〇〇しないと出られない部屋

夏艸 春賀

〇〇しないと出られない部屋Part.1

《諸注意》

※ツイキャス等で声劇で演じる場合、連絡は要りません。

※金銭が発生する場合は必ず連絡をお願いします。

※作者名【夏艸なつくさ春賀はるか】とタイトルとURLの記載をお願いします。

※録画・公開OK、無断転載を禁止。

※雰囲気を壊さない程度のアドリブ可能。

※所要時間10分。基本的には男1:女1:不問1の三人台本です。それぞれが短いが、兼ねなくても出来ます。その場合は最大で男3:女3:不問1の七人台本になります。





《役紹介》

琴宮 鈴音(ことみや すずね)

20代、女性、ふんわり系


湯岐 太一(ゆぎ たいち)

20代、男性、意地悪系


皇 冬美香(みかど ふみか)

20代、女性、お姉さん系


金代 倫(かなしろ りん)

20代、男性、爽やか系


金代 理沙(かなしろ りさ)

18歳、女性、元気っ子系


槌谷 弦樹(つちや げんき)

20歳、男性、ワンコ系


ナビゲーター

年齢不詳、テンション迷子




《配役表》

鈴音/冬美香/理沙(女):

太一/倫/弦樹(男):

ナビゲーター(不問):





↓以下本編↓

────────────────────




ナビゲーター

「どうもー、こんばんは。あ、こんにちは? それともおはようございます? ま、どれでも良いですかねー。自分はこのお話のナビゲーターです。どうぞよろしくー。

 ところで皆さんは『〇〇まるまるをしないと出られない部屋』には、入った事ありますか? ふむふむ。まーね、大抵の人は入った事ないですよね! 知ってました! ある時は告白をしないと出れなかったり、もしくはキスをしないと出れなかったり、あるいは情事をいたさないと出れなかったりと様々ですがー! 今回はー、むふふ。何と3パターンの出られない部屋をご用意致しましたので、ご案内したいとー思います! それでは張り切って! 一組目! いってみよー!!」



【間】



《鈴音&太一の場合》



鈴音

「ただいまー、りんくん……え?」


太一

「……あ、はい、どうも?」


鈴音

「え、え?……湯岐ゆぎ、先生? あれ、私……確か買い物に行って……それで……」


太一

「えぇ、はい。俺も、そうだった」


鈴音

「……ふぇ……」


太一

「あー、待って待って、泣かないで貰えますかね? とりあえず状況整理だけさせてくんね?」


鈴音

「うぅ……分かりました。それで、あの……ここは?」


太一

「……なんだろ。あー……アレ、見て」


鈴音

「え、あれって……『挨拶しないと出られない部屋』? えっと……どういう意味、ですかね?」


太一

「今さっき挨拶したけど扉が無いって事は……違うのか」


鈴音

「ふぇえ……」


太一

「うん、うん。気持ちは分かる。分かるけど、泣かないで貰えますかねぇ?」


鈴音

「……」


太一

「そんな捨てられた子猫みたいな顔で見ないでくれませんかねぇ?」


鈴音

「……くすん」


太一

「……(盛大な溜息) 多分、外国式な挨拶なんだと思いますよ」


鈴音

「がいこく、しき?」


太一

「要するに、ハグしろって事」


鈴音

「ふええええ!!」


太一

「だから泣くなって!」


鈴音

「だってぇ! 他の男の人と! そんなぁ!」


太一

「たかが挨拶で泣くなっつーの!」


鈴音

「私は! りんくん以外に触られたくない!!」


太一

「じゃあ、こっから出れませんねぇ」


鈴音

「いや! 帰りたい!!」


太一

「じゃー触りますよぉ?」


鈴音

「嫌! 受け付けてません!!」


太一

「なら帰れないですねぇ」


鈴音

「意地悪!」


太一

「はいはい、それで良いですよ、もう……」

(近付いて無理矢理引き寄せハグ。ついでにこめかみに軽く唇で触れる)


鈴音

「ッ!!!」


太一

「はい、扉出現。帰りますよー」

(何食わぬ顔で扉から出て行く)


鈴音

「──〜〜!!!」



【間】



ナビゲーター

「はーい! 皆さん、いかがでしたかー? 女のかたは真っ赤な顔で出て行きましたね〜! 男の方は手馴れてましたね……なんですかね、アレ。タラシですかね。そうでしょうそうでしょう、彼はきっとタラシなんです! この部屋は、『外国式挨拶をしないと出られない部屋』です。めっちゃ小さく外国式って書いてあるのが意地が悪いですね!

