第655話実技テスト

「実技・・・?」


「今のを踏まえた上で、今から似たようなことするから、さっき私が言ったのと同じようにしてね?」


「は、はぁ・・・?」


「待って」


 と、結愛が止める。


「何?今私とそーくんが話してるんだけど」


「虫は審査員をしたら?そーちゃんの実技の相手は私がするから」


「・・・は?」


 今度は初音が結愛の話を止める。


「こんなことの実技の相手なんて彼女の私以外になしに決まってるでしょ?」


「・・・じゃあ交代制にしよ」


 結愛がよくわからない提案をする。

 さっきから2人は何をそんなに言い争ってるんだ・・・?


「・・・交代制?」


「前半は虫がしても良いから、後半は私がするの」


「・・・それで良いよ」


 初音は結愛の提案を許可した。

 すると結愛はそれと同時に部屋の入り口の方まで寄った。

 ・・・ん?


「じゃあ、そーくん、実技開始ね?」


「は、はぁ・・・」


 すると初音は深呼吸をし・・・


「あーっ!そーくん、いきなり雨降ってきて濡れちゃったねー」


 ・・・え?

 あ、あぁ、そうか、あくまでもこれはテストだから演じてるんだな・・・


「そ、そうだなー」


 ここは合わせておこう。


「はぁ〜、体濡れちゃったから寒いね〜」


「え、いや、今は夏だから寒くはならな──────」


`ギロッ`


 一瞬、初音から怖い目を向けられる。


「じゃなくて、そ、そうかー、た、確かに寒いなー」


 あ、危ない危ない・・・


「だよねー・・・良かったら、そーくんで温めてくれない?」


 来た・・・この文言。

 確かさっき初音が言ってた答えは・・・抱きつくみたいなことを言ってたけど。

 ・・・や、やるしかない。

 俺は決意を固め、初音を抱きしめる。


「ぁぁ・・・❤︎」


「ちっ」


 それと同時に初音は変な声をあげ、結愛は小さく舌打ちをした。


「よ、よし、これで良いだろ?もう終わりに──────」


「あっ、でも濡れてる服着てるからまだ寒いな〜」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


 ・・・ん?なんだこの沈黙は。

 もしかしてまた何か試されてるのか?

 ・・・いや、さっきそういえばもし寒い的なことを言ったら服をぬがせてあげてみたいなことを言ってたな・・・


「・・・え」


 ま、まさか・・・


「・・・・・・」


 それを今やれってことなのか?冗談だろ?

 結愛も見てる中で初音を脱がせるなんてことできるわけがない。


「・・・そーくん、どうすれば良いか、わかってるよね?」


「え、えーっと・・・は、はい」


 俺は初音に諭されるがままに初音の上着に手をかけて・・・脱がす。

 ・・・世のカップルは本当にこんなことをしてるのか?

 疑問を持ちつつも、俺は初音の上着を脱がした。


「こ、これで良いだろ?」


「30点」


「・・・え?」


 なんでだ?しっかり脱がせたはず。


「下着姿になるまでって言ったよね?あと上だけじゃなくて下も脱がせるの」


「・・・・・・」


 し、下着姿になるまで・・・か。

 無理だ無理!ただでさえ恥ずかしいのに結愛がいる前でなんて・・・


「そーくん、ここであの女に、わからせるためにも・・・ね?」

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