第11話 生産…何しよう
生産施設の入り口を過ぎたところで現在デスペナ中であることを思い出した。
デスペナは後……30分か。リスポーン地点からギルドまで距離があるから、その分時間は減っているね。まあ、ステが下がるだけだから生産しようと思えば出来るのだけど、どうしようかなぁ。
錬金は……今はいいか。別のやつ……と言っても調合しかないのだけど、【調合】だと結局ポーション系しか作らないのだよね。ポーションの依頼はもう終わっているから作っても委託に流すだけだし、しかも錬金で作ったよりもQu低くなるだろうから売れるまで時間が掛かりそう。これは別の生産系スキルを取るべき?
ん? そう言えば、生産用の装備ってどこで買うのだろうか。生産施設の受付の人に聞けばわかる? もしくはWikiか掲示板に情報はありそうかな。とりあえずWikiを確認しよう。
うーん。ああ、受付の人に聞けば買えるのか。これ、さっさと受付の人に聞いた方が早かったかな。まあ、気になる程差がある訳ではないからいいか。あ、ついでに他の生産スキルについても調べておこう。
次に取る生産スキルは【料理】でその次に取るなら【裁縫】あたりになると思う。どちらもエネミーを倒した後に得られるアイテムを使うから取得しても問題ないと思うのだよね。特に皮素材は【裁縫】くらいでしか使わないし。
Wikiで調べて……【料理】関係の情報が凄く薄い。スキルの説明と初期の段階で作れる物しか載っていない。材料は…こっちは乗っている。いや、でも〇〇からのドロップとか、NPCショップで購入としか載っていない。ドロップはまあいいけど、NPCショップで購入って、何処のショップですかね。書いてないからわからないです。
これ【料理】不人気過ぎるよね? これって【錬金】よりも取得者数少ない?
今後増えるにしても情報が少なすぎる。うーん、手探り感が満載。まあ、いいか。どの道ワイバーン肉を購入してしまっているし、今更だ。と言うことで【料理】スキルを取得。必要SKPは【錬金】と同じ2だった。他の生産スキルも2なので、おそらく私のRACEだと生産系に必要なSKPは2で固定のようだ。
【裁縫】はどうしよう。情報はそれなりに載っているから困ることは無いのだけど、当分は【料理】スキルの熟練度上げになるだろうから、取得しても使わないしなぁ。取得するのは後でいいか。……やっぱり先に取得しておく。何か先に取得していた方が良い気がするし、どの道取得するのなら今取ってもいいよね。
【裁縫】も取得して、さて受付の人の所に行こう。と言ってもすぐそこなのだけど。
「あの……」
「施設のご利用…あ、生産時の事前連絡でしょうか?」
「いえ、生産装備……が欲しいのですが」
何か最近受付の人に顔を覚えられたのか、大体話しかけるとまた光らせるの? みたいな表情をされるようになった。確かにここのところ、熟練度不足の光を撒き散らしてばかりだったけど、あまり良い覚えられ方ではない気がする。
「装備でしたか。それでしたら購入可能な物は取得されている生産スキルに合わせた生産装備のみです。なのでアユさんが購入できる生産装備はこちらになります」
受付の人はそう言って私の前にウィンドウを表示させた。と言うか、アバターNAMEまで覚えられているのか。
ウィンドウに表示されている装備は初心者の錬金板、初心者の調合用ビーカーセット、初心者の携帯料理セット、初心者の裁縫道具だ。錬金板に関しては持っているし、購入欄には購入できないように不可の文字が表示されていた。まあ、2つ持っていたところで使う方法が無い以上、購入は出来なくても問題はない。
今回買うのは初心者の携帯料理セットだけだ。調合用ビーカーも買うかどうかはちょっと迷ったけれど、インベントリの枠の関係で見送った。裁縫道具に関しては元から買う気はない。
しかし、携帯料理セットが2000ASで割と高めだった。調合用ビーカーで500AS、錬金板と裁縫道具は1000ASだったから結構高いことがわかる。これはもしかして最初のJOBを見習い料理人にした方が得なのではないだろうか。まあ、そうすると見習が取れるまで料理人をしないといけないから、する人は少ないだろうけど。でも、途中でJOBを替えるならありかもしれない?
既に過ぎたことを考えても仕方ないか。初心者の携帯料理セットをウィンドウ上で選択して購入する。
「初心者の携帯料理セットですね。こちらになります」
「え、あ、はい」
受付の人からカセットコンロのような物とフライパン、それとまな板と包丁が入った袋を渡された。
あれ? こう言うのって直接インベントリに入るものでは? 何で直接、しかも携帯って書いてあったからどう言うものかと思えば何故カセットコンロ? いや、ガスボンベは付いていないから正確には違うのだろうけど、これが初期装備なの?
「装備の使用方法についてはヘルプを確認してください」
「あ、はい」
おおう、まじか。説明は別にいいけど、これって火力足りるのだろうか? リアルのカセットコンロでも火力が低いやつがあるから、これも最初はどのくらいの火力なのか確かめないと駄目かもしれない。
「それと、今回その装備を買われたと言うことは【料理】スキルを使用する予定がある、と言うことでよろしいでしょうか」
「え、まあ、そう……ですけど?」
「でしたら、ギルドの方に納品の依頼がいくつか出ています。出来ればでいいのですけど、そちらを受けて頂きたいのです。本来なら、いつも納品していただいている住民の方がいらっしゃるのですけど、どうやら体調を崩しているとの事で2週間程安静に過ごす必要があるらしく、納品が滞ってしまっているのです」
「だから、代わりにやって欲しいと」
「そうなりますね」
これはあれか。満腹度実装のための下準備的な依頼かな。まあ、受けられる依頼が増えるのは私としても嬉しいから、受けられる限り受けるようにしよう。依頼を達成すればギルドポイントも手に入るし、悪く無い気がするね。
「わかりました」
「良かった。無理のない範囲で構いませんのでよろしくお願いしますね」
料理系の依頼かぁ。とりあえず依頼が張られている場所に行って内容を確認しよう。それで作れる範囲の依頼を受けて、素材を買って生産って形かな。依頼の内容が簡単、と言うか作れる物ならいいのだけど。
―――――
初心者の携帯料理セットのコンロは運営の苦肉の策。
初期案は小型かまど。しかし、
「薪をくべるタイプでいいんじゃないの?」
「薪だと室内でやるにはキツくないか? ああいうのってしっかり換気機能がある場所じゃないと煙くて無理だろ」
「たしかに。でも、じゃあどうすれば……」
というやり取りの末、魔力式のカセットコンロになった。ついでに値段が上がった。
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