第51話お花見の終わり
「は、初音・・・?」
初音は俺の背中にナイフを当てている。そう、向けているだけではなく、今度は切れない程度には軽く、でもかといって当てているだけという表現では物足りないぐらいの力で俺にナイフの先端を当てている。
「そーくん、今すぐあの女追い払って」
「い、今すぐって言われてもーーーー」
「早く」
「・・・はい」
俺は特になすすべもないので何とかこの女の子を追い払うことにした。
「あ、あのさ、ま、まあ、昔の知り合いなんだったらこれも何かの縁だろうし、まずは友達から始めない?俺にはもう初音っていう立派な彼女もいるし・・・」
初音のナイフにいれる力が弱まった。よし、この調子で・・・
「だから、とりあえず今はいったんーー」
「だから、脅されてるんでしょ?大丈夫、そーちゃんが言ってくれたらすぐに助けてあげるから、ほら、早く言って?「助けて」って」
初音のナイフにいれる力が強まった、ま、まずい・・・
「いやいや、脅されてなんかないって!っていうか君が好きだったのは昔の俺であって今の俺じゃないだろ?もう何年も経ってるんだし、俺の性格だって多分変わってるって」
「ううん、変わってないよ」
「な、なんでそう言い切れーーーー」
「だって、今も基本的には物事を‘断れない‘でしょ?」
「えっ・・・」
今もってなんだ?確かに俺は初音の頼みを断らないようにしてるけどそれなら俺が小学生の時の知り合いのこの子が‘今も‘っていうのはおかしい。まさか・・・俺は昔から断らないようにしていたのか?何を?誰を?なんで?・・・まあ、思い出せないことは仕方ない。よっぽど何か‘嫌な思い出‘でもあったんだろう。そういえば小学4年生あたりから俺の顔が引きつってたけど、それと何か関係があるのか?
「ほら、やっぱりそうだ、だからそんな面倒くさい女に絡まれてるんでしょ?」
と、この子が言った瞬間に初音のナイフが俺の皮膚を少しだけ貫いた。
「いたっ・・・!」
俺はその場に倒れそうになるのをなんとか膝を立てて堪えた。まあ、そんなに深く刺さったわけじゃないけど普通に少しだけ痛いというのと、あとは‘ナイフで刺された‘という恐怖から俺は足を崩してしまった。・・・いや、冗談だろ?
「は、初音、何をーーーー」
「そーちゃん!大丈夫!?」
そういうと、すぐに目の前にいた女の子が俺を支えるようにしてしゃがみこんだ。・・・いや、まあ君のせいーーではないか、それは責任転嫁が過ぎるかもしれないけど、半分ぐらいは君のせいだと思う。
「いや、まあ、大丈夫だけどーー」
「そーくん、お家帰ろっか」
「え、いや、でもまだ全然ーー」
「お家帰ろ?」
「・・・あ、ああ、わ、わかった、わかったから」
そして俺はほぼ強制的に‘お家‘に帰ることになった。その間、あの女の子は俺の血が出ている場所にタオルを巻いてくれ、それだけをすると、特に何も言うことはなく、俺たちを見
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