第698話整えられた環境

 私は本当ならそーくんとあのまま戯れていたかったのを我慢して我慢して我慢して・・・!

 最低限の服だけ着た状態で一階の電話が鳴ってる所に向かう。

 もしかしたらあの女と鉢合わせするかも、なんてことも頭を過ったけどキッチンの方から料理をしてる音がする。

 多分そーくん達に対する好感度アップを目的にいつでも食べれる軽食でも作ってるんだと思う。

 まぁ、今はあの女のことなんかよりも、早く電話の件を片付けて私を待ってソーくんのところに戻らないと・・・!

 私はすぐに一階の電話の前まで来て、急いで電話を取る。


「はい」


 誰か知らないけどもしこれで間違い電話とかだったら私とそーくんの神聖な時間を潰した罰として死んでもらわないとね。


『あっ、初音ちゃん?』


「・・・え?」


 電話先から聞こえてきたのは、聞き間違うはずもない、そーくんのお母様のお声だった。


「は、はい!初音です!」


 私はすぐにさっきまでの失礼な考えを頭から消去し、そーくんのお母様に対する精一杯の誠意を電話越しにどう表現すればわかってもらえるかを頭を回転させて考える。


『あ、良かったぁ〜!出てくれて』


「いえいえ!当たり前のことをしたまでです!!」


 ・・・そーくんのお母様達が出かけてからそろそろ1、2時間ぐらい。

 そのタイミングでわざわざ電話をかけてくるってことは・・・


『ちょっと初音ちゃんにとって朗報か悲報かは分からないんだけど〜』


「はい」


家を留守にするね〜、意味は・・・初音ちゃんならわかるかな?』


「はいっ!もちろんですっ!!」


 今晩だけ家を後にする、つまり今晩で私がそーくんと無事子作り・・・にまでは至れないまでもえっちなことができるのかをテストしに来てる。

 言われるまでもなくもうその下準備は済ませてるし、あとはこの電話が上がってそーくんの部屋に入るだけでそーくんから勝手にえっちなことを要求してくる最高の環境も整ってある。


『それと、公平に行きたいから、このことは結愛ちゃんにも伝えてくれるかな?』


「わかりましたっ!」


 そーくんのお母様には悪いけどこれは嘘。

 なんで私があんな女なんかと公平に行かないといけないんだろう。

 それだけはそーくんのお母様が言うことでも受け入れられない。


『うん、じゃあ・・・夜を、ねっ!』


「はいっ!ありがとうございますっ!!」


 私はそーくんのお母様から電話を切るのを待ち、数秒待つと電話が切れた。


「よしっ!」


 私は改めて気合を入れ直してからそーくんの元に戻ろうしたけど・・・


「虫、今の電話、何?」


 っ・・・!

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