 さてさて! お次の組はどんな部屋なんでしょうかー、それでは、はりきって! いってみよー!!」



【間】



《冬美香&倫の場合。》



「ただい、ま……?」


冬美香

「あら、先輩」


「……ん? あれ、扉が……無い」


冬美香

「えぇ、閉じ込められてしまったみたいなんですよね」


「…………」


冬美香

「なんで鈴音すずねじゃないんだ、って顔しないでくれます? あたしもこれでも内心焦ってるんですから」


「……出る」


冬美香

「まぁ、そうですね。何とかして出ないと、心配させちゃいますしね」


「…………みかど、ここに何か書いてあるぞ」


冬美香

「なになに? 『愛の告白をしないと出られない部屋』……うん、なるほど」


「愛の、告白……? それはちょっと……」


冬美香

「お互いパートナーを思って言ってみれば良いのでは?」


鈴音すずね……好きだ……愛してる……」


冬美香

「……」


「……」


冬美香

「……扉出ませんね」


「そうだな……仕方ない。みかど


冬美香

「はいはい、なんでしょう?」


「やってみてくれ」


冬美香

「……え?」


「俺では届かないみたいだ」


冬美香

「はぁ、まぁ……え、あたしがやるんです?」


「存分に愛を感じる告白をしてみてくれ」


冬美香

「いや〜……ちょっと……あの、恥ずかしいんですけど」


「そうだな、それなら耳は塞いでおくから」


冬美香

「そういう事じゃなくてですね」


「顔も見ない方が良いか?」


冬美香

「そうでもなく」


「ならどうすれば良い」


冬美香

「ん〜もう!……あいしてますよ! 先輩!」


「…………ん?」


冬美香

「はい! 扉出現しました! 帰りますよ!!」

(ほんのり耳を赤くしながら出て行く)


「う、ん。うん?」



【間】



ナビゲーター

「…え? あ、あれ? 終わり? えええええ、ちょ、え、もしかしてもしかして、俺って後輩にガチ告白されたーーーー!!!……とかは、思ってないでしょうね、彼。いやー、そうですかそうですか、そう来ましたか、ほほーう! はい、てなワケで二組目も終了致しました。皆さん楽しんで貰えてますかね? 大丈夫ですかね? この部屋はその通り、『愛の告白をしないと出られない部屋』でしたね! もう少しこう、なんかこう、キュンっとする雰囲気になるかなーと思ったのになー。ちぇ。

 さてさて。気を取り直して! お次の組はどんな部屋なんでしょうかー。それでは、はりきって! いってみよー!!!」



【間】



《理沙&弦樹の場合。》



弦樹

「ふーみかー!!」


理沙

「せーんせー!!」


弦樹

(がしっと理沙を思い切り抱き締める)

「んあれ?! 冬美香ふみかじゃない!」


理沙

「うわあ! 先生じゃない!!」


弦樹

「あっはは、ごめん! 間違えちった!」

(離す)


理沙

「や、あの、えっと……確か……げんき、さん」


弦樹

「そーそ! オレ弦樹げんき! そんな年離れてないし、呼び捨てでOK! そんでー、理沙ちゃん、だよね?」


理沙

「はい、そうですー。ふみかさんって、彼女さんのお名前?」


弦樹

「そ! 幼なじみで彼女。めっちゃ綺麗で可愛いんだー」


理沙

「へ、へー……あ、えっと、ここ……どこなんだろ」


弦樹

「入って来た扉はー、あ、あるよ! ほら!」


理沙

「え? あ、ほんとだ。何だったんだろ?」


弦樹

「さー? オレバカだからわっかんない! とにかく帰ろー!」


理沙

「はーい!」



【間】



ナビゲーター

「くっそぉ! 初っ端で抱き締めやがった!! ナチュラルに! ナチュラリストか彼は!? えー? なに、これ、一番スっと出やがったな、ちくしょう!! あ、ちなみにこの部屋は、『思い切り抱き締めないと出られない部屋』だったんですよ。飛び込んで来た勢いのままに抱き締めやがりましたね。実はやり手ですかね、彼は?

 さー、そんなこんなで3パターンの出られない部屋をお送りしましたが、いかがでしたでしょうか? 自分はまだまだ満足はしてないので、また機会がありましたら迷い込ませようと思います。今度はもっとこう……なんかこう、上手い感じにこう、さ! ひ、ひねれたらいいなーなーんて!! それでは皆さん、また次回!!!」





次回へ続く

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