第326話初音を食事・・・?

「はっ・・・!」


 目を覚まして、近くに置いてあった時計を見てみると、時刻はすでに夜の7時になっていた。プログラムで言うと今はご飯を食べ終わったぐらいの時間だ。


「・・・えっ」


 俺の隣の席を見ると、そこで天銀が帽子を被った状態で座ったまま眠っていた。


「よく座りながら眠れるな・・・」


 座ったまま眠っているにも関わらず猫背にはなっていなくて、むしろ姿勢はこの上なく綺麗だった。


「それにしても・・・」


 起きているとあんまり意識しないけど寝ているとやっぱり女の子だということがよくわかる。・・・この発言だけ切り抜くと変態みたいだけど、そういうことじゃない。

 そしてお腹も空いてきた。別に病人ではないため食欲は普通にあるって言うのが怪我人の辛いところだ。


『あっ!そーくん起きたのっ!?待ってて!すぐ行くからっ!』


 どこからかわからない初音の声が聞こえてきた。声を聞く限り機械を通してるみたいだ。

 周りを確認してみると、簡易型監視カメラのようなものとスピーカーのものが俺の方を向いて設置されていた。こんなのどうやって持ち運んだんだ・・・

 程なくして初音がやってきた。


「そーくん、お腹空いてるでしょ?」


「え、ま、まあ・・・」


 俺のことをなんでも知ってると自称するだけのことはあり、俺の状態をよくわかってくれているらしい。


「だから食べてもいいよ!」


「・・・ん?」


 しばらく待ってみるも特に何も出てこない。別に何かご飯をくれとかそんな図々しいことを言いたいわけじゃないけど、どう言うことだんだ?


「な、何を食べればいいんだ・・・?」


 試しに初音に聞いてみると、初音は理解不能な言葉を発言する。


「ん?だから私のことを食べてもいいんだよ?・・・あ、で、でも、その・・・初めてだから・・・優しく、ね・・・?」


 申し訳ないけど何を言ってるのかわからない。


「だって、こんな場所じゃ処理しようにも処理できないでしょ?だから────」


 俺は初音が何を言おうとしているのを察してしまい、すぐにその言葉を遮るように言う。


「そういうお腹が空いてるじゃなくて普通にご飯を食べたい!」


 それで理解できるかと思ったが・・・


「うん?だから食べても良いよって・・・?」


「だからそうじゃなくて!普通に普通のご飯を食べたい!!」


 こんなに言っても伝わらないなんてどうなってるんだ・・・


「───っ、あ、最王子君、起きたんですね」


 その後天銀が起きてうまく初音を宥めてくれて、俺は無事ご飯を食べることに成功した。・・・最近思うことが天銀が初音の扱いに長けてきている気がするってことだ。

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