第49話 ハウス解放ギミック
まさかこの元草原を見つけた段階で幻視の状態異常にかかっていたとは気づかなかった。
UWWOでは状態異常にかかってもそれを知らせる機能はない。一応、戦闘ログには残るし視界の端には表示されるけれど、『〇〇の状態異常にかかりました』なんてアナウンスは表示されないし、視界の端に出ると言ってもそこまで目立つようには出てこない。
だから気づかずにそのまま戦いが終わり、後から状態異常にかかっていたことに気づくパターンも結構ある。一切気づかないってパターンも存在するけど。
状態異常って掛かると何かしらの影響がわかるのが普通だから、なっているかどうかの確認ってほとんどしてなかったのだよね。今後はもうちょっと気にして、定期的にステの確認をしておかないといけないのかもしれない。
ここのやつは特殊な状況かもしれないけど、さきにも同じようなことになる可能性はあるからね。
今回は常に幻視の状態異常にかかっていたため気づくことができたけど、それに気づくよりも前に状態異常のスタックがなくなり、幻視の状態異常から回復していたらしばらく気づけなかったかもしれない。
そうだとすればこのギミックに気づくまでもう少し時間がかかったかもしれない。
まあ、もう気づいているからそんなことを考えても意味は無いか。
今はさっさとこの場にあるらしい目印となるものを見つけて、ハウスの依頼を先に進めていくのが先決だよね。
森の中から目の前に広がっていた草原の中に入っていく。
草原は最初に来た時よりも草丈が低くなったことで地面に落ちている物がよく見えるようになっている。これなら目印の物も簡単に見つけることができるだろう。
さて、さくさく目印を探し出してハウスの依頼を終えてしまおう。
これは石。使い道不明。何処でも拾えるのでここではポイ。
これは少し成長している木の芽。不破壊オブジェクトなのか取れる様子はない。
これも石。
あれも石。
普通の枝。素材ではなく消費アイテムのようなのでポイ。
ダン木の枝。インベントリ行き。
なんかよくわからない物。これも少なくとも目印の物ではないね。特に反応がないし、【鑑定】してもアイテム扱いではなくオブジェクトとして情報が表示された。
また石、もしくは枝。
…………
……
おーう。
草原のエリアが広いとはいえ、隠せるような遮蔽物はないからすぐに見つかりそうなものに、まさかここまで見つからないとは。
草丈も高くはないし、これだけ見晴らしが良ければすぐに見つかるだろうと思っていたのだけど、目印となる物が一向に見つからない。
たまに素材アイテムが拾えるから完全に無駄ってことはないけど、見つからなさすぎる。つらい。
いや、それっぽいのが結構見えているからその内のどれかなのだろうが、似たような物が沢山あるから一々確認していかないとわからない。
それで近付いてから【鑑定】で確認しているのだが、大体が関係ない石や枝などのほぼ使い道がない素材ばかりだった。
あの日記を持っていることで受注できる依頼なのだから、あの本を持っていると目印となる物の場所が指し示されるみたいなギミックが有ったらよかったのにね。もう何度か確認して、そういうのはないことはわかっているのだけど。
一応、エリアの半分くらいは回ったのだけど、見つからないなぁ。
お約束みたいに開けたエリアの中央付近にあるとアタリをつけて探したけど、それらしき物はなし。
まあ、ちょっと考えれば、そんなわかり易い位置に設置するなら探さなくても見て分かるように置いておくよね。
あ、でもさらに考えたら、この後ハウスが出て来ることを考慮すると中央に目印となる物は置かないかも? どういった感じで出て来るのかわからないしハウスの立っている位置もわからないけど、ハウスに干渉するような場所にある訳ないか。となると端の方にある感じなのかな。
中心から外側へ向けて移動しながら探していたのを、外縁から内側へ向かって目印を探す方法へ変更する。
それから十数分。
外縁から5メートルほど離れた位置に目印と思われる物を発見。
それは土の中に底の方が少し埋もれていたが見た目は盆栽のような陶器の置物で、最初からそうなのかそれとも経年劣化によるものなのか、すぐに壊れそうという感じではないもののところどころ表面にひびが入っていた。
ふむ。【鑑定】したらしっかりとそれっぽい説明が出て来たからこれで間違いはないはず。さすがにまた幻視の影響でした、なんてことはないよね?
うん。装備はしっかり付けているから大丈夫。装備で付く耐性超えて来たらどうしようもないけど、さすがに二重に状態異常をかけてくるなんてことはないはずだよね。
しかし、外側から探し始めて大して時間が経っていないのにあっさり見つかったのだけど。
重要な物は大体エリアや指定された範囲の真ん中にある、という先入観を持っていたのがいけなかったのだろう。それに隠してある物が真ん中にあるわけないことを真っ先に思いつかなかったのも良くなかった。
まあ、それは今更だからいいか。とりあえず、見つかったのだからさっさと次に進めていこう。
さて、本によるとこの目印に
ここで悩んだり警戒しても意味はあまりないからさっさとMPを注いで依頼を完了させてしまおう。
そう判断して、私は目の前の盆栽の置物にMPを注ぎ始めた。
―――――
あの蛇は幻視の状態異常によって出てきた存在、というわけではなく、フィールドギミックの一部です。
※幻視の状態異常と蛇は別のギミックによって発動している(蛇自体は抜け殻を媒体にした魔力体が正体で、ハウスを隠しているギミックを隠すためのデコイのような物)
次話の内容ですが、もしかしたら気持ちの切り替えのために閑話になるかもしれません。
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