第10話 毒魔術…


 UWWOのサービス開始から3日目の午後。昨日はログイン中ずっとスキルの熟練度を上げていた。その結果がこちら。


『ステータス

 NAME:アユ

 RACE:ヴァンパイア(純血)

 LV:1/30

 JOB:なし

 BC(Belonging Country=所属国):なし

 HP:130/130(0)(0)

 MP:150/150(0)(0)


 STR:13(1) 

 VIT:12(2) 

 INT:21(0) +9

 MND:15(0) +3

 AGI:11(1) 

 DEX:17(0) +4

 LUK:14(2) 

 STP/SKP:0/7


  装備

 メイン武器:初心者のナイフSTR+1

 サブ武器:なし

 生産装備:なし

 頭:なし

 胴:初心者の服VIT+2

 腕:なし

 腰:初心者の服

 脚:初心者の靴AGI+1

 アクセサリー(1/3):幸運の腕輪(劣)LUK+2


  スキル

 戦闘:短剣術0% 血魔術21% 闇魔術26%

 補助:血統魔法6% 身体能力向上(微)1%

 生産:錬金0% 調合0%

 その他:日光脆弱39% 生活魔法0% 鑑定1% 感知0%(2)


  称号(タイトル)

【世界の不思議を初めて発見した者】【ゾンビアタック】

 

 所持金:0AS(アス)』


 こんな感じ。LVは上がっていない。戦ってないから当たり前だけど。

【血魔術】と【闇魔術】の熟練度が上がってステータスが少し増えた。ただ、【血魔術】の熟練度が20%になった時、INTが3、DEXが1とMNDが上がらなかった。


 ログアウトしてから兄に聞いたところ詳しくは知らないようだったけど、スキルの使い方でステータスの上がり方が違ったことがあったらしいので、おそらくスキルをどう使ったかによってウィンドウ上には見えない熟練度的な物があるんじゃないかとの事。


 確かに【血魔術】の熟練度を上げている時にどうやって攻撃に使おうかと弄りながらやっていたから、その影響かもしれない。

 さらに【血魔術】も【闇魔術】も熟練度が20%に上がったことで新しいスキルを覚えた。


【血魔術】

 血液を操る魔術。血液を操ることで武器や防具などのように操る。スキル使用中は継続的にMPを消費する。血液は新鮮なものの方が操りやすい。また、血液は本物である必要はない。

 0%[ブラッド] 血液を操る【血魔術】の基本技能。1度に操れる量は熟練度に依存する。周囲に血液がない場合は、使用者のHPの総量に対して10%のダメージを負うことで目の前に血液を発生させる。CT/CT:1s/1s MP消費量:1/1s→1/2s


 10%[ブラッド+] このスキルを発動中は[ブラッド]で操る血液の量を200%にする。このスキルを解除した場合、このスキルによって増加した分の血液は消滅する。このスキルを発動している際は[ブラッド]のMP消費量に対して100%分増加する。増加した血液は熟練度による1度に操れる量には干渉しない。CT/CT:2s/5s


 20%[ブラッドドレイン] このスキルは[ブラッド]の発動中にのみ使用することが出来る。このスキルは[ブラッド]で操る血液が対象の傷に触れていることで、対象の血液を奪うことが出来る。ただし、傷がない、または血液のない対象には効果はない。CT/CT:1s/10s MP消費量:10


【闇魔術】

 属性闇に該当する魔術。闇を操ることで何らかの現象を引き起こすことができる。スキルを使用する時間によって効果が変動し日中には減少、深夜には増大する。増減量は熟練度に依存する。

 0%[ダーク]闇属性の霧を発生させ、相手の視界を奪う。効果時間はMPに依存し、使用中は継続的にMPを消費する。CT/CT:0.5s/1s MP消費量:1/3s→1/5s


 5%[夜目(P)]夜闇や暗闇など暗い場所でも日中のように周囲を見渡せるようになる。見やすさは基となるスキルの熟練度による。


 10%[ダークボール] MP依存の闇属性の球体を作り出し、前に撃ち出す攻撃魔法。威力[中] CT/CT:2s/10s→2s/8s MP消費量:5 


 20%[ダークランス]  MP依存の闇属性の槍を作り出し、前に撃ち出す攻撃魔法。威力[高] CT/CT:5s/20s MP消費量:10 


【血魔術】では[ブラッド+]と[ブラッドドレイン]を覚えて、【闇魔術】では[ダークランス]を覚えた。それと最初からある[ブラッド]と[ダーク]の消費MPが減った。

 最後に【日光脆弱】の熟練度が39%になった。それによりダメージが6秒で1%のダメージになった。


 大体こんな感じ。他のスキルもちょっと熟練度は上がっているけど、何かが変わった感じもしないから今のところは無視して大丈夫だろう。


 さて、そろそろネズミの王国に突撃した方がいいだろうか。それとも【毒魔術】取って、熟練度をある程度上げてから行くべきか。

 うーん、とりあえずリスポーン前提で突撃して倒せるだけ倒して、LV上げられればいいかな? それで行けそうになかったら【毒魔術】を取得する感じにしよう。

 と言うことで突撃、隣のネズミ王国!


