第429話結愛の安心と心配

 俺たちは家に入り、それぞれ一旦別れた。初音とあゆはとりあえずご飯を作ると言ってキッチンに向かい、天銀は何かできることはないかと考えていると初音にリビング掃除を頼まれてリビングに向かった。

 俺は特にすることがないので自分の部屋に向かうことにする。


「えっ・・・」


 俺は自分の部屋に入ると同時に、何故か俺の部屋にいる幼馴染の結愛に詰め寄られてしまい、心配しているような怒っているような感じで話しかけられる。


「そーちゃん!大丈夫!?何かされなかった!?」


「あ、ああ・・・」


「心配したんだよ?これからはボディーアーマーと絶縁体のヘルメットずっと装着しててね?」


「どこの軍隊だ!」


 1日離れただけでこんなに心配されるとは・・・まあ確かに初音のセキュリティ力ならあゆにスタンガンで気絶させられて俺があゆの部屋に入ったところを見ていてもおかしくない。それを結愛と一緒に見たってことか。


「・・・そーちゃん、一つ聞きたいんだけど」


「・・・ん?」


 いきなり潮らしくなったな。これは・・・良い方か悪い方かどっちだ?


「この部屋でこんなの見つけたんだけど・・・」


 そう言って、結愛は『妹が可愛すぎて死んで転生してそれでも妹を愛してしまい最終的には妹と結ばれる異世界転生』と書かれたラノベを懐から取り出した。いつしか霧響が俺に勧めて来たやつだ。・・・最悪だ。これは完全に悪い方だな。


「そーちゃん・・・こういうの好きなの?」


 ・・・いや、こういうのはポジティブに考えよう。あの初音とかあゆの胸のサイズに似てる小悪魔的なエロ本とか初音が俺にやらせてきた意味のわからないゲームとか、ああいうのじゃなかっただけマシだと思うことにしよう。


「え、えーっと────」


「これに霧響ちゃんを重ねて読んでたの?」


「違────」


「私怒らないから本当のこと教えて?」


 質問してくる割に全く俺に答えさせてくれない。一旦黙って結愛の話を聞いてみるか。


「・・・・・・」


「そっか、言えないんだね・・・」


「・・・えっ?あっ!いや、違う、今の間はそうじゃなくて────」


「ううん、そーちゃんが妹好きでも私怒らないから」


 最悪だ、結愛の話を聞くために開けた間が最悪のタイミングになってしまった・・・それにまたもはないを聞いてくれなくなった。


「でもそーちゃん、妹に手を出すのは・・・ね?」


「だから違うって!」


 俺は結愛の両肩を握り、この誤解は後々にまで響くと判断してここで誤解を解いておくことにした。


「それは霧響が置いていった本であって俺の本じゃない!」


「・・・は、はぃ」


「で!次に俺は妹好きでもない!」


「うん、そうだよね・・・!」


 これでなんとか誤解は解けたみたいだな。


「ね、ねえ、そーちゃん・・・」


「ん?」


「いきなり両肩を握られるのは・・・刺激が強すぎるよぉぉぉ・・・」


 結愛は膝から崩れていった。・・・やっぱり結愛は不意打ちにはかなり弱いみたいだな。

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