第4章 ハウジングとイベント

第1話 ハウス確認

 前話のあとがきで評価していただいた皆様、これまで評価してくださった皆様、本当にありがとうございます

 今後とも本作であるUWWOをよろしくお願いします


 本話から4章になります

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 用事を終えてから再度ログイン。

 ハウスの中でログアウトしたので、既にハウスの中だ。しかし、中に入ったといっても時間がなかったので本当に入っただけで、詳しく中を見て回ってはいない。


 ログアウトする前にも見たけれど、玄関の近くからハウスの中を見渡せばカントリー調の家具や置物が多く置かれているのがわかる。床も板張りでやや暗い色合いはシックな感じがして良い感じ。ただ、100年近く隠されていたのに外見と同じように殆ど傷みなどの劣化している感じは見られない。


 普通100年も放置されれば野ざらしじゃなかったとしても、布とか劣化しやすい物は駄目になっていてもおかしくはないはず。でもそういったものはハウスの中を見る限り存在しない。


 あのガーディアントレントの反応からして、やっぱり他の何かがこの状態を維持していたということなのだと思う。


 まあでも、とりあえずは、このハウスの中を確認していくことにしよう。



 このハウスの構造は玄関を入るとすぐにリビングダイニングのような場所になる。外見からしても洋風のハウスなので当然のように靴を入れるような場所はなく、玄関ドアの近くに収納らしき場所はない。


 一応、腰ほどの高さの棚はあるけれど、棚というよりは間仕切りとしての機能がメインのようで、小物がいくつか飾ってあるだけだ。

 ただ、玄関から見て左側に別のドアがあり、その先を確認してみると倉庫のような場所になっていた。

 

 その中を確認してみると、壁沿いに簡素な棚が並べられており、そこにしなびた小麦や野菜らしき物、シャベルやスコップといった道具がちらほら存在していた。

 おそらくここは元の住民が食料などの生活に使う素材や道具、庭仕事に使うような物をしまっておくのに使っていたのかもしれない。

 それと、今入ってきたドアの正面には玄関と同じようなドアがあるので、あそこから外に出ることもできるのだろう。


 小麦などの状態を見るにさすがに食材までハウスと同じようにそのままといったことはないようす。でも、壁に掛かっていたり棚に置かれていたりする道具はしっかり整備されている感じで、金属部分がさびている物はない。


 これは幻影魔法で隠されている間も、誰かしらがちゃんと手入れをしているということなのだろうね。それが誰なのかはわからないけど。


 倉庫の右奥にあった引き戸を挟んでもう1室、同じように倉庫として使われていたと思われる部屋があった。こちらは先ほどの場所とは違い光がほとんど入らないように設計されていて、中の空気もひんやりとしている。

 こちらにも同じような棚が置かれていたけど、そこには何も置かれていなかった。

 

 この場所は生モノとか傷みやすい物を保存する場所として使われていた感じなのかな。先ほどの場所には小麦などが置かれていたのに、ここには何も置かれていないのが少し気になる。

 もしかしたら、このハウスを隠す前に処理したのかもしれないけれど、それだと隣の倉庫にあった物の説明がつかないし。

 やっぱり誰かが傷んだ物を処分したとかなのかな。


 それと薄暗かったためすぐに気付けなかったけど、もう一つ右側にドアが存在していた。そこを開けて向こう側を確認してみると、そこはキッチンになっていた。やはり、この倉庫は食料を保存するために使われていたということなのかな。


 倉庫の確認は終わったので、一度元の場所まで戻る。そこから今度は玄関から部屋の中へ移動して、部屋の中を確認していく。


 玄関ドアの正面は壁になっているのだけど、隣の倉庫の配置からしてこの壁の向こう側は先ほど確認したキッチンになっている感じかな。


 壁沿いには奥行きが広めの棚が設置されていて、その中にはいくつか本が置かれていた。少し読んでみたい欲求に駆られるけど、今はハウスの中を確認して行くのが先だよね。


 玄関から右に行くと食事用と思われるテーブルが置かれ、左の奥には何に使っていたかはわからないけど、そのテーブルよりも小さなテーブルが1つ置かれている。

 その奥にも棚が置かれていて、小物やよくわからない物が多くある中でそこにも本が数冊おかれていた。


 本が一か所にまとめられていないし、物も雑多に置かれているから元の住民の人はかたずけが下手だったのかな。それともこれが理想的な配置ということなのか。


 小さなテーブルの向こうにもドアがあるけれど、まだこの部屋の全てを確認していないのでこちらも後にする。視界の端に映っている一番気になるものはこの部屋の次に確認することにして、今は別の場所を見て行こう。


 壁伝いに棚が並んでいる奥の机の左側、構造的に玄関前にあった壁の向こう側が見える。予想通りそこは先ほど倉庫の中から確認したキッチンがあった。

 どうやら倉庫とこの部屋でぐるっと一周できるらしい。


 この位置からだと、先ほど倉庫から見えなかった所にもう1つドアが見えた。こちらもこの後確認することにしよう。


 しかし、この部屋はドアが多いね。本来ならリビングダイニングとして使うような部屋ではない気がするのだけど。あ、キッチンもあるからリビングダイニングキッチンか。

 ああでも、別荘としても使っていたとか書かれていたから、使う人の都合のいい間取りになっているだけかな。


 さて、この部屋の確認も終わったから、次の場所へ行こう。


 玄関から見て部屋の右側。ここが今のところ一番気になる場所。テーブルの向こうにあるその壁は半分以上が窓になっており、その奥に毛色の違う空間が見えている。


 正式名称はわからないけど、くの字に折り畳まれて完全に開く窓の先に進む。


 窓の先は、家の外から見ていても存在感がすごかったこの広い部屋は、温室、サンルームとして使っていたのかハウスに面している以外の壁は全てガラス張りだ。


 南国の植物らしきものもとか外の気候に合わなそうな植物が多くあるけれど、ちゃんとしたテーブルとイスも置いてあるし、アウトドアリビングとしても使っていたのかもしれない。


 ここに置かれている植物もしっかり手入れをされているようで、雑草が生えているとか伸びすぎているとか、そういった状態の植木鉢は存在していない。


 上を見上げてみれば、この部屋の天井もガラス張りになっていた。

 天井はドーム状になっているけれど結構武骨な感じの鉄骨が入っているから、現実の建築よりは劣る感じなのかな。それとも、魔物が存在する世界だから強度を上げるためにわざと使っている可能性もある? 魔法がある世界だから特殊な技術とか存在しそうだけど、どうなんだろうか。


 この辺りは詳しく見たところでわからないだろうから、また気になった時にギルドの図書室にでも行って調べればいいか。もしかしたらWIKIの方に載っているかもしれないけど。


 時間にも限りがあるし、ずっとハウスの確認をし続けるのもどうかと思うからまだ見ていない別の場所を確認しに行こう。


「うん?」


 そう思って後ろ、リビングダイニングの方へ振り向くと視界の端に動く影。何だったのかと、もう一度確認したいところだけど、既にその影は見えない。

 私が視線を動かしたことによる残像の可能性もあるから確実とは言えないけど、でも今確認しても残像の元となったと思われる物は付近にはない。

 そういうことであれば、そういうことなのだろう。

 

 うん。何が言いたいかというと。


 要するに、何か居た。



 ―――――

 リビングダイニングから温室に繋がる窓は折戸タイプの全開口窓 ----が^^みたいに開く窓。クローゼットの開きとかによく使われている?感じのやつ

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