第358話結愛とあゆの会話
「・・・・・・」
インターホンからそーちゃんの反応がなくなった・・・あの虫!せっかくそーちゃんといい感じに話せてたのに・・・!本当にあの虫さえいなければ何もかも順調に行ってたのに・・・そーちゃんと幼馴染から恋人になって夫婦の関係にもなれたかもしれないのに・・・ああ、もう!本当に邪魔!
「入りますか〜?」
「・・・え?」
私がしたのエントランス入り口で、オートロックのせいでエントランスに入れないでいると、赤髪ツインテールのやたらと派手な、私と同年齢か歳下ぐらいの子が話しかけてきた。
「入らないんですか〜?」
「・・・入る」
私は入るという意思表示をし、この女と一緒にエレベーターに乗った。・・・そーちゃんは確か20階だったはず・・・そこで1日ぐらいテント貼って待てば、そーちゃんかあの虫のどっちかが家から出てくるはず。
その瞬間に仕掛けて家の中に入る。私はそう計画しながら20階のボタンを押した。
「あっ、一緒の階ですね〜」
「・・・・・・」
たまたま一緒になるぐらいは、まあ・・・それにしてもこの女いい具合に香水を塗ってる。男が好きそうな塗り具合、これから彼氏とでも会うのかな。まあ、どんな彼氏だったとしてもそーちゃんより上は無いけど。
「お姉さん結構可愛いですね〜」
「・・・・・・」
こういう変なのとは極力関わらないようにしないと。あの虫だけでもそーちゃんが困ってるのに、他にも変なやつに絡まれるなんて冗談じゃない。
「ん〜、でも可愛さで言ったら私の勝ちかな〜、美人さとかなら負けてるかもですけど〜、胸の大きさは・・・負けてますね」
胸なんてそーちゃんを釣るための道具でしか無いけど、それでもそーちゃんには割と効く。ちょっと押し付けるだけで面白いぐらい反応してくれる。そういうところも可愛いけど。この女は・・・私よりは明らかに小さいけどあの虫と同じぐらいか、ちょっと大きいぐらいかな。
「ねぇ〜、お話ししましょうよ〜、20階って結構長いんですよ〜?」
確かに、こんなに話しかけられてるのにまだ8階ぐらい。これはエレベーターの性能が悪いとか、設計ミスとかじゃなくて、単純に一階一階の天井が高いだけ。しかもエレベーターの中だと音もほとんど感じないし、高性能なエレベーターだから振動もほとんどないから体感時間が遅い気がする。
「あっ、私20階って押したんですけど〜、私の家は25階なんですよ〜」
「・・・・・・」
「じゃあなんで20階に行くと思いますか〜?ねえ、聞いてくださいよ〜」
何この女、勝手にずっと1人で喋って、そーちゃん以外の人間に興味ないのに。
「実は同じ学校の先輩に会いに行くんですよ〜」
私には関係のないことをベラベラと・・・
「白雪先輩がいるから会えないかもだけど、そこは私の作戦で絶対に扉を開けさせてみせます!」
何度も何度も、私には関係のない事を────
「白雪・・・?」
白雪って・・・多分あの虫の苗字・・・?私の記憶の中にある名前は基本的に桃雫結愛っていう自分の名前と最王子総明っていう二つの名前だけだけど、同じクラス、副生徒会長、さらにはそーちゃんにまとわりついてるなら嫌でも記憶に残る。
・・・それで?白雪先輩がいると会えない・・・?
「・・・・・・」
私の脳内で、このエレベーター内での記憶が掘り起こされる。
───香水───25階に住んでる───先輩───白雪初音がいると会えない可能性がある存在・・・そーちゃん・・・?
`ドンッ`
私はその女の足を崩して地面に倒れさせ、その女の顔の横に右手を置いた。私が上で、この女が下になっている状態。
「さっきまで無視してたのにいきなりすごい反応ですね〜」
「・・・そーちゃんに会いに行く気?」
「そーちゃん・・・?あっ!最王子先輩のことですか!?白雪先輩はそーくんって言ってましたけどそーちゃんは可愛くていいですね!私も今度呼んじゃお〜っと♪そーちゃんそーちゃん♪ふふっ❤︎」
「・・・・・・」
殺す、この女は殺さないといけない。私の本能が、そう言ってる。
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