第197話初音の憂い

「ねえ、早く服脱いでよ、私の言うこと聞けないの?浮気してるから私の言うことなんて聞けないの?」


 いつもとはなんか違う感じだな。ねっとりしてるっていうか・・・いつもは言い返してもさらに強く返してくるのが怖くてほとんど何も言い返せないでいるけど今はなんか言い返したらすぐにでも壊れそうな感じがして何か言おうにも言えない。


「服を脱ぐって言うのはもっと、なんていうか、その──」


「・・・ごめん」


「・・・えっ!?」


「私おかしいよね、わかってるんだけど、不安で────」


「あの初音が自分から謝った!?嘘だろ!?熱でもあるのか!?」


 俺は急いで初音のおでこに手を当てる、が、特に熱はない。なら他に考えられる可能性は直接的な症状は出さないようなウイルス?確かに今日はデパートに行ったからそういうのにかかっていても特に不思議はない──


「バカーーーーーーーー!!!!!!」


`ドンっ`


ー初音Partー


「あっ・・・」


 勢いで気絶させちゃった、でも今のはそーくんが悪いよね。せっかく私が勇気を出して謝ったのにそれを熱のせいにしようとするなんて・・・


「ん・・・」


 そーくんが気絶している今なら万が一にもそーくんが起きることはない。なら、いっそのことキスしてしまっても・・・ううん、そーくんの記憶に私が残らないならなんの意味もない。


「あっ・・・」


 でもそーくんの服を私が濡らしちゃったのは本当だし、着替えさせてあげないと・・・私はそーくんの服を脱がした。


「・・・・・・」


「そーくんの上半身を`生`では久しぶりに見たけどやっぱりかっこいいなあ」


 私はそう呟きながらそーくんの胴体の真ん中を人差し指でなぞった。


「んー、でもやっぱりちょっと細いなあ・・・」


 やっぱりもっとそーくんにはご飯を食べてもらわないといけないね・・・


`パシャ`


 私は`いつも通り`そーくんの上半身の裸を写真に収めた。いつもそーくんの上半身を見れる時には常に写真を収めるようにしている。過去のそーくんの上半身の裸体を毎日のように見て心を落ち着けている。


「・・・・・・」


 このまま下半身も────いや、それだけはそーくんの意思に伴ってそーくんと一緒にしないと意味がないこと・・・だから。

 私はそーくんをお姫様抱っこでそーくんの部屋に運び、そーくんを着替えさせた。こうしてるとそーくんが子供みたい。


「ふふっ・・・」


 それにしても、そーくんってば酷いなあ。私ならそーくんのことを何分でも何時間でも何年でも抱っこできるのになあ・・・後半なんて腕プルプルしてたし、実はちょっと心が傷ついたり・・・


「そーくんのためにももっと痩せないとなー」


 私は手錠を外してそーくんの手錠をベッドに括り付けた。


 



 

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