第614話初音の叱り
「ん、んん・・・?」
俺は唸るような声を上げながら目を開く。
えーっと・・・確かあゆと一緒に学校に行ってお化け屋敷に入ってその中で結愛に・・・
`ガタッ`
「ひっ!ゆ、結愛!悪かった!許してくれ!!」
頭を下げて言う。
俺は特に何か悪いことをしたような覚えはないが、どんな状況でも許しを乞うように謝ればどうにかな────りはしないな、うん。
そんなことでどうにかなってるなら俺はさっきあんな目に遭っていないだろう。
「・・・そーくん、なんで他の女の名前なんて出してるの?」
「・・・へ?」
俺は下げていた頭を上げその声の主の方を見上げると、そこには結愛─────ではなく、初音が立っていた。
「っていうか、ここ・・・あれ、お、俺学校にいたはずじゃ・・・?」
いつの間にか周りの景色はあの暗闇のお化け屋敷から自分の部屋になっている。
「ど、どうなってるんだ・・・?」
「どうなってるんだは私のセリフ、まず色々と聞きたいことがあるけどなんで私に黙ってあんな2人と学校になんて行ったの?」
「・・・え、ち、違う!結愛は後から来ただけで───────」
「じゃああの淫乱女とは行ったんだよね」
「え、そ、それはそうだけど・・・初音は許可出してるんじゃないのか?」
「・・・許可?」
「あ、あゆが初音から許可をもらってるから俺とあゆの2人で学校に行っても大丈夫って言って──────」
`ドンッ`
初音は机を強く叩いて言う。
「私がそーくんと他の女が一緒に学校に行くなんてこと天地がひっくり返ったとしても超新星爆発が起きたとしても認めるわけないよね!?そーくんはそろそろ嘘って言葉の意味を理解したらどうなの!?」
「・・・はい、すいません」
「はぁ、そーくんは私がいないと本当にダメだよね、それがいいところなのも確かだけどこうも簡単に他の女にも騙されるなら悪いところなのも確かになってきたね・・・」
「・・・・・・」
そんなことを言われても俺はどうすることもできないため少しの間沈黙する。
「そーくんのその嘘を疑わない性格も、地球が生まれた当初とかだったら全然良かったんだろうけど、今はもう騙されたら下手したら人生が転落するぐらいの時代なんだよ?そんな時代にそーくんみたいなのがいたらどうなると思う?かもだよ?かも」
思ったよりもボロクソに言われて心が傷ついてきた。
「・・・でもね、大丈夫だよ、そーくん・・・」
初音は俺に近づいてくると抱きつきながら耳元に囁くように言った。
「そーくんは私が守ってあげるからね・・・」
「は、初音・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
よし、良い雰囲気だな。
これでさっきの怒られる感じの雰囲気ともおさらば───────
「でも、やっぱり騙されるのは良くないことだしさっきだって私が目の前にいるのに起きてすぐに私以外の女の名前を出したりとかしてたよね」
「・・・え」
「その分の粛清は受けて然るべきだよね」
「・・・・・・」
そのあとどのようなことが起きたのかは、もはや語るまでもないだろう。
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