 ネズミの王国に入る前にまずはドアの前で【感知】を使い、内にいるネズミの数と配置を調べる。うわ、すごい居る。ドアの近くにはあまり居ないようだ。マップに赤い点が表示されていて、見る限り5匹くらい? 他はドアから少し離れたところにいる。そっちは数えられない程にマップ上に赤い点が表示されている。

 やっぱり【毒魔術】は必要だな。今使えるスキルだとどう考えても1度に倒せる量が圧倒的に足りない。今のまま何も考えずに行けば、物量に押されて負けるだろう。


 まあ、物は試し。前もって考えていた作戦を1回やってみてからだ。

 まず【血魔術】のブラッドを発動し、魔造血液を発生させる。さらにブラッド+で量を増やす。そしてドアを開ける。


 ドアが開いたことに気づいたドアの近くにいたネズミが3匹こっちに突進して来た。それ目掛けてブラッドを操作して突っ込んできたネズミを魔造血液で覆い行動を妨害し、これ以上ネズミが来ないようにドアを閉める。

 結果として、ブラッドの中でネズミが3匹のたうっている。どうやら思った通りの効果が出ているようだ。あっと、ブラッドだけだとダメージは入らないから装備のナイフで攻撃しないと。


 作戦は成功だ。ブラッドで操作できるのは血液だけだけど、血液は液体だ。だから中に取り込んだ物を落とさないように操作すれば、ネズミの行動を抑えることが出来るはずだと思ってやってみたらうまくいった。

 ただ、残念なことにブラッド自体に攻撃性はないので他の手段で攻撃しないといけないけど。


 窒息させることも考えたけど、そもそもブラッドで操作できる血液の量は少ないし、窒息させるまでMPが持つか分からなかったので作戦から外した。

 魔造血液にとらえられているネズミをナイフで突く。切りかかると狙いが逸れそうだから突く。1匹大体ナイフで3回突いたくらいで呆気なく倒せた。

 そしてLVは上がらなかった。一応格上なんだけどなぁ、3匹じゃ足りないのか。ただこの作戦でこれ以上たくさん倒すのは時間が掛かりすぎる。やはり【毒魔術】を使って倒した方が早いかもしれない。


 とりあえず、安全にスキルが取得できる初期地点に戻ろう。

 あ、その前に使い終わった魔造血液をコップに入れてインベントリにしまわないと。あれ、ちょっと…え、耐久値がかなり減ってる!? どういうこと。元の耐久値から12も減ってる。あ、もしかして説明にあった残存耐久値以上の攻撃を受けると消滅って、耐久値が魔造血液のHPみたいな感じってことか。

 ああ、と言うことはこれ使って戦うときは予備も用意しておかないとまずいかもしれない。いやまあ、その辺は棺桶に戻ってから考えよう。


 初期地点に戻ってすぐにスキル取得一覧を開いて、SKP2を消費して【毒魔術】を取得した。


【毒魔術】

 MPを消費して毒を生成する魔術。MPを毒に変化させ、生成した毒を操り対象に毒系統の状態異常を引き起こす。

 0%[ポイズンミスト] 毒の霧を指定した場所に10秒間発生させるスキル。発生する霧の量は熟練度に依存する。発生させた霧に触れた対象を一定時間状態異常:微毒にする。スタック値は対象が霧に触れた時間により変動する。CT/CT:2s/30s MP消費量:15


 思ったよりも効果が微妙。消費MPが若干重い。スキル取得可能一覧からだとスキルの説明しか読めないからこう言うこともあるよね。まずは微毒についてヘルプを見よう。【毒魔術】を取得したタイミングでヘルプが更新されたから、おそらく載っているだろう。


『―ヘルプ―

 毒系統状態異常

 毒系統の状態異常は、状態異常()で表され、()内の数値が状態異常の継続時間を表す。()内の数値は何スタックと数え、1スタック毎に10秒に1回の各状態異常の効果の判定を行う。対象に蓄積するスタック値は、対象の抵抗値とスキルの熟練度により増減する。

 微毒:スタックによる効果判定時まで、状態異常:微毒が発生している対象に1秒当り1のスリップダメージを与える。 』


 1秒ごとに1ダメージってことは1スタックで10ダメージか。あのネズミだとスタックは3必要ということ? いや、そもそも何秒当てればスタックが3になるんだろう。それと、指定した場所に発生させるというのは壁の向こう側も入るのだろうか。もし出来るならネズミの王国の攻略が格段に楽になるのだけど。

 1回試しに使ってみるかな。MPまだ回復しきってないけど、1回使う分には十分あるし。1回やってみよう。マップを見ながら場所を意識して、スキルチャージ。


「ポイズンミスト」


 うん!? えっ、ちょっと待って。

 発動したポイズンミストは隣の部屋に発生することなく、私と目の前の壁のおよそ中間に発生した。想定外の事態に私は慌ててスキルを解除したが、状態異常:微毒(2)が付いた。


 待って。え、スキルを発動した本人にも状態異常って掛かるの!? うわ、ダメージ入ってる。ポイズンミストに接触していたのは1秒くらいで、スタック値が2か。

 期せずしてスタックの溜まり方がわかったのは良かったが驚いた。まあ、あのネズミに同じような感じで効くかはわからないけど。


 ああ、HPが減る。回復手段が欲しくなる。【日光脆弱】の熟練度下げの時もどれだけ望んだことか。しかし、残念なことに私のスキル取得可能一覧には回復系のスキルは【HP自動回復(微)】のみ。RACEの所為なのか、取得に条件があるのか、とにかく私は回復系のスキルは取得できない。


 無理なことは置いておいて、先に【毒魔術】の熟練度を上げて…あれ、熟練度1%になってる。1回しか使ってないのに、もしかして毒の状態異常になると熟練度上がる? いや、それとも状態異常にしたら上がるのかな? 

 それなら回復系のスキルがあれば……いや、やめよう。出来ないことを考えるのは時間の無駄だよね。……うん、そうに決まっている…はず。


 うーん、とりあえず外に出て使って使用感を確かめよう。部屋の中で使うのはさっきみたいな事故が起きるかもしれないから危ない。

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