バラバラ木箱
雨川風太
プロローグ
声をからして泣いた日のことは未だによく覚えている。夢に破れたわけでも恋に破れたわけでもない。敵や弱き己に破れたというわけでもなく、ただただ置いていかれるのが嫌で泣いていた。
泣きながらすがった。しがみついた。声を張り上げ、涙を流し、もがきながらただいかないでくれと叫んだ。胸の内に渦巻く黒い濁流を全て吐き出して吐き出して、だけれども絶対的な喪失感だけは消えてはくれなかった。
彼女を睨みつけて、独りで生きていけというのかふざけるな、お前がいなくなって俺に何の意味が残る。そうやって悲しみを憎悪に変えて咆哮をあげた。
涙を流しながら睨みつける俺を振り返って彼女はたった一言、言葉を告げた。
ーー貴方は、龍になります。それも、#####な龍に。
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