第425話初音は貸した
「・・・・・・」
「・・・・・・」
え、なんだこの展開!?っていうか今おでこを合わせられた衝撃であんまり意識してなかったけど天銀が帽子を外している・・・
髪の毛は・・・銀髪か。女子にしては短いけど男子にしては長いぐらいの髪の長さだ。
俺がそんな分析をしていると、天銀が口を開いた。
「熱ではないようですね」
「・・・あ、ね、熱を計ってたのか・・・」
「はい・・・?そうですが」
逆にそれ以外何があるんですかと言わんばかりの顔で見てきている。
・・・それにしては大胆すぎるだろ!なんで時々初心な反応するのにこういうところは大胆なんだ。
「それより・・・その、なぜ急いでドアを閉めたのでしょうか」
「・・・え?」
「何か見られたくないようなものでもあるんですか?」
「・・・・・・」
本当に俺にとっては厄介なところで探偵の観察眼と洞察力を用いてきたな・・・今中には下着姿の初音が全く動かなくなってしまっている。そんな状態の初音を見られたら俺が初音に無理やり性的なことを強いたように見えてしまうかもしれない。それだけは避けておきたい。
事実そうじゃないし、変な誤解を産むことはしたくない。
「べ、別にそうじゃない、呼ばれたらできるだけ急いで来るのは当然だろ?」
「助けてという声があったので来たのですが・・・」
ま、まずい、墓穴を掘ってしまった・・・
「い、いや!その・・・」
「・・・別に中がどうなっていても何も思いませんので、見せていただいてもよろしいですか・・・?」
「え、え!?ほ、本当に何もないって・・・」
「何もないのであれば大丈夫だと思います」
「・・・・・・」
なんでこんなにぐいぐい来るんだ・・・?あれか、探偵としての探究心的な・・・?こんなところに探究心なんて持ってこなくていい!
`ガチャ`
「えっ・・・」
俺たちがそんな言い合いをしていると、後ろからドアが開く音が聞こえてきた。
「どうしたの?そーくん」
初音はいつの間にか着替え終わっていて、いつも通りの服装でいつもの初音に戻っていた。何がなんだかわからないけど助かった・・・
「いや、なんでもない」
「・・・白雪さん、何もなかったんですか?」
「何もって?」
「・・・いえ、なんでもありません」
そう言って天銀は何かを考え込むような様子で1階に降りていった。・・・このことが今後厄介な火種にならないように願おう。
「そーくん」
「ん?」
「今の`貸し`だからね」
「え!?なんでだよ!」
初音がいきなりあんなことするから俺も言い訳しないといけなくなったわけで、むしろ俺が借りてるぐらいな気がする。少なくとも貸してるなんてことはない。
「だってもし私が下着姿のまま泣いて出てきたらそーくん強姦魔だよ?」
「い、いやいや、そんなの天銀が信じるわけ────」
「そーくんに襲われ─────!!」
俺は何かよくないことを叫ぼうとする初音の口元を右手の人差し指で押さえた。
「わ、わかったわかった、借りとくから、勘弁してくれ」
「っ・・・うん・・・」
「・・・ん?」
初音がキラキラするような目で俺を見ているけど、一先ずはこれで助かったな。・・・でも、とうとう口の中にまで入れられてしまった・・・
着々と初めては近づいてきている感じがする・・・
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