第268話覗き魔は女性
「ちょちょちょちょ、ちょっと待てって・・・」
「嫌!絶対行くから!」
「同感です!!」
これまた厄介なことになってしまった。何が厄介なのかというと、あのあとお風呂を上がり、それぞれ脱衣所で着替えた後、合流したところで初音と霧響が「覗き魔に制裁を!」とか言ってその覗き魔を探そうとしてる。
「大体相手が男女なのかもまだはっきりしてないだろ?」
「それははっきりしてます」
「え?」
「相手は女性です」
「は!?」
そんなわけがない。一万歩ぐらい譲って俺がアイドルだったとしても温泉で覗くなんてそんなこと今時するわけがない。さらに俺はアイドルでもない、女性に覗かれる筋合いなんていない。だとすれば、他に考えられる可能性は・・・そっち系のあれなのか?女性が女性を的な・・・?そういえば性格があれすぎてすっかり忘れてたけど初音も霧響も一応見た目だけで言うなら美少女枠だ、十分ありえるかもしれない。いや、その前に・・・
「なんで相手が女性だってわかったんだ?」
「単純なことです、覗きをしようとした人がいたのが女性側のお風呂だったんです」
「な、なるほど・・・」
確かに単純だけど確実だ。覗きをするためだけに男が女湯まで移動したとは考えられない。
「で、じゃあこれからどうするんだ?」
「当然お兄様を汚そうとした愚か者に制裁を加えに行きます」
「まあ、でも実際は見てないんだし────」
「そーくんを見ようとした時点で許せないし、実際に見ようとしたってことはその見る前に少なくともちょっとはそーくんの姿を頭で妄想して───あー!ますます許せなくなってきた!!早く行こ!!」
なんとなくだけど、初音が想像してるようなことはしてない気がするな。
「行くよ!霧響ちゃん」
「はい!では」
「女湯に・・・」
「「突撃!!!!!」」
二人は急いで走っていった。息ぴったりだな。その調子で今後も仲良くしてくれるといいんだけど・・・さあ、どうなることか。俺は初音と霧響について行くようにして女湯まで向かった。当然俺は男なので女湯の中に入ることはできない。
「じゃあ行ってくるね、そーくん!」
「行ってきます、お兄様!ここで待っていてくださいね」
「ああ、ここで大人しく待ってる」
そうして二人は脱衣所の中に入った。それにしても本当に女性だったとは・・・さっきも言ったけど俺は別にアイドルでもなければ特にSNSで活動とかしてるわけじゃないので、本当に心当たりがない。強いて言うならそんなことをしそうなのは今意気込んで女湯の脱衣所に入っていった初音と霧響、あとはこの場にはいないけど結愛────
「そーちゃんっ!」
「えっ・・・」
横から声がかかった。こ、この声は、いや、まさか・・・
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