第4話:護衛方法・ダウンシャー公爵フランシス視点
私の目の前にはキャロライン嬢とウィリアム君がいる。
二人とも友達の父親とは言え公爵の私を前にして緊張しているようだ。
まあ、それも当然と言えば当然だな。
貴族の中でも最高の地位にいる公爵家の当主と、貴族の中では最低の男爵家の当主でもなければ跡継ぎでもない、単なる家族なのだから。
「緊張しなくてもいい、今回は身分を離れて娘の友人である君達に頼みごとをしているのだ、こちらの方が立場が弱いと思ってくれていい。
何と言っても私の命がかかっているのだからな」
そう言ったらなおさら緊張したようだ。
まあ、緊張すると分かっていて口にしたのだがな。
だが、緊張はしているようだがウィリアム君の方はいいな。
緊張の中にも凛とした気迫が見え隠れしている。
いざという時にはとっさに動けるだけの鍛錬をしているのだろう。
「仕事は難しい事ではない、単なる私の護衛だ。
ウィリアム君は常に私の側にいて敵の襲撃に備えてくれ。
長巻の名手である君には難しい仕事ではあるまい」
「はい、近づいてきた者は夫人であろうと家臣であろう警戒を解かない。
僅かでも危険を感じたら誤解でも構わないから斬って捨てる。
それが条件なら難しい事ではありません、やり遂げてみせます」
いい感じだ、シェリルから事前に話を聞いて覚悟を決めてきたのだろう。
「それでいい、そうしてくれれば後の事は全て私が始末をつける。
私がジェラルド侯爵を斃すまで私を護り切ってくれ。
成功した時の報酬は公爵の私が家臣に与えられる最高の地位を与えよう。
準男爵の地位と領地を約束する」
「有難き幸せにございます、命に代えても公爵閣下を御守りしてみせます」
よし、これで物理的攻撃には対処できるだろう。
「キャロライン嬢には常にシェリルの側にいてもらう。
キャロライン嬢に私の側にいてもらう訳にはいかないから、シェリルが常に私の側にいる事で側にいるようにしてもらう。
分かったね、シェリル、キャロライン嬢」
「はい、お父様」
「はい、公爵閣下」
「具体的にキャロライン嬢にしてもらうのは、私とシェリルが魔術攻撃や呪術攻撃を受けた時の治療と解呪なのだ。
キャロライン嬢に直接敵と戦ってもらおうとは思っていない。
その点は安心して欲しい。
そして成功した時の報酬だが、ウィリアム君と同じように準男爵の地位と領地を与えるからね」
「はい、公爵閣下、ありがとうございます」
「ただ私も座して敵の、いや、ジェラルド侯爵の攻撃を待つだけではない。
ジェラルド侯爵が魔術や呪術を放ってくるのなら、その魔術や呪術を倍にして返してやる気だ。
今からその連携を訓練するから一緒についてきてくれ。
ウィリアム君もだよ、いいね」
「「はい、公爵閣下」」
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