第198話拘束の朝
`ズキッ`
「痛っ・・・」
いてて、頭の真ん中あたりが妙に痛い。っていうか俺はいつの間に寝てたんだ?確か初音のご機嫌取りをして霧響に延々と妹論を聞かされて初音が珍しく謝ってくれてそれから──?
「・・・・・・」
それから──?思いだせない。何があったんだ?まあとりあえず初音が謝ってくれたわけだしこれでなんとかこのゴールデンウィークもあとは楽しいだけだろう。
「はあ、とりあえず顔を洗おう」
俺はズキズキと痛む頭を抱えようと手を頭の方に動かそうとした。が・・・
「あれ?」
手が何かに引っ張られて動かない。俺は手の方を見る。
「あれ、これ確か・・・」
昨日初音と繋がれてた手錠だ。どうしてそれが今は俺のベットにくっついてるんだ?
`ガチャ`
ドアが開く音がしたから俺はそのドアの方向を見る。
「あっ、起きたんだ、そーくん」
「初音、これはどういうことなんだ?」
「うん、昨日は私もヒスっちゃって冷静に話すことができなかったからちょっと考えたんだー、それでそーくんのことを拘束したら全部解決だなあって思って」
「・・・なんでそうなるんだ?」
本当にどういう思考回路をしてたら最初の反省の文面からもう一文だけで俺のことを拘束するっていう話になるんだ。
「だって、要はそーくんが私から離れなかったらいいわけでしょ?」
「ああ」
「で、手錠とかだとやっぱりそーくんにもプライベートがあるだろうからっていう私の配慮で部屋に拘束することにしたの」
「こ、これが、配慮した結果・・・?」
俺のプライベートを考えてくれるならそもそも拘束なんてしないで欲しいんだけどなあ・・・
「うん」
初音は真顔で答える。
「でも、ここは転校前の時の家だし浮気なんてできる相手いないだろ?」
そうだ、浮気するしないに関わらずそもそも浮気する相手がいなかったら初音だって何も言えないだろう。
「何?もし浮気する相手がいたら浮気するつもりだったの?じゃあ現実に存在しなかったとしてもそーくんの思考の中では浮気したいしむしろ現在進行形で浮気してるってことなの?」
「そ、そういうことを伝えたかったんじゃなくて──」
「伝えたいかどうかじゃなくてそういう事実があるのかどうかだよ?それにそういうことを伝えたかったんじゃないってことは言い換えれば伝えたくなかったけど伝わっちゃったってことなの?」
どうやったらこんなに何もかもネガティブに捉えることができるんだ?
「違う、俺が言いたいのは──」
「もう今ので確定でそーくんは拘束だから、わかった?」
「・・・・・・」
ゴールデンウィーク4日目`も`最悪の幕開けとなった。
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