陰陽学園の鬼 ~最強の美少女達に迫られてラブラブになったら、運命の契りで十二の鬼神の根源を取り込み、十二天将を従える王になる物語~

みなもと十華

第一章 鬼の少女達

第1話 出会い


 もし本当に、全ての悲しみや差別や争いの無いそんな世界があったとしたら……そこでは穏やかな愛の暮らしができるのだとしたら……私は……何を差し出してでも、その楽園に向かうだろう――――


 ――――――――――――――――



 やわらかな春風にのって桜の花びらが舞い、街行く人も心なしか陽気にみえる季節、駅の改札を出た若者は何度目かのため息をついた。

「はぁ……気が重い……」


 若者――土御門春近つちみかどはるちかは、やんごとなき理由により故郷を離れ全寮制の私立陰陽学園しりつおんみょうがくえんへと入学する事になったのだった。

 身長は平均より少し低いくらいだろうか、特徴も薄くお人好しそうな雰囲気の春近は、老人に道を聞かれるような若者といえば聞こえがいいが、違った例えをするとヤンチャな人達に絡まれそうな若者といった感じだ。

 なにやら平安時代の陰陽師おんみょうじのような大層な苗字をしているが、本人はごく普通の男である。


 こんな事になったのは本人が知らない家庭の事情らしいのだが、原因を作った本家の祖父からは詳しい説明は追って連絡するという事で、先に荷物を送り本人は電車を乗り継ぎ最寄りの駅まで来たのだった。


 噂に聞くところによると陰陽学園とは、魑魅魍魎ちみもうりょう跋扈ばっこする弱肉強食の世界だという。

 ――いったいどんな学園なんだよ……

 そもそも“やんごとなき”って何だよ……


 顔を上げ駅前の時計に目をやる。

「そろそろ行かないと」


 春近が上げたその視線の先に、信じられないような鮮烈な映像が入ってきた。

 今まで味わった事のない強烈な衝撃が脳を震わせ、その甘美とも呼べる衝撃が身体の芯まで伝わって一歩も動けないほどだった。


 視線の先には一人の少女が立っていた。

 制服を着たその少女は、まるで紅玉ルビーのように美しく燃えるような赤みがかった髪が風に揺れ、大きく美しい吸い込まれそうな目に宝石のような瑠璃色るりいろの瞳がきらめいている。

 背が高くすらりとした身体に魅惑的なプロポーション、制服を内から持ち上げるようにパツパツに膨らんだ大きな胸、くびれたウエストから桃のように丸みを帯びたヒップ、短いスカートからは艶めかしく肉感的に伸びた脚、ただそこに立っているだけで空間を捻じ曲げるような存在感を放っている。

 街行く男性は皆視線を釘付けにされていた。


「なんだ……あれ……?」

 春近は少女から目が離せなくなっている。

 街行く男性の視線を集めているのは理解できる。

 その場に存在しているだけで現実なのか夢なのか分からなくなるような、一種妖艶なこの世のものとは思えない雰囲気を漂わせている。

 ――――サキュバスが現実に存在したら、あんな感じなのだろうか。


 そんな事を思っていると――

 ふと、少女と目が合う。


 少女は、その場から駆け出しこちらに向かって来る。

 マズい、ジロジロ見ていたのがバレたのか。

 春近の脳内で緊急警報のようなものが鳴り響く。

 この女はヤバい! 関わってはいけないと!

 その妖艶で鮮烈な少女に目を奪われながらも、関わるととんでもないトラブルに巻き込まれそうな危険信号が鳴り響いている。

 そう思いながらも、何故か少女から一瞬も目が離せない。

 まるで運命の歯車が嚙み合ってしまったかのように。


「あの~ その制服…… 陰陽学園の生徒ですよね」


 なにやら間の抜けたような声をかけられ、緊張していた春近は警戒感を解いた。


「は、はい……この春から入学します」

 春近は答える。


「よかったぁ、私もなんですが道が分からなくて。一緒に行きませんか?」


「はい」

 春近は、その美しい少女の吸い込まれそうな瞳と心地良く響く声に誘われるがままに、まるで魂を掴まれてしまったが如く無防備に返事を返してしまう。


 それが、この少女――酒吞瑠璃しゅてんるりとの出会いだった。

 この出会いが学園を取り巻く陰謀や策略に巻き込まれて行き、更に何故か伝説級最強の鬼の能力を持つ美少女達からモテモテになるのだが、この時の春近には知る由も無かった。

 少女の目に見つめられ声を聞いた時に、まるで何かの魔法にかかったように最初に感じた警戒感は消失し、その少女が異様な空間現象を起こしている事などすっかり忘れていたからかもしれないが――――






 ――――――――――――――――――――

 この物語は、主人公の少年が、特殊な力を持つ個性的な少女達と仲良くなり、時に激しく時にエッチに迫られ愛を深めてゆく物語です。

 ラブコメ多めですが、超強力な呪力や魔法のバトルもあります。

 そして、全てのヒロインに幸せになってもらいたいという思いを込めて書いています。

 皆様に楽しんで頂けたら幸いです。


 もしよろしければ、コメントやフォローやレビューなど頂けると嬉しいです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る