第125話初音コレクション
「な、何してるんだ?」
「だから、さっきも言ったでしょ?せっかくのそーくんの血なのにそれをハンカチなんかにあげるなんてもったいないって!っていうかそんなハンカチ破り捨てたいし・・・」
・・・冗談だろ!?人の形をしているフィギュアだけじゃなくて別に人の形でも何でもない布にまで嫉妬するのか?っていうかこれはもう嫉妬なんていう可愛い言葉でまとめたくないんだけど・・・
「いやいや、なんか怖いから返してくれ」
「いやだ!」
「か、返して──」
「もしこれをそーくんが奪おうとするならそこの包丁でそーくんのことを切り刻んで血を採取することになるけど?」
「あ、やっぱり返さなくていい・・・」
「だよね!」
・・・大抵のことでは驚かないつもりでいたけどさすがにこれは驚いたぞ。もしかしたら初音は血フェチなのかもしれない。ってなんなんだ?血フェチって。自分で言ったけど初めて聞いた・・・だめだ、俺の頭までやられそうだ。
「な、なあ、もしかして今までもなんか俺のそういうのを採取してたりするのか?」
と、冗談混じりの声で初音に聞いてみる。
「うん!もちろんだよ!今は老化細胞除去薬でそーくんの細胞を半永久的に保管してるからそーくんの細胞が壊死することはないよ!安心して!」
「あ、ああ・・・」
そういう心配をして聞いたんじゃない、むしろ今のを聞いたことによって背筋が凍った・・・
「ん?不満気だね?あっ!安心して!そーくんの細胞だけじゃなくて他にもいろいろなものを保管してるから!例えばそーくんの髪の毛だったり爪だったり唇の皮だったり・・・とにかくそーくんのものならなんでも保管してあるよ!」
「・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どうしたの?そんなに青ざめて──あっ!もしかして具合でも悪いの?大丈夫!?」
「あ、いや、だ、大丈夫だ・・・」
もし俺の具合が悪くなったように見えるならその原因は十中八九初音のせいだと思う・・・
「あ、嘔吐するならこっちの──」
「もうやめてくれー!」
俺は初音がいるキッチンから逃げるように自分の部屋に籠った。
「・・・・・・」
本格的に気分が悪くなってきたな・・・
ー初音partー
「あーあ、逃げられちゃった」
さすがにそーくんに言うのはまだ早かったかな?婚約する前からこんなことしてるなんて・・・多分好感度上がってるんだろうなあ。これでまたそーくんと私のラブラブ度が上がっちゃったっ♪
「嬉しいなあ・・・♥」
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