第16話カレー大使
火も付いた所で俺は野菜に取り掛かる、持って来て貰った根野菜を見て俺は首を傾げてしまった。
全部が全部見たことある形なのに色が違う、ニンジン何か一瞬見ただけだと小さな大根かと思ったよ。
この世界のニンジンって白いんだな、玉ねぎも形は玉ねぎだけど緑色してた。
これまだ若いんじゃないよね、食べごろなんだよね、信じるからな。
まあ色はともかく形はニンジンと玉ねぎだしっかり皮をむいて適当な大きさに切る。
因みにみなさん野菜は無くなるぐらい細かいほうが好き?それともゴロゴロと大きい方が好き?
俺は断然ゴロゴロ派だよ、ニンジンも玉ねぎも子供の口に丁度入る大きさに切って後は少しの水と煮込む。
俺はこの煮込む水をコンソメで煮込んで置くのが好きなんだよね。
ご家庭でやる時は固形コンソメでもいいと思う、ただ固形コンソメは塩気が有るから、しっかり調整しないとしょっぱくなっちゃうから気を付けて。
俺の場合はコンソメ出せるから問題ない、ずるい?せっかくあるスキルなんだから使わないとね~。
俺は鍋に出したコンソメに野菜を入れて煮込む、う~んコンソメが蒸発してすでにいい匂いが。
頑張って野菜切って煮込みまくる、余り入れすぎると後無くなった時に困るから皆に行き届く量入れて煮込む。
火が通るまで煮込んだらカレー大使を投下、もちろん液状化したカレー大使だ。
カレー大使を投下して味を確かめながらハバネロ先生を入れていく。
よし、いい感じに出来たな辛みも丁度良い、辛すぎると子供が食べられないからね。
これでも辛い子には牛乳を上げよう、辛い時には乳製品だよな、あれ?なんで乳製品が良いんだっけか?
まあ辛みが紛れるから良いか、要は辛さが紛れれば良いんだからな。
俺は考え事を脱線させながらカレー大使を作る、最初にコンソメに煮込んだせいか少し緩いカレー大使が出来上がったけど、パンと食べるならこのぐらいが良いよな。
「カレーできましたよ、みんな並んでください」
俺が声を掛けると村人たちは並びだし列を作ってくれる。
醤油に続いてカレー大使も配るとみんな慣れてくるな、俺は村人たちの様子を見ながらしみじみ考える。
「辛いからパンと一緒に食べてください、辛すぎるって人は言ってくださいね、辛さを和らげる飲み物もあります」
俺が注意事項を言うと村人たちは素直に頷いてくれたので、順番に村人が持って来た深皿にカレーを注いでいく。
俺が作ったカレー大使をみんな一口食べると目を見開いて驚いていた。
「美味い!あの真っ赤な液体がこんなに深い味わいと香りのスープになるのか・・・」
さっきハバネロ先生を舐めた子供の父親が考え込みながら呟く、他の村人たちからも好評だった。
しばらく見ていると俺の所に泣きそうな顔で女の子が来てカレー大使の入った皿を突き出した。
「おじちゃん、カライよたべられない」
女の子は言いながら皿を突き出してきたので、俺は頭を撫でて落ち着かせてから皿にハチミツを掛けてあげる。
「掻き混ぜて食べてみて、それでも辛かったら行ってね」
俺が言うと女の子は掻き混ぜてからカレー大使を食べ始め、口に入れてから笑顔になった。
それを見て俺は安心していると、他の人たちも俺にハチミツを掛けて貰いたそうだったので、俺は一人づつハチミツを掛けていった。
子供が多かったな、子供にはハバネロ先生入りは辛かったか今度作る時は気を付けよう。
俺の配ったカレー大使を食べている村人たちを見ながら、俺は他に辛すぎで嫌そうにしている人はいないか見回していると盗賊たちが物欲しそうにこちらを見ていた。
まだ酔っぱらって寝てる奴もいるけど腹は減ってるだろうからな、特にカレー大使の匂いは食欲をそそるから、腹が減ったのかもしれない。
俺は物欲しそうに見ている盗賊に近づくと盗賊が話しかけてきた。
「俺達にも何か食わせてくれ、旦那の作ったスープの匂いで腹が鳴って仕方ねー」
仕方ないな、俺は一度盗賊から離れるとべリアラ婆さんの下に行く。
婆さんは俺達のやり取りを聞いていたのか渋い顔をして俺を睨みつけて来る。
「本当にあんたはお人よしだねぇ、仕方ない食わせてやりな」
婆さんは渋々了承してくれ、俺は手を合わせながら感謝を言ってカレー大使を盗賊の分浮かせて盗賊の所まで運んだ。
最初は固形物入ってるから無理かと思ったけど、以外とやれば出来るんだな、今度どこ迄の重さが持ち上げられるか試してみよう。
もしかしたら、うまくやれば森の木を切って持ってこれるかもしれないからな、色々試してみないと・・・。
俺は盗賊たちの前までカレー大使を浮かせて行く、俺がカレー大使を持て来たことを知ると盗賊たちは酒と同じ様に口を開けた。
何で俺、厳つい男どもに食べさせてんだ?どうせなら美人のお姉さんに「あ~ん」とか言って食べさせたいよホント。
なんか考えるのも空しくなってきたので、作業の様に盗賊達の口にカレー大使を入れていく。
盗賊たちは美味そうにカレー大使を食べていく、その間俺は無我の境地で盗賊にカレー大使を食べさせていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます