第40話 アイテム補充
では早速イスタットに行こう、と言いたいけど、その前にワイバーン戦で減ったアイテムの補充と、掲示板を見て必要だと思った物を作ろうと思う。とりあえずは人工血液の予備を作るところからかな。
すぐに使わない素材でギルド倉庫に入れられるものをしまい、生産するために必要な素材を委託取引で購入する。そしてギルドの生産施設へ行って、減ってしまったアイテムの補充を始めた。
人工血液を作るよりも先に、後々必要になる初級ポーションを100個ほど作っておく。Qu:Bが多く出来たのでそれをインベントリの中にしまい、それ以外は邪魔になるので一旦この場を離れギルド倉庫に預ける。
次に人工血液を作る前に素材として使う魔造血液を【血魔法】のブラッド使って作り出す。人工血液を作り出してから殆ど使う事の無かったスキルだけど、人工血液を作るには魔造血液が必要なので重要なスキルなのだ。
それと、何故か人工血液のアイテム説明文に、獣や魔物の血液を使った、と書いてあるけど、そんな素材は使っていない。おそらく魔造血液がそれの替わりになっているのだと思う。
1個につき、HP総量の10%ダメージを受けるだけなのでさくさく魔造血液を作り出していく。
4倍濃縮人工血液に使う魔造血液の量は27回分。HPにすると270%分。私が2回リスポーンするだけの量が必要だ。
とりあえず9回分の魔造血液を作り、ポーション用の瓶に詰めていく。
それで、魔造血液を3個ずつで濃縮するのだけど、ここで浄薬草などの素材を追加で使う。圧縮鞄なんかでも先に素材を追加しておかないと効果が出ないのと同じように、魔造血液も同じようにしないと効果が乗らないし、人工血液にならない。
そもそも人工血液は錬金で作れる通常レシピには載っておらず、何故かオリジナルレシピに分類されている。
普通の製作アイテムだと、レシピがない状態で作ると製作した後に通常レシピ欄に登録されるようになっている。
最初にレシピの無い状態で作ったアイテム類は大体ここに登録されているのだけど、いくつかのアイテムはここには登録されず、オリジナルレシピのカテゴリに登録されているのだ。人工血液もそうだけど5倍圧縮水筒もこれに該当する。一応、3倍の方は通常レシピカテゴリなので、そのくらいならUWWO内に居る住民でも作る範囲という事なのだろう。
9回分の魔造血液を作り終わったので、魔造血液3個と浄薬草、それとダン木の実を加えて【上級錬金】で合成していく。ダン木の実を入れた最初の理由は、試行錯誤をする中でこれを入れれば粘り気が出てより血液っぽくなるのではと思ったからだ。
まあ、入れても粘り気が増えることはなかったのだけど、その代わりDuが増えた。なので、それ以降は人工血液を作る時に毎回入れている。
合成が終わったことで魔造血液から人工血液に変わった。後はこれを3個合成して3倍濃縮人工血液にして、さらにそれを3つ合成することで4倍濃縮人工血液になるのだ。
人工血液の製作を何度も繰り返し、30分程で4倍濃縮人工血液が作り終わった。
いくつか減っていたアイテムを作り、予定数の製作は終わった。
最後は、私が掲示板を覗いた時に気になっていた、と言うか、必要だと思った物を作ろうと思う。
それは腰に付けるポーチ。今から作ろうとしているポーチの形的に、ウエストポーチとかサイドポーチと呼ばれるものだ。
今までの戦闘では、殆どが即殺か距離を取って攻撃することが多かった。ただ今回、ワイバーン戦では結構攻撃を食らってしまったし、今後、全ての攻撃を躱しながら戦闘が出来るとは思えない。そんな中で一々ポーションをインベントリから取り出しているのは大きな隙になるし、昨日もそれが足を引っ張っていた。
だから、私もすぐにポーションなどを使えるようにするため、ポーチを付けようと思ったのだ。
すでに戦闘職プレイヤーの間では必須級のアイテム、というかアクセサリーなので委託掲示板にも数多く売られている。ただ、相当足元を見られた値段設定だった。基本的に設定できる最高額、通常のBSAの倍に設定されていた。買えない、という程ではないけれど、一番安い物でも10000ASは超えていた。
しかもその性能は、微妙の一言。
一応、容量は倍にはなっていたけど、それだとポーションは5本しか入らない。しかも、重力石が使われていないのか、ポーチに入れた分だけの重さがかかる。
正直、それは使いたくない。
なので自作しようと思ったのだけど、私の【裁縫】スキルの熟練度は14%。正直、この熟練度でポーチが作れるかどうかがわからない。
とりあえず、試しで普通のポーチあたりを作ってみよう。前は熟練度が10%を越えればいいと思って適当な袋しか作らなかったから、【裁縫】スキルで真面なアイテムを作るのは初めてと言えるかもしれない。
ギルド倉庫に入っていた山羊の皮と羊の皮を出して、ポーチに使うことにする。
【裁縫】は基本的に自分で布として使う皮を縫い合わせていくのだけど、どうやら熟練度が30%を超えると、オートモードと言うかミシンを使っている状態に近いことが出来るようになるらしい。
たぶん、スキルによる行動の補助機能があるという事なのだろうけど、たしかに裁縫関係は他の生産スキルに比べて繰り返しの作業が多いから、そのような機能が付いているのはありがたい。ただ、2次スキルに上がれば生産設備が使えるようになって、そこにはミシンのような物があるから、そこまでしか使わない機能だろうけどね。別に手縫いの方が質は高いという事はないらしいし。
まあ、これは今のところであって、もしかしたら手縫いの方が良い、という事になるかもしれないけど。
羊の皮を使って簡単なポーチをいくつも作っていく。まだ熟練度が低いから、結構早く熟練度は上がっていく。
1時間かけて15個ほどポーチを作った。熟練度はこれで21%。もう少し上げたいところだね。出来れば50%以上にしたいけど、このペースで上がっていくとすれば今日中に超えるのは難しいだろう。
出来上がったポーチはインベントリに重ねて入れることが出来ないので作業台の上に放置してある。
一旦、このポーチを減らすために【上級錬金】によって合成していく。そして出来上がった3倍拡張ポーチは使う予定はないので専用委託掲示板に流しておく。
普通のポーチは難なく作れたので、ウエストポーチもそれほど難しくはないはずだ。なので、さっそく私が使う分のポーチを作っていこう。
出来れば使い勝手が良く多機能のポーチが良いのだけど、さすがに今の熟練度では無理だと思うので、とりあえず使いやすい感じでシンプルに作っていく。
ポーション類を入れるためやや深めで、少し横長の四角い感じのポーチにしていく。出来ればそのまま人工血液の予備まで入ればいいのだけど、欲張り過ぎない。と言うか、変に大きくすると動きの邪魔になるからね。まあ、多少小さくても容量を拡張すれば問題ない。あと、ある程度口が大きくないと取り出しにくいだろうから、その辺りにも注意して作る。
ポーチ部分が出来たので、後は腰に付けるためのベルトだ。
今装備している[森影色の長ズボン]にもベルトは付いているけど、そのベルトにポーチを付けると固定が甘くなりそうなのでポーチには個別でベルトを付けることにした。
これで1個完成したので合成して容量を3倍に拡張するためにあと2つ……いや、出来ればもう少し容量を確保したいから、あと8個作って4倍のやつにしよう。
そうして私は1時間ほど掛けて容量圧縮ウエストポーチ(4倍)を作り終えた。
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※オリジナルレシピ≠
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