第499話天銀の反応
「実は・・・レンタル彼女っていうのに応募しちゃったんだ、あっ!もちろん故意に応募したわけじゃなくて、間違えてタップしただけだからな?」
初音とかなら絶対に信じないだろうけど、相手が天銀なら疑ってきたりはしないだろう。
「・・・レンタル、彼女?とは、なんですか?」
「・・・え?」
ま、まさかレンタル彼女を知らないのか・・・?
いや、まぁレンタル彼女なんていう単語知らない人は知らなくてもおかしくないけど・・・まぁ、軽く説明しよう。
「え、えーっと、互いの同意を得て男性側がお金を払ってその女性と一時的に恋人になる、みたいな・・・?その逆のレンタル彼氏っていうのもあるんだけど・・・」
「・・・なるほど、理解しました」
流石の理解力だな、天銀と話していると会話がスラスラ進んでありがたい。
「つまり、人身売買の犯罪者に狙われてしまったということですね、それなら─────」
「────え?あ、いや!そうじゃない!別に犯罪に巻き込まれたとかじゃない、一応合法なんだ、互いに合意を得てるんだし・・・」
「・・・相手の方の年齢は?」
「16歳だ」
「・・・なるほど、確かにそれでは一応犯罪にはなりませんね」
ほっ・・・ようやく状況を理解してくれたみたいだ。
「つまり、恋人がいる身で間違えてレンタル彼女なるものに応募してしまい、それで今から恋人である白雪さんにバレないうちに朝早く家を出ようということですか?」
そういうことだけどなんかもうちょっと言い方というものを考えてみてほしい。
「そうだ」
「・・・それは、浮気をしに行くということですか?」
「ち、違う違う!一瞬行って間違えましたって謝りに行くんだ」
「なるほど・・・」
天銀は少し考え込んでから俺に言った。
「では、僕も着いていきましょうか?」
「・・・は、はあ!?な、なんで─────」
「声が大きいですよ、最王子くん」
そう言って天銀は元々近かった俺との距離をさらに縮めて俺の口元を手で覆った。
「ん、ぅん、わ、悪い」
俺が落ち着いたのを確認すると、そっと手を離した。
・・・天銀は全く意識してないのかもしれないけど天銀も普通に整った顔立ちをしてるから不意打ちでそういうことをされるとドキドキしてしまう・・・
「そ、それで、ついてくるってどういうことなんだ・・・?」
俺が小声でそう聞くと、天銀が答える。
「それほど怪しいものに募集してしまったということであれば僕が遠くから最王子くんのことを尾行して何かあれば駆けつけるといういことでどうですか?」
「え、で、でもな・・・」
「一応最王子くんの話だとお金さえ払えば時間も奪わずに済むので営業妨害にはなりませんが相手がどんな方かわからないですからね」
「・・・確かに、そうだな」
相手がどんな人か分からない状況で「やっぱりいいです、お金払うのでもう帰ってください」って言うってことだもんな・・・相手からしたらちょっと不快になるかもしれない。
「わ、わかった、じゃあ頼む」
「はい、わかりました、白雪さんには書き置きして白雪さんができるだけ怒らない文章を考えるのでご安心ください」
「そ、そうか、助かる・・・」
天銀は本当に仕事ができそうだな・・・なんか上から目線だけど俺が何も言わなくても俺が望んでいることをすぐに言ってくれる。
「・・・な、なあ」
「はい・・・?」
ずっと言おうか迷ってたけど、ここは正直に言おう。
「その・・・胸元に巻いてるさらしが解けかかってるんだ・・・」
「────えっ!?ひゃあっ────」
俺は大声を上げて胸元を両手で隠そうとする天銀の口元をさっき天銀にされたみたいに塞ぐ。
「お、落ち着け、極力見ないようにしてたしまだ解けかかってるだけだから大丈夫だ、どちみちパジャマじゃ出かけられないし着替えるついでに整えてきたらどうだ?待ってるから」
俺はそう言って天銀から手を離す。
「は、はい・・・わ、わかりました・・・」
天銀は照れたように下を向いて足早に玄関から去っていった。
「・・・なんていうか、やっぱり女の子だな」
俺は玄関で1人、そんなことを呟いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます