第601話カップルお化け屋敷
「うわあああっ!」
唇に何か当たった─────
「んんっ❤︎せんぱ〜い❤︎」
「・・・えっ?あ、あゆなのか・・・?」
俺は暗闇のせいでよくわからなかったが、どうやら唇に何か当たったのはあゆらしい。
「はいっ♪お化けとかではなくて私の唇なので全然安心しちゃってください!」
「あ、あぁ、そうか・・・それは安心────って!余計に安心できないだろ!それならまだお化けとかの方がマシだっ────」
「んっ❤︎」
あゆはベッドの上で俺の唇を無理やり奪い、暗くて何をしているのかは見えないがゴソゴソと何かしらの音が鳴っている。
「ちょ、あ、あゆ、あくまでも表面上の恋人ってことを忘れ───────」
「でも今カップルとしてここにいるのは白雪先輩じゃなくて私ですよ?」
「そ、そういう問題じゃなくてだな・・・っていうか仮に本当の恋人だったとしてもこんなところでそんなことできるわけないだろ!」
「えぇ〜?さっきの看板にベッドで何しても良いって書いてましたし〜、それに電気が切れるタイミングとかも完璧・・・つまりここはそういう施設なんですよ〜!」
「・・・は!?嘘だろ!?」
なんて詐欺施設だ・・・お化け屋敷ってだけでも入りたくなかったのにそれが半分ラブホテルみたいな感じならもっと入りたくなかった!
「ご、ごめんだ!俺は先に出る!!」
そう言って俺はあゆのことを振り切り1人ゴールを目指──────
`ガタッ`
「うわああああああああっ!」
俺は中間地点を出た瞬間に床が外れたような音が聞こえたため、驚いてすぐに中間地点に戻ってしまう。
「くすっ、先輩みたいな怖がりさんがこのお化け屋敷から1人で出られるわけないじゃないですかぁ〜」
と、顔は見えないが声だけでも嫌な顔をしていることがわかるぐらいの妖艶な声で言う。
「ま、まさかそこまで計算済みで・・・?」
「本当は真ん中ぐらいで先輩のこと襲うつもりだったんですけど〜、いや〜流石`カップルお化け屋敷`って銘打つだけあってちゃんと性行為もちゃんとできる環境があるんですね〜」
「・・・・・・」
まずい、ピンチだ・・・
ここから出るにしても俺の苦手なホラーな世界観がくり広がっているならここから逃げるなんてことも精神面的に不可能だ。
・・・物理的には逃げれる分、もしここでお化けが怖いからと言う理由でここから逃げずにあゆに襲われでもすれば絶対にあとから後悔する・・・
「よしっ!絶対に逃げてやる!」
俺はもう一度挑戦すべく中間地点を出───────
「うわああああああっ!」
・・・な、何度でも挑戦───────
「わあっ!」
「いぁぁぁぁっ!?」
「うわああああああっ?!」
「はぁはぁ・・・。」
こ、こんなの心臓がいくつあっても持たないな・・・仕方ない。
俺は大人しくゴールを諦め、中間地点に戻った。
「あ、先輩っ❤︎お帰りなさいっ♪」
「・・・・・・」
なんとか俺の話術であゆを説得する方向で考えてみよう・・・
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