待ち合わせ
百合side
屋敷を出た俺は前に住んでいた住宅に向かっていた。
ある相手と待ち合わせをしていたからだ。
本当にアイツは来るのか?
緊張と不安が足を重くする。
住宅に着くと満月の光に照らされている男が壊れた瓦礫に腰を下ろしていた。
その相手とは…。
「よ!!忘れずに来てくれたんだな。」
笑顔で右手を軽く挙げた俺の知っている裕二だった。
「お前、どっちの裕二だ?」
「ここに居る俺はもう1人の俺に支配されてる。だけどな、俺の場合は特殊なんだよ。」
そう待ち合わせしていた相手とは裕二だった。
3日前、ガイ達が俺達の住んでいた住宅に奇襲に来て、わざわざ裕二は俺の前に現れ、その時に耳打ちしたんだ。
「3日後の夜、ここで待ってる。」
周りには聞こえない声で話た。
きっとガイに聞かれたらまずい話なんだろう。
俺は一か八かの賭けで待ち合わせ場所に訪れた。
俺の目の前に居る裕二はいつもと変わらない裕二だ。
「お前の場合は違うのか?」
「あぁ。俺の場合、無理矢理種を植え付けられたんだ。そして俺がサイトを作った人物に辿り着いた事で口封じの為だろうな。」
「瀬名星君だろ?」
「!!?お前、知ってたのか!?」
裕二は驚いた顔をして俺に近寄った。
「さっき聞いたんだよ。瀬名星君を助けにこの世界に来た夜空って子に。」
「何だって!?あの子の友達がこの世界に来てんのか…。」
「ガイに作られた人格の星君がサイトを作ったらしい。MADAの件の主犯格はガイだ。」
俺はポケットから煙草を取り出し、口に咥え火を付けた。
「やはりな。」
裕二があまりにも普通に話してくるので疑問に思った。
「お前は他の3人みたいに狂気的じゃないのか?」
「俺はな…。ガイに絶望感をわざと植え付けられたんだ。」
「わざと?」
「ここからの話は長くなるぞ。」
俺は裕二の話を静かに聞いた。
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