第167話初音の畏怖感
「・・・さっきも思いましたけどいきなり人が変わるんですね、もしかして二重人格ですか?」
「ん?別にそんなことないけど」
そう、本当にそんなことはない。俺も過去に初音に身体検査とか精神検査とか色々受けさせてみたけど特に異常はなく、むしろ健康体とのことだった。これで二重人格じゃないなんて・・・やっぱり初音は素で怖いんだな。
「そんなことより、そろそろ私のそーくんに結婚結婚なんていうのやめてもらってもいいかな?兄弟の範囲内でなら仲良くしてもまあ、そーくんの兄弟だし許容範囲内だけど結婚は兄弟の範疇を超えてるよね?」
「さっき初音さん自身も言っていた通り海外なら兄弟婚が許されてるんです、つまり世界的に見れば兄弟で結婚することなんて別になんでもない普通のことなんですよ」
「でもそーくんと霧響ちゃんが日本で育っちゃった異常それは兄弟の範疇外なんだよ?」
「別に私は全然構いませんが?」
「霧響ちゃんがよくてもそーくんが嫌がってるんだし、それに結婚っていうのは一人じゃなくて二人でするものなんだから霧響ちゃんの考えをそーくんに押し付けるのは悪意に取られても仕方ないよ?」
「・・・・・・」
結愛と初音の会話の時も思ったけどやっぱり俺の入る隙がないな。ただ一つだけ思ったことがある。「初音が言うな!」何が押しつけた考えは悪意だ!いつも俺に色々と強要してくるくせに・・・!
「それこそあなたの勝手な思い込みです、お兄様は別に`押しつけられた`なんて思っていません」
「じゃあ、そーくんに聞いてみよっか?」
「はい」
と、二人が俺の方を向いた。え、ま、待って?なんでいきなりそんな展開になるんだ?話のスピードについていけない。えーっと、と、とりあえず、俺が霧響と結婚したいかどうかの意思確認ってことだよな?なら答えは簡単だ。
「俺は霧響と結婚なんてしたくない」
「っ・・・!」
「ほらね?だから、霧響ちゃんが今やってることは押しつけで────」
「押しつけてなんかいません!これはお兄様からの約束ですっ!お兄様から結婚の約束を────」
「霧響ちゃん・・・過去は過去だよ」
初音はそう冷たい声で言った。
「・・・・・・」
とうとう霧響は黙り込んでしまった。これは結愛と同じ感じになってしまうのか?
「・・・せん・・ら」
「ん?」
「私絶対諦めませんから!しばらくは大人しくしていますが絶対に諦めませんから!」
と、霧響は涙目になりながら階段を登っていった。
「ふふ、かわいいね、霧響ちゃん・・・でも残念、あそこまで言っても挫けないなんて、やっぱりそーくんの妹だね♪まあ、`あいつ`は一瞬で挫けたけどね♪」
「あ、ああ・・・」
俺は今、改めて初音に恐怖を抱いていた。でも、それとは裏腹に今日の一件で初音が優しいこともわかった。やっぱり嫉妬している時以外は普通に優しいんだろうけど・・・
「はあ・・・」
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