24冊目 『九つの、物語』

 皆さま、こんにちは。

 あさぎ図書館 館長の、浅葱あさぎ ひな です。


 この、あさぎ図書館 ☆異世界分館☆ では、館長であるわたしが、読み終えておもしろかった『本』を、皆さまにご紹介させていただこうかと思っております。

 ここ『カクヨム』ではない世界の物語たちを集めた……なので、異世界分館です。よろしければおつきあいください。


 午後のひと時に、素敵な1冊を……。




    『九つの、物語』

       著者名 橋本紡

           集英社


 この物語は……、

    文芸寄 ・・★★★♢★★・・・ ラノベ寄

 ジャンルは……、『現代ファンタジー』です。




★★あらすじ、感想などなど★★


 あらすじ……

 大学生のゆきなの前に、長く会っていなかった兄がいきなり現れた。

 女性と料理と本を愛し、奔放に振舞う兄に惑わされつつ、ゆきなは日常として受け入れていく。

 いつまでもいつまでも幸せな日々が続くと思えたが……。

 ゆきなはやがて、兄が長く不在だった理由を思い出す。

 人生は痛みと喪失に満ちていた。生きるとは、なんと愚かで、なんと尊いのか。そのことを丁寧に描いた、やさしく強い物語。



 感想などなど……

 この本は、9編の短編からなる、連作短編集です。一話ごとのサブタイトルには、近代文学作品のタイトルがあてられ、それぞれの本編にも意外と重要な場面で取り上げられています。

 一話ごとに、少しずつ時間が経過し、少しずつ人との出逢いがあるのです。ヒロインのゆきなは、それらの出逢いとともに成長していたはずだったのに……。

 最後は、素敵な終わり方なので、読了してこころが暖かくなるのですが……。

 物語の中盤は、次第に明かされていく謎、特に、長く不在だった兄の、突然戻ってきた理由が明かされた時はハラハラしどおしでした。


 この物語の登場人物は多くありません。第1話では、ゆきなとお兄ちゃんだけですし。

そこから、少しずつ増えていきます。恋愛に発展するお話もあります。

 そんな、連作短編の中で、すべてにかかわってくるのが、料理だったりします。妹、ゆきなのためを思って作られる、お兄ちゃんの料理は、そのどれもが美味しそうです。

 楽しい時、哀しい時、壊れそうになった時、そのどれにも出てくる、お兄ちゃんの料理は、やさしく暖かく包み込んでくれるよう……。

 更に、文庫の巻末には、そのレシピも……。

 あ、未読の方の楽しみを奪ってはいけませんので、これくらいで……。


 さて、24冊目は、ジャンルは『現代ファンタジー』で、あってると思う。

 現代ドラマとか、恋愛小説と言い切れないのはなぜ……なのか? は、読んでいただくしかないのですが。

 今回は、かなり、古い(十年ほど前発行の文庫)本なので、入手は困難かもしれませんね。図書館ならあるかな?

 わたしも、父の本棚で、偶然見つけたモノですし……。

 この物語の作者、橋本紡さんは、元はラノベの作者さんなのです。『半分の月がのぼる空』を書かれてた方です。皆さまのほうがご存知でしょうか?

 わたしが読んだのは、この本が最初だったので、とても意外でした。


 今回も、これ、読んだよ〜 とか、これ、おもしろいよね〜 とか、皆さまとお話できると楽しいかな? なんて思ってたりします。

 なので、コメントなど残していただけると嬉しいです。

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