第207話総明と霧響の一致
「・・・・・・」
霧響、頼むからできないって答えてくれ!もし両親に電話されて両親が初音に言いくるめられたりしたら俺の将来が確定してしまう。
「できますが、何か御用なのですか?」
霧響!!!!!!俺のことなんでもわかる的なこと言ってたくせに全然わかってくれてない!!
「うん、元々こっちにきたのはそーくんのご両親に会いたかったからなの」
ま、まずい、このままじゃ初音が俺の両親と話をつけてしまうかもしれない。どうする、どうする!
「なぜお会いしたかったのですか?」
「婚約の確認をしようと思っただけだよ?」
「・・・婚約?誰と誰がですか?」
「もちろん私とそーくんが────」
「いいえ、もし婚約の報告をするのであれば`私`とお兄様です」
何を言ってるんだ霧響は・・・
「・・・え?霧響ちゃんまだそんなこと言ってるの?」
「当たり前です!むしろまだ私が諦めていないと思っていたのですか?」
初音にあんなに言われても諦めていない方がおかしいんだけどな・・・
「はあ・・・頑固さはそーくんと同じレベルだね」
・・・ん?
「待て、それはちょっと聞き捨てならないんだけど・・・俺が頑固だって?」
「うん、だってそーくんも頑なに浮気を認めないでしょ?」
「実際にしていないことを証明するのは不可能だ」
「していないことを証明するのは不可能・・・」
初音はなにやら深く考え込んだ。
「していないことを証明するのは不可能、そしてそれを証明するのが──ふふっ、そうだね、そーくん」
「あ、ああ・・・わかってくれたならいいんだけど」
何か含みのある言い方・・・まあ今は気にしないようにしておこう。
「とりあえず霧響ちゃん、ご両親に────」
「両親は今出かけていてお忙しいと思いますのでまた今度でもよろしいですか?」
と、霧響は明らかな嘘をついたけど俺としてもそれはありがたい。ようやく霧響と俺の思考が一致したな。
「・・・まあそんなに否定されちゃったらさすがに法を犯さないと電話してもらえそうにないけど、そんなこと私だって積極的にはしたくないし・・・今はまだいいや」
ほっ・・・これで一安心だけど法を犯すことを積極的にはしたくない?嘘にもほどがある。なにが法を犯すようなことを積極的にはしたくないだ、発信機を勝手につけたりスマホを勝手に覗き見たり俺のことを監禁したり俺のことを襲おうとしたり・・・数えていたら霧がない。
「納得してもらえたならよかったです」
こうして俺はなんとか難を逃れた。霧響のせいで危うくなって霧響のおかげで助けられた・・・なんとも複雑な気分だ。
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