第414話王様ゲーム
「お、王様ゲーム・・・?そんなのやるわけ───」
「それって王様になったらなんでも命令できるんだよね?」
「はい、学校を退学して〜、とかは無理だとしても〜、この場でできる行動であれば命令できますよ〜!」
「やる」
「なんでだよ!」
王様ゲームなんて冗談じゃない、天銀はともかく初音とあゆがいる中では絶対にやったらダメなゲームだ。
「天銀先輩はどうします?」
「王様ゲームと言うものをよく知らないですが・・・やってみます」
天銀!!!!!王様ゲームのことをよくわかってないだけなんだろうけどそこは断って欲しかった・・・俺はお腹痛いとか言って抜けよう。
「わ、悪い、俺さっきから腹痛が───」
「じゃあ今からこの4本を箱の中に入れて振るので、順番に引いてくださ〜い」
え、俺は参加するかどうかを聞かずに強制参加なのか・・・やっぱり俺には人権なんていうものすらないのかもしれない。
人権を持っている全人類が羨ましい。
「じゃあ、穴に4本の棒を挿れま〜す」
あゆは宣言通り箱の中にその4本の棒を箱の中に入れ、それを振った。
・・・言い方というものがあるだろ。
「じゃあ、まずは先輩から引いちゃってくださ〜い」
「わ、わかった・・・」
王様ゲームは王様を引いた人が、数字で命令できるゲームだ。
例えば1番は腕立てとか、1番と2番で肩車、みたいな感じで命令できる。
誰が何番かはわからないため目的の人と何かをしようとしても、それを他の人ともしないといけなくなるリスクも返ってくる。
ローリスクローリターンか、ハイリスクハイリターンになるゲームだ。
「・・・・・・」
俺は・・・2番だな。王様は外したか・・・
その後も全員引き終わり、引き終わると同時に王様が名乗り出る。頼むから初音かあゆじゃなく、天銀であることを願おう。
「ぼ、僕ですね・・・」
「は〜い」
「・・・・・・」
よ、よしっ!天銀なら大丈夫なはず・・・
「な、何を命令すればいいのか、よくわからないですが・・・2番の人が、そうですね・・・僕と握手してください」
「2番・・・俺だ」
「えっ・・・」
よ、よかったぁ・・・握手ぐらいならまだ無難だ。このままずっと天銀に引いてもらいたいものだな。
俺は天銀の方向に少しだけ車椅子を傾け、天銀と握手をする。握手をすると、やっぱり手の柔らかさから女の子だということが伝わってくる。
「は・・・ぁ・・ぁぁ」
天銀は握手をしているだけなのに相当顔を赤くしている。や、やめろ!そんなに顔を赤くされると俺まで照れる・・・
やがて手を離すと、次の手番がやってきた。俺は今回も王様じゃない。
頼む!天銀!天銀が王様になってくれ!!
「私が王様」
「・・・・・・」
終わった、初音が王様って・・・
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