馬鹿スキルと呼ばれるスキル購入スキル持ち 〜安いスキルは微妙〜

@you_Hey

第1話カッコいいに憧れる

ーーーーアニト六歳


アニト Lv1

スキル:麺を一日一本飛ばす、スキル購入

経験値0/50

残りSP0


男の子「すげぇなアニト!最強じゃん!」

男の子「隕石落とせる様になったら見せてくれ!」

男の子「一緒に冒険者になろうぜ!」

アニト「うん!」


ーーーーアニト九歳


男の子「アニトのスキル微妙だな」

男の子「俺やっぱ組むのやめるわ…」

男の子「おい!メキヤが雷スキルで岩壊すって!」

男の子「見る見るぅ!」

アニト「…」

アニト(僕だって好きで

      このスキル持ってるんじゃないよ…)


ーーーーアニト十二歳


男の子「お前スライムも倒せねえの?!」

男の子「馬鹿スキルのアニトだからな!」

男の子「毎日、麺飛ばしてラーメン屋やればいいじゃん!」

男の子「一杯できる前に腐るだろ!」

男の子「そりゃそうだ!」

 アニトを笑い馬鹿にする


アニト「…」無言で家へ帰る


マリー「おかえりなさい見てアニト!

     お父さんがアニトの出した麺で

      最高の一本ラーメン作ったのよ!」


母のマリーがアニトに、

         元気溌溂とした様子で話しかける


ブラン「見よアニト!

   アニトの出すコシのある究極の麺と

    お父さんの芸術的スープの組み合わせを!」


父のブランが一本の麺とスープが入った丼を差し出す


マリー「一本だからこそ、おりなせる芸術よ!」


アニト「……」

  沈んだ顔で、スープに揺れる一本に麺を見る


アニト「…今日夜ご飯いらない…」

呟く様に言い、二階へ暗い雰囲気のまま上がっていく


ブラン「逆効果だったかな……」

 丼片手に申し訳なさそうな顔をするブラン


マリー「そんな事ないわよ、

         照れてるだけよ…多分……」

              夫を励ますマリー


数年が経ち……


ーーーーアニト現在



アニトは町から離れた森で奮闘していた


アニト「はっ!はぁっ!」


ゴブリンへ向かって

      ショートソードを振るうアニト


ゴブリン「ギャァッ!」ゴブリンが斬られ倒れる


ゴブリン「ギャギャ!」

    別のゴブリンが茂みから飛びかかる


アニト「ッ…!」


短刀を持ったゴブリンに飛びかかられ後ろへ倒れる


ゴブリン「イーッ!」

  倒れたアニトに馬乗りになり

         首に短刀を突き立てようとする


アニト「ぐくっ…!」

 首に近づく短刀を押し返そうとする


アニト「ふんっ!」

  ゴブリンを押しのけ立ち上がる


ゴブリン「ギィー!」ゴブリンが飛びかかる


アニト「りゃ!」横へ飛び、横から斬りかかる


ゴブリン「ギャイッ!」横から切られて倒れる

    

アニト「ふぅ…」疲れて一呼吸おく


アニト「…よし…!」

 倒れたゴブリンがフッと消え魔石が転がる、

       魔石を拾いアイテムポーチへしまう


アニト「やっと五匹か…」


アニト「炎を操るとか風を操るスキル

      どれか一つ買えれば

        カッコいいし楽なのに」


ステータスを開き呟く


アニト Lv19

スキル:麺を一日一本飛ばす、筋力強化Lv1、防御Lv1、スキル購入

経験値7322/7531

残りSP8P



アニト(このスキル購入スキルなんて

          今じゃ馬鹿スキル扱いだよ…)


