第40話アルバム

 癒し仕事を終えてから自分の家の戻った俺はまだ空いていない段ボールがあることに気付く。




「なんだこれ・・・」




 その段ボールを開けてみると、そこにはアルバムのようなものがたくさん入っていた。まだまだまだまだ小さいときの写真や小学生、中学生、高校一年生の時の写真まであった。試しに俺は小学生の時のアルバムを手にしてみる。




「おお・・・」




 これが俺か・・・今からは考えられないくらい笑顔だな。でも、お前もあと10年後には思い知ることになる。白雪初音という人間の恐ろしさを・・・




「ん?」




 ふと、気づいたことがあった。これは幼稚園の時のアルバムと見比べてみてもそうだけど、誰か同じ女の子がずっと俺の横にいる。個人撮影のはずの写真にまで映り込んでいる。




「な、なんなんだこれ・・・」




 ま、まさか心霊写真!?な、わけないもんな・・・でも、誰なんだ?中学生のアルバムにはその子はいない。・・・思い出せない。心当たりも無い。でもずっと横にいるあたりよっぽど仲が良かったんだなあ。




「・・・でも、なんか」




 小学校三年生までは俺も満面の笑みで笑ってるけど、小学校四年生になってからどんどんこの女の子の方を見て顔が引きつっているような気がする。この一年で何があったんだ?一年前に初音という女の子にあってから俺は驚かされてばかりでそんな昔のことなんて覚えていない。




「まあ、いっか」




 一応中学校の時のアルバムにも目を通してみるけど、そこには特に不審なことはない。まあ、さすがにここ何年かのことを忘れるほど俺も老いてはいない。


 高校のやつには・・・目を通さないようにしよう。初音との狂気な出会いを思い出してしまう。




「・・・・・・」




 いやなことを思い出してしまった、ちょっとフィギュアと和もう。




「はあ・・・」




 ・・・癒される。お前の方が俺なんかより癒し係に向いてると思う。っていうかなんで俺が癒し係になるんだ?俺癒し要素無しだぞ?




「・・・・・・」




 だめだ、癒されるけど、このフィギュアたちに触れていると、あの痛々しいラノベ巨乳切り取り事件を思い出してしまう。今すぐにフィギュアを元の場所に戻そーーーー




「そーくん、さっきからがさごぞ音がするけど、どうしーーーー」




 と、俺がもともとフィギュアを置いていた場所に戻した瞬間に初音が俺の部屋に戻って来た。




「今、何か隠した?」




「いや、別に隠したわけじゃないって」




 と、言いつつも、俺はいつもの癖で反射的にフィギュアを隠してしまう。いつもの癖というのは咄嗟的に出てしまうものだ。




「いや、隠してるよね?」




「いや、これはーーーー」




 そういうと、初音が俺の後ろに回り、フィギュアを手に取った。




「さっきからちょっとがさごぞうるさかったけど、このフィギュアと何してたの?」




「え、いやーーーー」




「ナニしてたの?」




 いや、なんで俺がフィギュアでそんなナニしたって考えてんだよ・・・




「そんなことするわけないだろ!」




「え?私は何してるのって聞いただけなんだけど?そう聞いただけでそんな連想しちゃうってことは、そーくんもしかしてそういうことをフィギュアでしてたの?」




「いやいや、そういうわけじゃなくて!」




 確かに初音視点で言えばそう聞こえなくもないかもしれないけど・・・




「ん?何その段ボール」




 初音が俺の横にあった段ボールに気付いたらしい。話題を逸らすチャンスだ!




「ああ、これ俺のアルバム」




「へえ、昔のそーくん見てみたいなあ」




 そう言いながら初音は俺が小さいときのアルバムと‘小学生の時‘のアルバムに目を通し始めた・・・


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