第635話結愛からの選択肢
初音が今日寝泊まりする俺の部屋に、俺がもしかしたら何かを隠しているかもしれないと先に俺の部屋の中に入って行ってしまった。
・・・はぁ、ゴールデンウィークから一度もこの家に来てないのに何かを隠すなんてできるわけがない。
なんてことを言っても無駄なことはわかっているため、俺は何も言わずにそのまま見送った。
「そ、そーちゃん!お、お話があるのっ!」
「なんだ?」
「うん、あのね?そーちゃんは私と結婚するのと私が死ぬのだとどっちが良いかな?」
「え・・・?わ、悪い、もう一度言ってもらってもいいか?」
疲れてるな、変な聞き間違いをしてしまった。
「うん、そーちゃんは私と結婚するのと私が死ぬのだとどっちが良いかな?」
「・・・え?」
・・・全然聞き間違いじゃなかった!?
っていうかこの命懸けな感じちょっと前にもあったような気が・・・
「え、えーっと、い、いきなりどうしたんだ?」
まずは結愛を正気に戻してちゃんと話すことから目指してみよう。
「ただ気になっただけだから、全然気軽に答えてくれて良いよ?」
気軽に答えるにしては内容が重すぎる。
気軽に命を懸けた質問をしないでほしい。
「そ、それは、まぁ・・・し、死ぬってなったら結婚の方が良い、な」
流石に命が賭かっている状況ならどうにか初音を説得して結愛と結婚をするだろう。
・・・まぁそもそもそんな状況は来ないだろうし俺が初音を説得できるのかも不明だが・・・っていうか多分無理だとは思うけど。
「・・・そうなんだっ」
「で、でも、そもそもそんな状況になんてなかなかならない」
「じゃあ前も似たようなこと聞いたけど、もしそーちゃんが私と結婚してくれなかったら自殺するって言ったらそーちゃんはどうするの?」
「そ、それは・・・け、結婚じゃない何かで結愛が納得してくれることを探すしかない」
俺にしては思い切ったことを言った。
「私が結婚以外じゃ満足できないって言ったら?」
「そ、そんなこと・・・言うのか?」
「言うよ?」
言うのか・・・それはもう本当にお手上げた。
前結愛に同じことを聞かれた時は確か初音と相談するみたいなことを言ったけど、それは結愛に否定されたしな・・・
「・・・ちょ、ちょっと待ってくれ、答える前にやっぱり恋愛に命を賭けるなんておかしくないか?」
「一生を一緒に過ごすんだから命を賭けてもおかしくないよね?」
「ぶ、文面だけで考えるとそうなんだけど・・・」
どう言えばこの感覚が伝わるんだ。
「・・・でも、私とそーちゃん、あとついでにあの虫も幸せになれる可能性がある答えがあるの」
「・・・え?ほ、本当なのか!?」
俺はそんな天才的な答えがあるのならと、希望を求めるかのように結愛を見た。
「うん」
「ど、どんな方法なんだ!?」
「それはね・・・私とそーちゃんが年内まで恋人になることだよ」
・・・え?
俺は結愛の言っている意味が理解できず、詳しく話を聞くことにした。
そ、それがどうなったら3人が幸せになれる可能性が出てくるんだ・・・?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます