第559話あゆの誘導

「なっ─────」


「せんぱ〜い、体は素直ですね〜❤︎なんで先輩がそんなに性行為をしたくないのかわからないですけど〜、こんなに大きくなってたら鎮めないとですね〜♪」


 またもあゆは俺のズボンを脱がせようとするが、俺は必死に抵抗─────


「先輩、力抜けてますよ〜?やっぱり体は正直ですね〜」


 どうやら俺の体は性的な意味で快楽を得ることを望んでしまっているらしい・・・本当に薬の力というのは恐ろしいものだ。

 ・・・だが、俺はこの程度の薬には屈しない。

 治験の怪しいバイトでもしてるのかというぐらいに薬を打たれてる俺だ、きっと何度も薬を打てば体も耐性を覚え─────


「わぁ❤︎お薬の効果ってやっぱりすごいですね〜」


「・・・・・・」


 全く耐性なんて覚えてないと元気に言いたげなのか、俺のそれは下着越しでもわかるぐらいかなり元気だった。


「はぁ❤︎やっぱり最高です〜♪先輩、これからの人生先輩に着いていきます〜」


「・・・・・・」


「あっ、間違えました、私に着いてきてください!」


 別にそこ特に言い直すようなことじゃないだろ・・・


「あっ、間違えました」


「間違えすぎだろ!」


「私を突いてください!」


「・・・それが間違いだ」


「・・・・・・」


 ・・・さっきまでハイテンションだったこの場も、一瞬だけ静寂となった。


「先輩」


「ん、ん?」


 あゆが俺のことをゴミを見るような目で見ている。


「彼女以外にこんなにしちゃうなんて先輩最低ですね」


「えっ・・・」


 いきなり・・・!?

 いや、それよりもなんていうか・・・一応見た目だけは可愛い後輩にそんなことを言われると俺の心にくるものがあるな・・・

 でもそこは言わせてもらいたいことがある。


「それは薬の─────」


「何百円か何千円か何万円か知りませんけど、そんな値段のお薬に屈して彼女以外に興奮して挙げ句の果てに言い訳ですかぁ?」


「うっ・・・」


 本当にあゆのこの的確に痛いところを突いてくる感じが苦手だな・・・しかも今のあゆはなんか怖い。


「でもですね先輩、そんな最低な先輩でも最低じゃなくなる方法があるんですよ」


「え・・・?」


「それはですね・・・私と恋人になることです」


「・・・え?」


 あまりにもさっきの怖い感じの雰囲気で恋人になるとか言っているため、いつものテンションとギャップを感じてしまうが、あゆの声音は真剣そのものだった。


「私と恋人になれば、先輩が私に対して大きくしてることも問題なくなります」


「え、いや、なんで─────」


「むしろ、私と恋人にならないんでしたら先輩はお金で買える薬に負けて彼女以外に興奮する変態ということになります」


「・・・・・・」


「でも、別に先輩が悪いわけじゃないんです」


「・・・え?」


 と、ここでさっきまで俺のことを罵倒しまくっていたあゆがいきなり俺のことをフォローし始めてくれた。


「先輩が薬なんてものに負けるわけないじゃないですか」


「・・・え?」


 さっきまでと言ってることが変わってないか・・・?


「そう、先輩が薬なんてものに負けるわけないんです・・・でも、私を見て興奮しているのも事実です」


「・・・・・・」


「つまり、先輩は私に恋愛感情を抱いちゃっただけなんです」


「お、俺が?あゆに・・・?」


「はい、だって先輩が薬なんかに負けるわけないじゃないですか!それとも先輩は薬なんかに負けちゃうんですかぁ?」


「・・・いや、そ、そういうわけじゃ・・・」


 自分で薬に負けるなんて言えないよな・・・


「それなら・・・私と恋人になりましょう」

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