第135話彩音は結愛を言葉巧みに操る
私は目を覚ました。目を覚ますとそこはなんの変哲もない普通のお部屋だった。私は今椅子に括り付けられていて腕と足を拘束されている。部屋は全体的には桃色でベッドにはぬいぐるみとかが置いてあって普通の`女の子`の部屋だ。
「・・・・・・」
そう女の子の部屋。私が今まで気絶していたとして、ここが私の部屋じゃない時点で十中八九さっきのあの女の人の部屋。で、私は今お姉ちゃんとあの人との交渉材料。
「ふふ・・・」
なら私は少なくとも絶対的に安全。交渉材料を手放すぐらいに頭が弱いならそもそも人質なんて思い付かないだろうしね・・・
しばらくすると、階段を登る音が聞こえてきて私がいる部屋の扉が開いた。
「おめでとう、君見捨てられたよ?」
「・・・そうですか」
もう、お姉ちゃんはひどいなー、まあ別にいいけどさー。
「ねえ、あんなひどい姉のことなんてどうでも良くない?ここは協力してあいつとそーくんを一緒に別れさせようよ!」
「いや、お姉ちゃんと総明──」
「総明って何?」
「・・・?」
あっ、下の名前で読んだことが不快だったのかな?
「お姉ちゃんの彼氏さんは──」
と、私が言葉を紡ごうとした瞬間首元に寸止めでカッターを向けてきた。
「お姉ちゃんの・・・彼氏?」
「えっ・・・」
じゃあなんて呼べばいいんだろ。総明、お姉ちゃんの彼氏、それ以外に総明の表現方法を知らない。出席番号とかを知ってたら話は早かったんだけど、さすがにそこまでは調べてなかったなー。
「まあ、とにかくお姉ちゃんとあの人が別れることはないと思いますよ」
「・・・・・・」
「だって、別れる理由なんてなくないですか?別に`喧嘩`した訳でもないのに」
「・・・喧嘩?」
「はい、喧嘩溶かしたなら別れても仕方にと思いますが喧嘩もしてなくてただただ妹を人質にされたぐらいじゃ全く関係の無い恋人と別れる理由にはなりませんよね?」
「・・・・・・」
私がそういうと、あの女の人は血相変えてこの部屋を後にした。
「クスッ・・・」
さすがに簡単に手玉に取られすぎだなあ・・・でも良かった。現代最強の武器。`言葉`を使うための口を塞がれてなくて。
「うーん、それにしても・・・」
総明はお姉ちゃん含めて面倒くさい人に好かれやすいのかな?まあ、気持ちはわからなくも無いけど。・・・でも、私はなんであの人を総明から遠ざけたんだろ、お姉ちゃんのため?それとも私が────
「なんてね、そんな訳ないか♪」
私は袖に常備している簡易ナイフで括り付けられていた縄を切った。
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掲載日2021年 04月23日 03時17分最終更新日-- 更新していません --
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