アニト「そんな事、言ってもしょうがない」


アニト「筋力強化Lv1じゃやっぱり厳しいし

            そろそろ上げとこうかな」


SP5消費 筋力強化Lv1→筋力強化Lv2


アニト Lv19

スキル:麺を一日一本飛ばす、筋力強化Lv2、防御Lv1、スキル購入

経験値7322/7531

残りSP3P


アニト「よし!これで明日は

         もうちょっと早く終わるかも!」


アニト「報告もしないといけないし、そろそろ帰ろ…」


町へ歩き出す



ーーーキズの町へ戻る



ラビノ「よぉ!馬鹿スキル!今日も小物狩りか?!」

        同期の冒険者ラビノが笑う


アニト「…」

 特に顔も向けず、逃げる様にギルドへ向かう



ーーーギルドへ入り受付へ…



ワーダル「おうアニト!」

     ギルド受付に座る厳つい大柄な、

         男性職員のワーダルが声をかける


アニト「ワーダルさん、

      ゴブリンの依頼報告したいんだけど」


ワーダル「朝に受注してった五匹のやつか!」


アニト「うんこれ」

     倒したゴブリンの魔石を渡す


ワーダル「…うーん!よろしい!」

 魔石を見て、太い指で報告書を書いていく


ワーダル「これが今回の報酬だ、よくやったな」

      報酬の5000Gを渡す


アニト「うん、ありがとう…」

 同い年や年の近い冒険者から見れば、

        大した事ない金額を受け取る


ナケイラ「アニトさん依頼報告ですか?」


アニトと同年代の

    ギルド女性職員のナケイラが奥から出てくる


アニト「そうだよナケイラ」


ナケイラ「頑張って下さい!」


ワーダル「……」アニトとナケイラを見るワーダル


ワーダル「悪いな、俺が受付に座ってるせいで、

ナケイラじゃなくて、こんなおっさんを見る事になっちまって…」


アニト「いやいや、そんな事ないよ!」


ワーダル「なんだアニト!男の方が見たいのか!」


アニト「いやナケイラの方が見たいよ!」


ナケイラ「っえ!」


ワーダル「男だな!」


アニト「いやそういう事じゃないよ!」


ナケイラ「え!嫌なんですか!」


アニト「嫌じゃないよ!」


ワーダル「アニトはやはり変態か!」


ナケイラ「そうなんですか!」


アニト「違うよ!」


ワーダル「男は皆変態だ!」


ナケイラ「本当ですか!」


アニト「僕は違うよ!」


ワーダル「かく言う俺も変態だ!」


アニト「いや知らないよ!」


騒いだせいで、ギルドの視線が集まり気まずいアニト


アニト(明日からギルド来にくいよ…)



ーーー報告が終わり家路に着くアニト



アニト「ただいまー」玄関を開けて中へ入る


マリー「おかえりなさいアニト!」


ブラン「よく帰ったアニト!

     見よこれが究極のスープ!

      ここにアニトの麺を入れれば完成だ!」


アニト「一本ラーメンじゃなくて

       普通のラーメンが食べたいんだけど」


アニト(久々にラーメン食べたいし…)



ブラン「そうか!そう言うと思って…」

   待ってましたと言わんばかりに鍋の蓋を開ける


ブラン「肉じゃがだ!」


アニト「え…ラーメンじゃないの?」

  

マリー「キャー!

     ラーメンからの肉じゃがよー!」

              歓喜する母マリー


アニト(ラーメンが良かった…)



ーー一食事を終えて就寝する…



その夜、町が寝静まった頃…


ギザギザの口が横に大きい

 十cm程の、黒く丸い玉の様な鳥?が

              町に飛んでくる


黒い玉の鳥「ギャッギャッギャ!

      ここか!やっと着いたぜ!

       ここまで何度、鳥に突かれたか…

        アイツら覚えてろ!小鳥どもめ!」


黒い玉の鳥「……そんな事より探すとするか」


黒い玉の鳥が家を覗き込んだり、

     煙突から侵入したりと、何かを探す


黒い玉の鳥「クッソ…この夜の内に

       見つけられりゃなんだがー…」



ーーー黒い玉の鳥がアニトの家に忍び込む



黒い玉の鳥「ギャー!いたー!」アニトを見つけて叫ぶ


アニト「…ッ?!っ何何何っ?!」

     突然誰かの声がして飛び起きる


ブラン「どうした!アニト!」

      父と母が二階に駆け込んで来る


マリー「お漏らししたの?!いいのよ別に!」


ブラン「そうなのか!いいんだぞ!」


アニト「してないよ!この歳でする訳ないでしょ!」


ブラン「まあ、冗談はさておきどうした?」


アニト「…」すぐに戯ける父と母に眉を眉をひそめる


アニト「声がしたんだけど…

         気のせいだったみたい…」


マリー「あらそうなの…怖くなったら、いつでも

 お父さんとお母さんのお布団入ってきていいのよ」


アニト「入らないよ」


ブラン「照れてるのか」


マリー「ホントね〜素直じゃないところは、

             誰に似たのかしら」


そう言いながら父と母が自分達の寝室へ戻る


アニト「…何言ってんだか…」

    ため息混じりに言いながら布団へ入る


黒い玉の鳥(…あぶね〜! 

       せっかく見つけたのに、

        不用意に見つかるところだったぜ…            ふぃ〜…気をつけねえと)



ーーーー次の日…

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