第13話 ネズミの王国を攻略しよう


 ポイズンミストからの個別撃破を繰り返し残りのネズミ(大)は、ネズミの王の近くにいる4匹のみになった。ネズミの王は私が他のネズミを倒していることに気付いている様子だったけど、視線をこっちに向けるだけで襲い掛かってくることはなかった。


【鑑定】で確認したらLV11と他のネズミ(大)より1LV高いから、ネズミの王の近くにいる4匹のネズミ(大)は四天王的な扱いなのだろうか? LV以外は同じだったから多分他のヤツと同じように倒せると思うけど、ネズミの王がその時どう動くかがわからないんだよね。【鑑定】でネズミの王は名前すら鑑定できなかったし、まだLVが足りないってことなんだろうと思うけど。


 取り巻きのネズミ(大)にポイズンミストを接触させられる位置まで離れる。そしてその位置からポイズンミストを発生させる。一番近い位置にいるネズミ(大)に当てて、その1匹だけを誘き出す。


 って、あ、他の3匹もこっちきた! まさかここにきて4匹同時に戦わないといけないの!? うわっ、と、とりあえずポイズンミストがずっと接触するように移動させて、危ないっ。


 部屋に散乱している瓦礫とかを盾代わりにしてネズミの突進を防ぐ。4匹同時はつらい。幸い連携して攻撃してくるわけじゃないから、全部躱すのは無理だとしてもリンチになるようなことはない。


「ブラッド。……エンチャント:ポイズン」


 ナイフでネズミにカウンターもどきで攻撃し、ブラッドで視界を遮りつつ微毒のスタック値を稼ぎ、少しずつダメージを与えていく。

 あ、端の方に行った1匹が回復してる。


 ブラッドを操作し、回復しているネズミ(大)に当て回復をキャンセルさせる。しかし、そうすると他のがその隙を突いて攻撃してきた。ナイフを咄嗟に出し、攻撃を防ごうとしたがネズミ(大)の突進をまともに食らってしまった。ナイフが少し当たっていたので多少ダメージは与えているだろうけど誤差みたいなものだと思う。

 HPが100を切った。1匹でも早く数を減らさないとこれではジリ貧状態だ。


「ポイズンミスト」


 ネズミ(大)のHPは30%~60%くらい。一番低いのでHPは残り40くらいなはず。まずは一番倒せそうなネズミ(大)から倒す。


 ポイズンミストを接触させてスタック値を稼ぐ。付いたスタック値は(3)これだけじゃ倒せない。あ、ブラッドが消滅した。耐久値0になったのか、これはまずい。あっちで1匹回復行動してる。妨害…いや、あれは無視して先にこっちを倒す。


 突進してくるネズミを躱す。そして着地してその身をひるがえす前にナイフで攻撃。あ、不安定な足場で攻撃受けたからネズミ(大)がひっくり返った。チャーンス! 仰向けになったネズミ(大)の腹に向けてナイフを突き出す。クリティカルが入ったのか弱点だったのか残り10%ほどあったHPが0になり、ネズミ(大)はポリゴンになって消えた。残りのHPは67、MPは71。あと残り3匹。


 2匹のネズミによる突進を躱しながら、回復行動をしているネズミ(大)を妨害しに行く。回復する前は40%くらいだったのに50%くらいまでHPが回復している。私はそんなに回復できないのに、ネズミのくせに生意気だぞコラー!


 回復行動をキャンセルするとノックバック?のような状態になるのでその隙に出来る限りナイフで攻撃する。これで残り30%を下回った。残りの2匹は大体50%を切っているくらい。微毒のダメージで少しずつだけど減っているようだ。

 ただ、ネズミ(大)のHPバー下にあるストック値は残り1なのでこれ以上微毒でダメージを与えるのは難しそうだ。ネズミの王がどう動くかがわからないので、できればMPは残しておきたいけど、使えるのはポイズンミスト1~2回分くらいかな。


 攻撃を躱しつつ、瓦礫を盾にしてネズミ(大)の突進を防ぐ。ネズミ(大)はどうやら連続で攻撃している感じではなく、私が使うスキルのようにCTがあるのか突進をしてくるタイミングには10秒ほどの間隔があるようだ。ならばそのタイミングで攻撃をすれば必要以上に攻撃を食らわなくなるし、回避にも専念できる。


 残っているネズミ(大)の内一番HPの少ないヤツの相手をしていると他の2匹が回復行動をとり始めた。さすがにここまで来て回復されるのはまずい。直ぐにポイズンミストを発生させ、2匹の回復行動を妨害する。


 他の2匹が動けなくなっている間にもう1匹を倒さないと。突進を躱して後ろからナイフで切りつける。ネズミ(大)は30センチ程の正直対峙したくないほど大きいねずみだけど、ナイフで攻撃する分には小さくてやり辛い。


 ……あれ、今までナイフで攻撃していたけど、別に蹴っても殴ってもダメージは入るんじゃないかな。触りたくはないから殴るのは絶対しないけれど。


 ちょうどいい位置にネズミ(大)が居るから、とりあえず蹴ってみる。うわっ、ぐにって生々しい感触がした!? あ、2度とやりたいとは思わない感触だったけどダメージは入っているっぽい。蹴ったネズミ(大)はHPが0になったようでポリゴンになって消えていった。

 LVアップのアナウンスが聞こえたけど、確認している余裕はない。


 残り2匹のネズミ(大)に付いている微毒のスタック値は3。2匹とも同じく40%くらいのHPが残っていて、微毒のスリップダメージだけでは倒せない。まあ、2匹ならこれまでやってきたようにすれば何とかなるはず。躱して、瓦礫でガードしてちょっとずつ攻撃。これを何回か繰り返したところで最後のネズミ(大)を倒しきった。残りのHP58、MP82。


 後半はMPを使わないように戦ったから、少し回復してる。5秒に2くらい回復するから、時間が掛かった分多く回復したようだ。

 ネズミの王は、動き始めてる。LVも上がったし、戦いになる前にもう一度鑑定してみよう。


[(モンスター)土纏つちまといのグネズミー LV12 att:土]

 HP:376

 MP:105

 スキル:■


 鑑定は成功したけど、名前がビッグラットじゃない。どういうこと?


『アナウンス

 ネームドモンスターと初めて遭遇しました。ネームドモンスターについて、ヘルプが更新されました。詳しくはヘルプを確認してください』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る