第412話初音の請求

「・・・え?出すって何を?」


「何って、子種に決まってるでしょ?」


「ここで?」


「ここで」


「・・・・・・」


 な、なんでこんなことになってしまったんだ。意味がわからない───こともない、さっきの話を聞いて彼女としては対抗心を燃やしてしまうのはあくまでも普通のことだけど・・・


「あ、あの、さっきも言ったけど、あくまでも表面上の───」


「そもそも、表面上でもなんでも私以外に彼女作ってる時点でこれは浮気だよね?」


「だから───」


「はいかいいえで答えて?」


「・・・はい」


 確かにはいかいいえで答えろと言われればそれは絶対にはいになる。事実、これのどこが浮気と変わらないのかと指摘されると「表面上だけしか付き合ってないから浮気ではない」ぐらいのしか出てこないが、これも見方を変えれば浮気だ。


「しかもあの女と肉体関係持ったんでしょ?」


「に、肉体関係なんて持ってない!」


 そこは否定しておこう。


「そーくんのそーくんを触られたんだったら肉体関係も同然だよね?」


「それは、その・・・薬を盛られてちょっと興奮しちゃったのは認めるけど断じて出してない!」


 何がとは言わないけど、出してはいない。


「うん、そうだよね、だから私の前で子種を出すことが私が本当の彼女である証明にもなると思うの」


 えぇ・・・なんだその理論と言いたいけど反論できないのが心苦しい・・・


「それに、そーくんだって気持ちいいんだから、別にいいでしょ?むしろなんでそーくんが頑なに私とえっちなことしたがらないかわからないんだけど、もしかして・・・胸?」


「違う!そう言うことはもっと段階を踏んで───」


「段階って何?この前あと1回擦ったら子種出しそうだったよね?もう段階は済んでるでしょ?」


 そこを突かれると痛いところがある。


「本当ならもっと強硬手段取ることだってできるんだよ?でも、私はずっとそーくんからえっちなことをしてくれるのを待ってるの、わからないの?」


 俺はすでに強硬手段を取られまくってる気がするけど初音としては、あれでもまだ`待ってる`判定なのか・・・


「だから今すぐ────」


「・・・えっ」


 初音が何かを言おうとした瞬間に、天銀がトイレの中に入ってきた。


「・・・最王子くんと、白雪、さん?なぜお二人でトイレに?」


「ちょっと邪魔、今からそーくんの子種見るんだから」


「子種・・・?」


 天銀は少しの間考えるような素振りを見せると、徐々に顔を赤らめていった。


「な、なるほど・・・た、確かに、お二人はこ、恋人同士ですし、いいかもしれませんが、その・・・す、少しお早いと思います」


 おっ!いいぞ!天銀!そのまま初音を説得してくれ!!

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