第288話探偵と初音の口論
「ねえ」
「はい」
私は本当ならそーくんといるはずのものすごく貴重な時間を割いて、このどういうわけか転校してきた探偵を階段横の人が来ないところに呼び出した。
「男だからって、あんまりそーくんと馴れ馴れしくしないでね?」
「馴れ馴れしくすることはないですが、関係性に伴った行動をするのでご安心ください、もちろん白雪さんの恋路を邪魔しようだなんて思っていません」
「・・・そう、ならいいんだけど」
まあそーくんの周りにいるのが女よりは男の方が絶対いいし、もし何かの用事とかのせいで私がそーくんの側に居られない時でもこの探偵に依頼すればそーくんのことを監視できるし・・・使えるかも。
「ところで、少し気になっていたのですが白雪さんの浮気の定義が少し一般とかけ離れていると思うのですが、もう少し浮気の定義を下げても良いのでは?最王子君も苦労するでしょうし・・・」
は?なに言ってんのこいつ。
「浮気の定義が一般とかけ離れてるって何?例えば何が?」
「例えば少し他の女性を見ただけで浮気と決めつけたりしていますよね?そういう類のことです」
「浮気って決めつけるって・・・見たんだよ?私以外の女のことを、そんなの浮気以外の何者でもないよね?」
「・・・最王子君のことを浮気するような軽薄な人だと思ってるんですか?」
何この言い方・・・癪に触る感じ。
「そーくんがじゃなくて、他の女たちが、ね、そーくんがかっこいいからってすぐに私からそーくんを奪おうとして・・・それでそーくんもそういうところはちょっとガードが脆いから簡単に騙されちゃうの、だから私が注意喚起してるの」
他のところは本当に何をしても崩れないぐらいガード固いのになんでよりにもよって浮気耐性だけないんだろ・・・逆だったらよかったのに。
「・・・なるほど、すいません、出しゃばったことを言ってしまって」
「別に」
探偵はどこかに歩いて行った。
「・・・・・・」
ー総明Partー
「最王子君」
「え?ああ、天銀か、どうしたんだ?」
今はなんでか知らないけど初音がいないから校内を適当に歩いてる。昼休みで時間もあるし、なんか今はそういう気分だ。
「実はさっき、白雪さんと話していました」
「ああ、天銀と話してたからいなかったのか」
「はい、それで、白雪さんの浮気に関する定義や考え方を変えてもらおうと説得したのですが・・・無理でした、というより無理でしょう」
だろうな・・・初音のその辺は本当に前から揺るがない。っていうか天銀はそんなことをしてくれてたのか。
「まあ一応ありがとう、天銀」
「っ・・・は、はい」
そして天銀はどこか足早に顔を下に向けて去っていった。
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