第53話桃雫結愛という女の子

 私の名前は桃雫結愛、高校二年生で誕生日は四月の終わり歩の方だからあと少しで17歳になる。そしてそんな華の高校生活を送る私はものすごく楽しい・・・わけがない。




 小学校の時にいきなり転校することになってしまった私は最愛であるそーちゃんと別れることになってしまった。転校の理由はものすごく理不尽なもので「あなたは頭がいいんだからもっといいところがあるでしょ?」と、母親に言われてしまい、私はそーちゃんとは違う中学校に通うことになった。




 ・・・こんなことになるなら小学校の時のテストでそーちゃんと一緒ぐらいの点数を取っとくんだったと、何度後悔したことか。そーちゃんのテストの点数は大体いつも平均より少し上か下、受けるテストの教科ごとに若干のブレがあった。でも私ならそのブレを完璧に計算することができる。




 だからそうしとけばよかった、と。でもせっかく偏差値の高い学校に通うことのなったんだからせめて次にそーちゃんに会う時のために私は自分に胸を張れるように精一杯取り繕った。どんな嫌なことも、次にそーちゃんに会った時のため!・・・と。




 でも、そんなときはずっと来なかった。そーちゃんとは中学に上がってからは一度も会わず、高校一年生になっても会うことはなかった。私は焦った、今までのことがすべて無駄に終わるのではないかと・・・




 私は桜が好きだった。桜はピンク色で一見華やかだけど、どこか儚げ、私に似ていると思った。だから私は気分を変えるためにたまたまこの前もらったお花見のチケットでお花見に行くことにした。




 そして、そこで、とうとう、とうとう、そーちゃんに会った!感激した、とうとうこの約5年間分の思いを伝えられるんだと・・・!でも・・・




『そーくん、何してるの?』




 と、そーちゃんの横から顔だけは整ったメスがそーちゃんに寄生していた。私がもっと直接愛を伝えられたらいいんだけど、変なところで不器用だからつい遠回しになってしまう、ここは本当に反省点。




 でも、私は特に不快には思わなかった。あんなメスのことよりもそーちゃんに会えたということの方が私にとっては大事だからだ。そして私はそーちゃんをあの泥棒メス猫からそーちゃんを‘返して‘もらうために、そーちゃんの血が出ていた部分に発信機付きのタオルを巻いた。




「・・・そういえば」




 あのメス、そーちゃんをあのナイフで・・・?




「・・・・・・」




 やっぱりそーちゃんを助けてあげないと。私がタオルを巻いたのはもちろんソーちゃんを心配してというのもあるけど、それと同時にそーちゃんの家を探る意味もあった。そして、ついに突き止めた。




「ここが、そーちゃんの家・・・」




 そこはものすごく高そうなタワーマンションだった。




「・・・そーちゃんがこんな家買えるわけ無いし、かといって住みたいとも思わなそう」




 だとしたら・・・同棲?




「・・・・・・」




 一刻も早くそーちゃんを助けないと!私はそーちゃんのことをあのメスから助けるべく、タワーマンションのエントランスに足を踏み入れた。


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