第6話小豆坂と美濃斎藤

天分11年(1542年)西三河


三河で急速に勢力を拡大する織田信秀を警戒し今川義元は三河に軍を派遣し織田信秀を倒そうとした。対する信秀は今川軍を撃退するため安祥城から出陣し、矢作川を渡って対岸の上和田に布陣した。




織田、今川両軍は8月10日に小豆坂で激突した。


信秀は終始今川を圧倒し、今日もかからず勝利する。これにより西三河の権益を保持することができた。




それと時を同じくして美濃の斎藤道三によって追放された土岐頼芸、頼次親子を信秀の命を受けた与五郎が二人を保護する。




信秀が三河から帰ってきて那古野城で二人を歓迎する。


「弾正忠殿、我ら親子このように歓迎していただきありがたく思いまする。その上で我ら親子を美濃守護に戻す為に支援してくれくとは、重ね重ね感謝いたします」




「いえいえ当然のことでござる」




信秀は内心この親子を傀儡にし美濃を支配しようとしていた。




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与五郎は美濃攻めの先鋒として美濃斎藤と戦いを繰り広げた。信秀は越前朝倉氏と連携し美濃大垣城を攻め落としたが、朝倉が斉藤と和睦してため美濃攻めを中断せざるを得なくなった。




「おのれ朝倉、勝手に斎藤道三と和睦しよって、許せん!」


「殿、仕方ありませんこうなってしまってはですがまだ次はありますそれまで準備を整えましょう」


「確かにお主の言うとおりだ与五郎、とりあえず尾張に帰るぞ」




信秀は那古野城に戻った。そこで与五郎は信秀にあることを提案する。


「殿、このまま美濃を攻めるのは危のうございます。ここはまず尾張の国の我らの敵対者を全て倒してから攻めるべきかと存じます。まず尾張守護代家、そして清洲三奉行、かの者たちは我らの獅子身中の虫です、その者たちを滅ぼせば後ろに危険はなくなります。」




「馬鹿を申すな!そのようなことできるわけがなかろう百歩譲って清洲三奉行滅ぼすのはいい、だが守護代家を滅ぼすことはできぬ、あれでも我が主君である。そのような不忠できぬ」




「しかしそれではー「黙れ与五郎!もう下がれ!」わかりました」




与五郎は部屋を出ると、少年が近寄ってきた。


「与五郎!!」


「これは吉法師さま、今は手習いの時間ではございませんか」




吉法師は動揺した。


「平手の爺が休憩にしようと言ったのだ」


「ほぉ、では平手様が呼んでいる声はどういうことですかな」




吉法師は逃げよとする、それを与五郎が止める。そして平手政秀がくる。


「若、また逃げ出して、これで何度目ですか!!」


「爺、これは違うのだ」


「何か違うというのですか!!戻って手習をやり直しますよ」




「与五郎、助けてくれ、与五郎!!」と吉法師は助けを求めたが、


「吉法師さま、頑張ってくだされ」




「そんな〜!!」と吉法師の声が、城中に響いた。




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