第3話 涙に溺れる
◇
瞳から零れ落ちた大粒の涙が大理石の床を濡らす。ポタポタ、ボタボタ留めなく流れ出る涙が塩辛い水たまりになるの。
―――私は一体誰なのかしら?
ああ、私の名前はアリス。そう、確かアリスという名前だったはず。
―――でも名前にどれほどの意味があるというの?
でも名前は大切よ。名前が無ければ他の人を呼ぶときに大変ですもの。
―――でもここには貴女しかいないわ。
そう、ここには私しかいない。
―――それで、結局私は誰なのかしら?
仮に世界で私しか生きていなかったとしたら、「私」なんてものは存在しないのかも。だって一人しかいないのに「私」なんて考える必要がないじゃない?
―――結局貴女は誰でもないのねアリス
そうよ、私は誰でもない。でもね何故かしら、涙はいつまでも溢れてくるの。流れ続ける涙が床に落ちていく、ああ、このままじゃ海になっちゃう。
―――自分の涙で溺れるなんて笑えるわ
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます