第30話 ゴリラ・リベンジ


 ゴリラに倒された後にログアウトしてから30分経ったくらいでまたログインした。

 その後はネズミの王国に八つ当たりに行って来き、30分ほどでネズミの王国はもぬけの殻になった。


 この時グネズミーはLV20になっていた。今まで以上に早くなっていたので数発突進を食らってしまったけど、それ以外は問題なく討伐できた。討伐の特典も貰えたし、運よくLVも上がった。この後は森にアイテムを拾いに行ったり、スキルの熟練度を上げたりといろいろしていた。



 現在はリアルで15時過ぎくらい。UWWO内では6時になってからそこそこ経ったくらいの時間。2度目のタイムアタックをしようとしたところでアナウンスではなくインフォメーションの文字が目の前に現れた。


 何事かと思いそのウィンドウを開く。どうやらこれは私個人に当てたお知らせのようだ。送り元は運営。内容を読んでいくとどうやらバグがあったからそこを修正したとの報告。

 内容を簡潔に言うと、


 あの森の出口にいた犬はバグだったんだ、ごめんね。もう突破しちゃったみたいだけど、ちゃんと修正したから。勝った時に使ったアイテムは返せないけど、お詫びとして負けた時に使ったアイテムの復活と、STPとSKP少しだけど渡しておくね。追伸、あのゴリラはバグじゃないよ!


 と言った感じ。ああそうか、としか思わないのだけど、出来ればゴリラの方がバグであって欲しかった。負けた時に使ったアイテムってそんなに使わなかったからあんまりありがたみはないけどSTPとSKPはうれしい。どっちも2だけだけど無いよりはましだ。


 スキルの熟練度が上がってグネズミー倒して、お詫びで貰ったやつでSKPが19になった。【弱点特効】が取得できるけど、ゴリラと戦った後に【投擲】も取得した方がいいかなって思ったんだよね。両方でSKP16だし取得しておくか。【血魔術】の熟練度が上がってブラッドウェポンとか言うの覚えたから【弱点特効】は確実に欲しいしね。


【血魔術】

 40%[ブラッドウェポン] ブラッドで操る血液を特定の武器に変形させるスキル。変形可能な武器はスキル所有者による。このスキルを使用しても基となる血液の量は増えない。変形させた武器の耐久値、攻撃力はスキルの熟練度に依存する。

 変形可能武器:ナイフ・短剣


 こんな感じのスキル。MP消費がないので使い勝手がいい……と思いきや、武器のサイズは基の血液量に依存なので今持っている量だとナイフがせいぜいって感じ。何か血液を溜めておける入れ物を作らないと使えるのはずっとナイフだけになってしまう。変形可能な武器は多分持っているスキルで増えていくと思うので、それはいい。欲しくなったら他の武器系のスキルを取得すればいいのだから。


 さて準備も済んだし、時間的にも今から行ったら、ちょうど森に近い方のセーフティーエリアに着いた頃がログアウトの時間になるはずだ。

 そうして私はまた森の中を全力で走り抜けていく。




 前より数分速いタイムで森を走り抜けた後、セーフティーエリアでログアウトして、リアルでやることやってまたログインして、夜になるまでスキルの熟練度を上げて、。完全に夜になる前にセーフティーエリアの小屋から出た。そして4時間掛けて廃村の広場までやって来た。


 さあ、ゴリラにリベンジだ。村の出口に向かいエリアBOSSの戦闘用フィールドに足を踏み入れる。


『アナウンス

 エリアBOSSの戦闘フィールドに入りました。これからエリアBOSS:【岩腕のゴフテス】との戦闘が始まります』


 アナウンスと共に場所が切り替わって、目の前にゴリラが現れる。最初に腕を振り上げたのでおそらく前と同じようにたたきつけを行うんだろう。石とかが飛んでくるので前もってシャドウダイブで身を隠す。そしてゴリラが腕を振り下ろして周囲の物を飛ばす。問題がなくなったので影から出て来る。

 ここからは前と同じようにちまちまダメージを与えてゴリラのHPを削っていく。


 ゴリラのHPは残り80%まで減った。大分順調に進んで行っている。微毒のスタックは14となかなか溜まっていて、毒の方は3となっている。でも何で同じ毒系統の状態異常が溜まっているんだろう。

 普通だったら混ざって毒のスタック少し増えるかと思ったんだけど、そうではなかったのかな。まあ、一緒に効いてくれるならそっちの方がダメージ増えるしいいんだけど。


 ダークランスを放ちながらゴリラのHPバーを確認する。そろそろ70%になりそうだ。移動のペースを少し落として攻撃していく。そしてゴリラのHPが70%を切ったようでゴリラの動きが止まった。それと同時に私はインベントリから毒液玉を出せるだけ取り出す。


 ゴリラが特殊行動の予備動作として息を吸い込みだしたのを確認してすぐ私は毒液玉を持っているだけ、ゴリラの顔目掛けて投げつけた。

 飛んで行った毒液玉はゴリラの吸込みに乗ってゴリラの中に入っていた。この段階では行動はキャンセルされないようだ。ついでにパラライズミストを吸い込ませてみる。


「グッゴバァッ!?」


 咆哮の予備動作が終わったと思った瞬間、ゴリラがいきなり苦しみだした。まあ毒が効いているんだと思うけど、おそらく吸込み中はスーパーアーマーとかでノックバックを受けないようになっているのだろう。


 毒の具合は……スタック36!? いやたくさん毒液玉投げたけどまさかこんなに溜まるとは。それで微麻痺は……14か。動きが鈍くなっている感じはしないからやっぱり微麻痺は使うだけ無駄かな。


 ゴリラは特殊行動をキャンセルされた上に毒状態になったため一時的に行動できない状態になっているようだ。この隙に一気に攻撃をしていく。【闇魔術】の攻撃スキルを一通り放ち、ポイズンミストで微毒を追加していく。

 そしてインベントリから魔造血液を取り出し、それをブラッドで操る。ブラッド+を使った上でブラッドウェポンを使い少し大きめのナイフの形を作っていく。


 それを動けなくなっているゴリラに向かって移動させ、ゴリラの首元の硬くなさそうなところに滑り込ませる。そしてスラッシュを発動させて思いっきり突き刺す。


「ゴアァアッ!?」


 突き刺したブラッドをさらに横に振り抜く。ゴリラのHPバーはさらに減っていった。これで半分くらい減らしたかな。


 ダメージは多く与えているけど、不安なのはこのゴリラの特殊行動のタイミングがいまいちわからないこと。70%で特殊行動と言うことは、次はどのタイミングなのか。とりあえずダメージを与えて、何か来たらシャドウダイブで回避するみたいな感じでいこう。いちいち気にしていたらHPが減っていかないし。


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