第179話 ロッカーでえちえち
他人の情事を見せられたりするのは、実に気まずいことになるのは誰でも想像できるだろう。
例えば電車の向かいの席で、例えば路上の目の前で、カップルが突然発情しチュッチュチュッチュと始めてしまったら、気まずくて目を逸らしたり席を替わる人が多いかもしれない。
その気まずい状況が、ロッカーの中に隠れている春近とあいの身に降りかかっていた。
先客がいるとは知らないカップルが、空き教室に入って来てイチャイチャ始めてしまったのだ。
だが、当の春近たちは普段から人前でイチャコラしまくっているので、人のことは言えた立場ではなかった。
「誰か来たらどうしよう」
「こんな空き教室に誰も来ないって」
「でも~っ」
「やろうぜ。ちゅっ」
「あんっ、もう強引なんだからっ」
外のカップルが本格的に押っ始めてしまった――――
ロッカーの中の二人は暑さで汗ビッショリになりながら、密着したまま動けないでいる。
『あいちゃん……コレ、どうしよう?』
『終わるまで待つとか?』
『今更、出ていけないよな……』
『うん』
小声でヒソヒソ話し合う二人がお互いの汗でビッチョリになる。
この非常事態にも関わらず、春近に目はあいの褐色でムチムチの体に釘付けだ。
あいちゃん――――
ムチムチのカラダやおっぱいが当たって……
あいちゃんの汗と何か良い匂いがして、おかしくなっちゃいそうだよ。
くんかくんか――
これは……シャンプーの匂いかな?
ああっ、あいちゃんの胸の谷間に汗が流れて行く。
これは非常にマズい。
すぐに春近の変化に気付かれてしまう。
『はるっち、お腹に硬いモノが当たってるよ~っ」
『ううっ、ごめぇぇん。これは仕方がないことなんだ』
『うふふっ、はるっち~ぃ♡ うちのカラダで興奮してるの?』
あいは、カラダをムニムニと動かして、ムチムチのおっぱいや太ももを春近のアチコチに擦り始める。
『ちょっと、何やってんの! 気付かれちゃうよ』
『はるっち……うち、ガマンできなくなってきちゃったかも♡』
あいは汗でぬるぬるになったカラダで密着したまま、春近の首筋をペロペロしたり熱い息を吹きかけたりとやりたい放題だ。
『ダメだって!』
『はるっちが悪いんだよ。うちを構ってくれないから』
『そ、それは……』
『はるっちが他の子ばっかエッチしてるなら、もうオシオキしちゃうからねっ。ほらほら、声出すと気付かれちゃうよ~っ♡』
『くっ、気持ち良すぎる……』
『はむっ……ちゅっ♡ むちゅっ♡ ちゅぱっ♡ はるっち~大好き♡』
『んんっ、も、もうダメだって言ってるのに』
あいの激しく濃厚なキスの嵐が春近に襲いかかってくる。
それは、ちゅぱちゅぱっとイヤラシイ音が出まくる程の激しさだ。
ただ、外のカップルも盛り上がってしまっているので、春近たちの激しいキスも気付かれずにいた。
『れろっ♡ はむっ、むちゅ♡ ちゅ~っ……ちゅぽっ♡』
あいの舌が春近の中に侵入して口内を暴れ回り、舌を絡めたり吸ったり舐め回したりとエッチな大人のキスの連続攻撃だ。春近も興奮で立っていられない程にビクビクとカラダが震えてしまっていた。
興奮が止まらないあいは、ムチムチの太ももを春近の脚の間に入れて、グイグイと刺激を加えてつつ自分の方にも春近の脚を食い込ませている。
『んんん~っ、んん~っ、もう……ダメだ、こんな場所で……』
『はるっち~っ、もう、気持ちよくなっちゃえ~っ♡』
キーンコーンカーンコーン――――
春近が限界を迎えようとしたその時、始業のチャイムが鳴り二人は現実に引き戻される。
「うわ、やべっ、授業始まるわ」
「早く教室に戻ろっ」
外でイチャイチャしていたカップルは、急いで空き教室から出て行った。
『ううっ…………っ』
『んっ、あっ…………』
ロッカーの中の二人は、汗やら何やらでヌルヌルになったまま絡み合い、お互いに興奮でカラダを振るわせながら固まっていた。
ガチャ、バタンッ!
