんが付き合うことになるけど、本当に良いの?」
私は死んでも嫌だし死んでもそんなことさせないけど。
「まぁ良いんじゃないですかぁ〜?白雪先輩と付き合うよりは、きっと先輩も幸せになりますよ〜」
まだいつものテンションで会話を続けようとするこの女。
・・・はぁ、なんで私がそーくんに恋心を抱いてるとかいう私が一番嫌いな人種と会話なんてしないといけないんだろ、本当最悪。
「本当にそれでいいの?」
「何が言いたいんですかぁ?」
「自分でそーくんを幸せにしなくてよかったのって」
「それは・・・私が先輩の隣に立てるならもちろんそれが一番理想的でしたけど〜、どう考えてもあの状況じゃ難しかったですし、私が一番に考えるのは先輩の幸せなので──────」
「嘘」
私はこの女の見え透いた嘘を文字通り射抜くように言う。
「人間の感情なんてそうそう簡単に抑えられるものじゃないし」
私がそーくんを好きになるなって言われても絶対に無理なのと同じように。
「・・・もちろん私だってそんな簡単に感情を抑えられるほどまだ大人じゃないですけど、それでも先輩の未来を考えるならこうするのが正解なんですよ、最後に良い思い出も作れましたし」
本当はこの女の気持ちに火をつけるようなこと言うの嫌だけど多分ここでこいつの考えを改めさせないと本当に私までそーくんと会えなくさせられる。
良い思い出・・・?まぁいっか、今はとりあえず。
「へぇ、そーくんがこのまま他の誰かと恋人になってもいいの?」
「・・・白雪先輩が恋人なことよりはマシじゃないですかぁ?」
「・・・本心?」
「・・・はい〜」
「本当に?」
「っ・・・!」
いくらそーくんをたぶらかそうとする女で私のことをそーくんから離そうとするなんて愚行をしてるにしたってそれの犠牲に自分がなるなんて言うのは・・・
「無理だよね」
「・・・できますよ」
この女は改めてこっちに向き直ると自分の手を胸に置いて強く主張するように言う。
「できるんじゃなくてやるんですっ!そうじゃないと私がここまでした意味がないじゃないですか!」
きっとそーくんでも見抜けるほどわかりやすい強がり、見栄っ張り。
「へぇ、じゃあそーくんが他の女とイチャイチャしても良いんだ〜」
「・・・白雪先輩じゃないなら基本は常識あると思いますから大丈夫だと思いますよぉ?」
「じゃあ私以外の女ならそーくんが他の女とイチャイチャしても良いんだ?」
・・・どうしよ、自分で言ってて吐き気がしてきた。
そーくんが私以外の女とイチャイチャ・・・?
ぁぁぁぁぁぁ、耐えないと・・・!最悪!!
「良いわけないじゃないですかっ!こっちだって我慢してるんですよ!」
この女は今にも泣き出しそうな表情になった。
・・・正直ここまでになるとは思ってなかったけど、これは好都合。
・・・だけど、これを言ってしまうと今後さらにリスクを負ってしまう可能性がある、でも今目の前の問題が先、だよね。
「そんなこと言ったって、我慢できる程度の愛情なんでしょ?今までそんなのに邪魔されてたなんて思うと最あ─────」
「我慢したくてしてるわけじゃないしっ!」
「でも理屈で抑えて我慢できる程度なんでしょ?」
「私だって───────」
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