第404話あゆの提案

 俺があゆからもらった・・・というか借りてる服を着てお風呂から上がり、リビングに行くと、あゆは俺をバカにするような目で見ていた。

 ・・・なんなんだあの目は、かなり不快だ。


「あ、せんぱ〜い、お帰りなさいです〜」


「・・・ああ」


 口調こそ敬語だが、声の感じからしても明らかに俺のことをバカにしている感じがする。なんでこんな扱いをされないといけないんだ。


「ところで〜、これ、私見ちゃったんですよ〜」


 そう言ってあゆは、俺の数学の問題集を取り出した。


「あ、お、おい!」


 俺は基本的には平均か、たまに平均を上回るぐらい行くけど、数学に関しては平均よりちょっと下か、よくて平均と言う悲惨な状態だ。そのため絶対に見られたくなかった・・・数学の問題集をあゆあが今手に持っている。


「せんぱ〜い、こんな簡単な問題も解けないなんてダメですよ〜」


「くっ・・・」


 それで俺のことをバカにするような目で見てたのか・・・でもそれにしたってちょっと認めたくはなかったけどあゆが俺より賢いことなんて前からわかってたことだ、今更なんでバカにされないといけないんだ・・・


「でも〜?私としては先輩には頭良くなってもらいたいんですよぉ〜、やっぱり年上の人だし〜、みたいな?」


「・・・・・・」


「だから〜、私がお勉強教えてあげます!」


「・・・え?」


 ここであゆからはっと驚く提案が出てきた。勉強を・・・教える?


「勉強を教える?俺に?」


「はいっ♪ほら、この前は私が頭悪いふりして先輩に勉強教えてもらって良い雰囲気を作ろうとしましたけど失敗したじゃないですかぁ〜」


 ああ、そういえば俺が実力テストの結果を見てしまった時のことか。


「だから〜、逆に私が教えてあげよっかなぁ〜って」


「・・・申し訳ないけど怪しい」


「えぇ〜、人の善意を信じられなくなったらお終いですよ〜?」


 あゆは今まで自分がしてきたことを覚えていないのかもしれない。どれだけ俺のことを嵌めてきたことか・・・まあ、でもよく考えたら別に勉強中にできることなんて限られてる、最高でも手と手が触れ合うぐらいだ。

 そのぐらいなら俺だって耐えることは可能だ。ならここはあゆに素直に勉強を教えてもらうのが賢いだろう。


「わかった、勉強を教えてくれ」


「はいっ!いいですよ〜!じゃあ早速・・・私の胸を触ってください」


「・・・は?」


 本当に意味がわからない。勉強と全く関係がない。


「あっ、勉強と全く関係ないとか思ってるなら間違いですよ〜?男性の場合は女性の胸を見たり触ったりすることでホルモンが活性化したりやる気がみなぎってくるっていう研究結果もありますから」


「だ、だからって胸を触らなくても勉強はできる」


「そんなだからダメなんですよ〜、あっ、それとも研究結果っていう論理的なデータがあっても先輩はヘタレだからそんなことできませんかぁ〜?」


「・・・・・・」


 最近ヘタレヘタレと言われすぎな気がする。この際俺がそんなヘタレではないと見せつける機会にするのもいいかもしれない。それにこれは論理的に残ってるデータのもとでの行為だ、卑猥なことじゃない。

 それにちょっと冷水を浴びたとはいえまだ媚薬の効果で中から暑かったりもする。ここはその分も込めてやるべきだな。

 俺はそう決意し、あゆの方に歩みを進めていった。

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