ロッカーの扉が開き、二人絡まったまま教室の床に倒れ込む。
あいは、完全にスイッチが入ったままで、春近の上に乗り真上から顔を覗き込んでいた。
「はるっち、うち、もうガマンできないよ。ここで……」
「あいちゃん、ダメだよ。教室でそんなの」
「でもっ、もう我慢できない♡」
「うわわっ! 何でもするから、ここでは許して!」
「えっ?」
「あっ……」
春近は、禁断ワードを言ってしまったことに気付き、咄嗟に誤魔化そうとして何か言おうとする。しかし、その前に一枚上手なあいに完全に逃げ道を塞がれてしまうのだが。
「ん? 今、何でもするって言ったよねっ!」
「それは」
「うちの部屋に行こっ」
そのままガッチリカラダを極められて、もの凄いスピードで寮まで運ばれてしまう。
バタン!
寮に戻って春近を部屋に入れたあいが、ニマニマとした顔で両手の指をニギニギして迫ってくる。
「はるっち、もう逃げられないよ~っ! 大人しく何でもされろっ!」
「あ、あの……あいちゃん……わあああああっ!」
――――――――
春近は、
何でもするという危険ワードだったのに、あいの愛情たっぷりサービスを受けただけで、危険というより夢のような時間を体験したのだ。
ことが終わった春近は、ぼんやりと愛しいあいの姿を見つめていた。
あいちゃん……可愛くて優しくてエロくて……何て良い子なんだ――
しかし、それにしても初めてだったのが意外というか。
「あーっ! はるっち、今うちのコト変な風に思ってたでしょ?」
「い、いや、何でもないよ」
見た目が派手なだけで、中身は意外と純情なのかもしれないな……エロいけど……
「ほら、はるっち、一緒にシャワー入ろっ」
「うん」
「ほら、服が汗でビショビショだから一緒に洗濯しちゃうよ」
「うん」
「はるっち、もうお昼だから、ゴハン食べてくでしょ」
「う、うん……」
トントントントン――――
手際よく野菜を切って料理を完成させて行く。
「そういえば、あいちゃんって料理得意だったんだよな。あの派手な色のネイルで料理ダメそうに見えるのに、凄い手際で慣れた感じだ。何か、あいちゃんて完璧な嫁のイメージに思えてきたような……?」
手際よく作り終えたあいが、エプロン姿のまま料理を運んでくる。
エプロン姿のギャルが最高に可愛い。
「はい、どうぞー」
テーブルに美味しそうな料理が並ぶ。
簡単に作ったように見えたのに、並んでいる味噌汁は本格的な出汁の香りが漂っていた。
「美味い!」
「ホント、良かった」
あいちゃん……一体キミは何者なんだ……
何か色々と凄い人だな……
「あいちゃんは嫁に欲しいよな……」
「うん、良いよっ」
えっ?
「しまった! 心の声が漏れていた!」
「むふふ~っ、はるっちの考えているコトはバレバレだしー」
「えっと……今のは……」
「良いよっ、うちは一夫多妻でも気にしないしー♡」
満面の笑顔になったあいが、豊満な胸の膨らみを春近に押し付ける。
「と、とにかく、御飯食べたら午後から授業に出るよ」
「えーっ! 今日はずっとイチャイチャしようよーっ」
何だか最近の春近は、色々と後戻りできないところまで来てしまった感がある。この先更に様々な波乱が待ち構えているとも知らずに。
だが、今は何も知らず甘くエチエチな日々を過ごしていた――――
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